超成長株投資で資産10倍計画!

荏原製作所(6361)の株価は1万円超えへ。
ポンプやごみ焼却プラントなどがESGの恩恵を享受。
今後数年で営業利益率2桁、株価2倍以上になる可能性山本潤の超成長株投資の真髄 第108回

2021年4月7日公開(2022年3月29日更新)
山本 潤
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荏原製作所(6361)の株価は今後4~5年で倍以上の1万円を超える

 総合ポンプメーカーの荏原製作所(6361)を強い買い推奨とします。株価は、今後4~5年をかけて1万円を超えると予想します。その根拠は、2030年の業績は売上高7000億円、純利益500億円、EPS(1株利益)500円以上になり、熱心に取り組んでいるESGのプレミアムも加えてマルチプル評価でPER20倍となるからです。今後4~5年と書いたのは、株価が先に織り込む可能性があるからです。 

主力のポンプは標準製品やカスタム製品を問わず収益力向上

 同社の屋台骨を担う風水力セグメントは好調です。同社が手掛けるポンプは、水などの流体の循環をつかさどるキーデバイスであり、様々な装置やプラントなどに欠かせません。リサーチ会社のレポートによると、ポンプは世界で年率6%の成長を見込んでおり、成熟産業ではありません。

 風水力セグメントは主に標準ポンプ事業とカスタムポンプ事業がありますが、特徴はともに収益力が高まっていることです。

 標準ポンプ事業の収益力向上の理由は、経営ガバナンスを強化し、受注採算をしっかり管理できるようにしたこと。IoTを活用して在庫リスクを管理するERPシステムを稼働させ、それが現場で浸透し始めていること。生産現場の自動化による生産性向上や、海外部品採用による原価低減効果が出始めていることなどがあります。

 一方、カスタムポンプ事業ですが、売上の3分の1をアフターサービスが占め、過去10年で10ポイント程度上昇しました。同社は今後もアフター比率の向上に注力すると言っており、収益向上が期待できます。また標準ポンプ事業で行っているような生産性向上などの取り組みを昨年始めたばかりで、それらによる収益改善の余地もあるでしょう。

精密・電子、環境プラントセグメントでも新技術やESG対応で躍進

 精密・電子セグメントの主力商品は、半導体ウエハー表面を削って平坦化するCMP装置です。今後、躍進が期待できるのは、台湾TSMCのファーストベンダーであることが大きいでしょう。メモリーの積層化やMPU(マイクロプロセッサ)の三次元ゲート採用に伴ってCMP装置を使う工程が増えるなど、追い風が吹いており過去2年間の先行投資が実を結ぶでしょう。

 もうひとつの主力商品である真空ポンプの自動化ラインが今年立ち上がることも含めて、同セグメントの採算が改善するのは確実な情勢です。今後、EUV(極端紫外光)向けポンプシステムの参入を目論んでいることも期待できます。

 環境プラントセグメントは、ごみ焼却プラントの需要は安定しており、さらに長期の保守契約などで業績が安定し、利益率も10%程度と高いのが特徴です。今後は焼却時の廃プラスチックをガス化して使うケミカルリサイクルや、バイオマス発電プラントなども注目されるでしょう。

2030年に1億トンのCO2吸収を目指すなどESGの取り組みで先行

  ESGの取り組みにも積極的です。火力発電所などから排出されるガスからCO2を分離して回収・貯留する(CCUS)過程で必要なCO2液化で実績があり、LNG液化向けのクライオジェネリックポンプのシェアもトップクラスです。水素液化でもトップランナーになることが期待できるでしょう。

 同社は2030年に「CO2約1億トン相当の温室効果ガスを削減し、世界で6億人に水を届ける」という野心的な目標を掲げています。1億トンと言えば日本のCO2排出量の約1割に相当し、頼もしい限りといえるでしょう。また、日本企業の取り組みが遅れているガバナンス改革にも積極的です。ROIC(投下資本利益率)をKPI(重要経営指標)にしたり、役員のスキル・マトリクスを公開したりするなどガバナンス改革でもトップランナーを走っています。

 海外販路の拡大も順調です。2020年12月、トルコの深井戸ポンプメーカーの買収を発表しました。重要な販路である欧州、中東、アフリカの獲得に加え、来期20億円の利益貢献が期待できるでしょう。

短期的な受注鈍化リスクはあるものの、長期展望は明るい

 業績が悪化するリスクとしては、世界的な景気の鈍化や悪化によるものが大きいでしょう。短期的にはポンプは景気に遅行する面があり、今年4月~6月が受注のボトムになる可能性があります。それによる短期決算の悪化で、株価が下落する可能性はあるものの、長期的には成長が見込めるでしょう。

 同社は、新製品を投入する際に競合よりも省エネ性能で勝らないと発売を認めないという「トップランナー方式」という国の競争力強化策に合致したポンプ(産業用交流モーター)を2015年から採用しています。最近ではシミュレート技術の進化に伴い、多段ブレードの場合に発生する逆方向の無駄な力を数分の一に削減する形状の羽根を搭載する「立型多段ポンプEVMS」などを開発。さらにモーターに高性能な永久磁石を採用してポンプの効率を上げるなどの取り組みも行なっています。

 同社の徹底したポンプの省エネについてグローバルでは無関心な顧客が多かったです。理由は、電力がタダ同然の国が多かったからです。しかし、時代は変わり、電気消費の増大がCO2排出の増大に直結する現在、多くの顧客が電気消費量の増大には無関心ではいられなくなっています。カーボン・プライシングがどの国でも適用される時代になると、省エネになる同社の高効率ポンプへの置き換えがさらに進むでしょう。

今後数年間で営業利益率2桁を達成

 アフター比率が高いビジネスモデルはPaaSモデルと相性が良いことも事業拡大に寄与するでしょう。実際、同社は拠点を拡充してメンテ要員を増員しています。高効率ポンプへの置き換えでランニングコストが半減する例も多く、温暖化ガス低減のための高効率ポンプの導入は飛躍的に進むでしょう。

 荏原の営業利益率は8%程度と、現時点ではDFRの投資基準を満たしていません。しかしながら、社外取締役を議長として行なう役員会議や、社員一人一人に「ROIC経営」の自覚を促す意識変革などのガバナンス改革の施策を通じて、今後数年の間に営業利益率2桁を達成するでしょう。

(DFR投資助言者 山本潤)

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荏原製作所(6361)/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)

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