「勝者のゲーム」と資産運用入門

-日本株のトップアナリストによる投資講座-株価動向を決めるマーケットサイクルを理解せよ。業績相場に移行した2021年はバリュー株が優位。太田忠の勝者のポートフォリオ 第3回

2021年10月27日公開(2022年3月29日更新)
太田 忠
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あなたの2021年の株式パフォーマンスは?

 「去年あれほど自分の株は上がっていたのに、どうして今年は上がらないのだろう?」「成長株と思って投資したら、急落して30%以上もの含み損! なぜですか?」 私は日頃、数多くの個人投資家の方々と接点を持っているが、2021年に入ってよくいただく質問がこれだ。

 もちろんマーケット全体の上昇率を日経平均で見ると、2020年は+16.0%に対して、2021年は9月時点で+7.3%。半年以上経過したのに昨年の半分以下のレベル。とは言え、下落しているわけではないし、トレンド的には上昇が続いている。
 

マーケットは絶えず変化し、同じやり方や同じ銘柄では通用しない

 そこで皆さんにぜひとも知っていただきたいのが「マーケットは絶えず変化していく」という、マーケット参加者に必要な絶対的心得だ。去年と同じやり方が今年も通用する、と思ったら大間違いなのだ。マーケットはそんなに簡単ではなく、いつも同じやり方や同じ銘柄では通用しない。すなわち「マーケットはどの瞬間も、唯一無二」であるのだ。

 「私は長期投資なので、短期間の成績は気にしない」というのならもちろんOKだが、現在の相場がどんな相場なのか知っておくと、投資の選択肢が増えて自分のパフォーマンスを今より向上できる。マーケットに対して優位に戦えるからだ。 

株価の動向を決めるマーケットサイクルを理解する

 その際に有効となるのがマーケットサイクルの考え方だ。株式市場の株価の動向を決めるのは多くの要素で成り立っているが、大事なのは2つ。「景気や企業業績の動向」と「金融政策」である。

 「株式市場が良くなるか、悪くなるか?」を占うにあたって、従来最も重視されていたのはもちろん「景気や企業業績の動向」であるが、ここ数年は「金融政策」の方が圧倒的に株式市場の方向性を決めるのに重要な役割を果たしている。極端に言えば、どんなに景気や企業業績が悪くても、金融政策のさじ加減ひとつでブルマーケットすら形成できるのだ。「不況の株高」をたやすく作り出すことができるようになった。

 前回の連載記事『株式市場では社会的常識が通用しない』ではコロナショックを例に挙げて私は次のように述べた。「予想を超える急落局面ではまだ世界経済は順調だったので、社会的常識では対応困難」であり、「予想を超えた反発局面では世界経済は壊滅的だったので、社会的常識では対応困難」であると。

金融相場に別れを告げて、2021年は業績相場に移行

  マーケットサイクルは「金融相場」「業績相場」「逆金融相場」「逆業績相場」の4つから成り立ち、これが循環的に巡っていくのだが、2020年は典型的な「金融相場」だった。コロナ不況で企業業績は悪化、しかし極端な金融緩和政策によるカネ余りが相場上昇のエネルギー源となり、株式市場のみならず仮想通貨や商品市場などにも大きく波及した。

 その結果、コロナショック後の相場上昇が強烈となり、バリュエーションの急拡大&行き過ぎた理想買いが起こった。すなわち、「不況の株高」が顕著すぎるほど顕著となったわけである。コロナショックで日経平均は32%急落したが、その後は3万円台まで戻して87%もの上昇を演じた。

 ところが、2021年になってからは皆さんご存知のように「金融相場」からは別れを告げて「業績相場」に入っている。景気や業績は回復し、もはや金融緩和をしなくてもよい状況となり、いよいよテーパリングが視野に入ってきた。こうなるとイケイケドンドンとはいかなくなる。相場全体の上昇スピードは緩やかとなり個別銘柄で勝負、しかも個別銘柄は業績の裏付けが絶対に必要、故にこれまでの高バリュエーション&理想買いは是正されることになる。

「勝者のポートフォリオ」でもバリュー株のパフォーマンスが絶好調

 冒頭の個人投資家の素朴な疑問である「去年あれほど自分の株は上がっていたのに、どうして今年は上がらないのだろう?」もうおのずと答えが出てくる。「成長株と思って投資したら、急落して30%以上もの含み損! なぜですか?」これも必然だ。特に小型の高PER成長株は「理想買い」がなくなって壊滅的な動きだ。本当の業績相場は現実が問われる。今年はバリューの年なのだ。あなたが日頃見ていない銘柄、昨年まではパッとしなかった銘柄がバンバン上昇している。

 『勝者のポートフォリオ』のモデルポートフォリオではグロース株とバリュー株に分けて、投資に役割分担を持たせているが、このアプローチが重要になってくる。ちなみに2020年のグロース株は+23.0%、バリュー株は-3.6%であったが、2021年はグロース株が+2.8%、バリュー株が+15.1%と対照的な動きをしている。皆さんは気づいていただろうか?

(DFR投資助言者 太田 忠)

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