「勝者のゲーム」と資産運用入門

参議院選の結果は、国民の懐を潤すことになるのか?
企業は稼いでも社員に還元されず、政治は増税の嵐。
国民の消費ファーストを進める政治を切に期待する!太田忠の勝者のポートフォリオ 第198回

2025年7月22日公開
太田 忠
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大企業を中心に内部留保は増え続ける一方、肝心の労働分配率は低水準

 いよいよ7月20日の参院選が近づいてきた。本コラムが公開されるのは7月22日であるが、執筆しているのは7月18日。私たち日本人の消費マインドが一向に上向かない理由を掘り下げる、というのが今回のテーマである。

 内部留保とは企業が生み出した利益から税金や配当、役員報酬などの社外流出分を差し引いたものであり、企業が将来自由に使えるお金として社内に蓄積される。 総資産に対する内部留保比率は財務の健全性を示す指標としても使われる。その内部留保が増え続けている。2024年度に636兆円となり前年度の601兆円から6%増えた。今から25年前の2000年前後は200兆円程度だったため3倍以上に増大。企業の貯蓄が凄まじい勢いで増えているというわけだ。

資本金10億円以上の大企業の労働分配率は36.8%と前年度から1.3%下落

 一方、企業の年間の稼ぎのうち人件費に回す割合を示す労働分配率は2024年度に53.9%で、1973年度以来51年ぶりの低水準だった。デフレから脱してインフレ局面に入った日本経済。労働者に報いる方策として企業は賃上げに舵を切ったが、稼ぐスピードに見合ったほど十分に還元していないことになる。その結果、内部留保が増え続ける構図となっている。

 規模が大きい企業ほど労働分配率は低下している。資本金10億円以上の大企業は36.8%と前年度から1.3ポイント下落、資本金1億~10億円未満の中堅企業は59.9%で前年度から0.7ポイント低下した。一方、1000万~1億円未満の中小企業は70.2%で前年度から0.1ポイント上昇した。中小企業は大企業や中堅企業と異なり、人手不足を背景に、利益が増えるスピードを上回って人件費が上昇していることがうかがえる。2025年の春季労使交渉における賃上げ率は5.25%。前年の2024年も5%を上回って1991年以来の賃上げ率であったが、社会全体の労働分配率を引き上げるほどのインパクトはなかった。2025年の春季労使交渉はもっと高い賃上げができたはずである。

参院選の最大の争点は経済政策。国民の懐を増やす直球の対策がポイント

 さて、7月20日投開票の参院選。「自公大幅減で過半数は微妙」「国民民主・参政が躍進」との報道が連日なされており、昨年の衆院選に続いて与党はかなり苦戦すると見られている。今回の改選対象となる与党の議席数は66であり、この水準から16議席減らしても50議席を確保すれば過半数維持なのだが、それが極めて危ない情勢にある。そもそも24%低下という減少率自体、相当な落ち込みだがそれでは済まないのが事前の見方である。今回の争点はズバリ経済政策。しかも国民に対する直球の対策が打てるかどうかがポイントだ。給付や減税などの公約を各党が掲げており、内部留保や労働分配率と同様に極めて重要な視点と思われる。

日本の主役は国民。その主役を痛めつけたりする政治だけはご免だ

 読者の皆さんも今回の選挙についていろいろ考えることがあると思うが、私が期待する政治の方向性はこうだ。

 日本の主役は我々日本国民である。その主役を痛めつけたり虐げたりするような政治はご免だ。日本の国内総生産(GDP)の約6割を占めるのが個人消費。日本の経済力を表すGDPが成長するためには、個人消費が伸びなければ話にならない。だが、個人消費が増えるような政策が全く行われず、逆行することばかり次々と施行されてきた。米国の個人消費はGDPの7割を占めるが、個人消費が年々増えることによって経済力が成長しているのとは対照的である。米国民の消費を刺激する減税も機動的に行われている。

 日本経済の最大のアキレス腱は1989年に導入された消費税である。スタート当初は3%だったが。1997年に5%、2014年に8%、そして2019年に10%と3回引き上げられた。「高齢化社会への対応、税負担の公平を高めるための直間比率の是正(直接税を減らし間接税の比率を上げる)」が目的だったが施行から今年で36年。消費支出が伸びず、日本のGDP成長率がグローバルにおいて凋落していったのとピタリと符号が合う。

法人税は低下しているにも関わらず、消費税など国民は搾取されている

 対照的なのが法人税率だ。1997年時点では37.5%だったが1999年に30%、2012年に25.5%、2018年には現行の23.2%まで低下。「海外企業の日本誘致を促進し、日本企業の国際競争力を高める」というお題目が掲げられたが、実際はそうならず、日本企業の税負担が下がった分だけ企業の懐が厚くなった。冒頭述べたように内部留保は現在636兆円。2000年は200兆円程度だったため3倍に増大。一方、人件費は1990年代半ば以降200兆円前後で推移し、2024年度は賃上げ効果で230兆円程度になったと見られるが、ほとんど伸びていない。

 2024年度の日本政府の税収は75兆円。一番の柱が消費税の25兆円(30%)、次に所得税の21兆円(28%)、そして法人税18兆円(24%)となっている。何をやればいいか一目瞭然だ。企業が儲かることは重要だが、国民が消費支出を抑えるほどの負担を強いられているのが大きな問題だ。国民は消費税にとどまらず、社会保障費や各種増税に直面している。ようやくデフレから脱却して賃上げできる時代になったが、今の物価上昇ではそのメリットを十分享受できず生活は一向に楽にならない。

政治に期待するのは、資産運用における「複利運用」の政策だ

 私が政治に期待するのは、資産運用における「複利運用」の政策である。国民への配分を増やし、国民を節約志向や後ろ向き志向から解放し、消費を伸ばすことで経済が発展する仕組みを作ることだ。現状は「国民から搾取」ファーストの政策になっており、国民が十分に消費できないことで経済がどん詰まりになっている。私たちの心は閉塞感しかない。経済の果実を生み出す前の段階で、国民の大事なお金が国に奪い取られている。こんな状況にさらに追い打ちをかけているのが、生活困窮層にお金をばらまくために「富裕層から金をもっと取れ」「資産運用の利益から金をもっと取れ」という政策の提案である。ダメ政治が行きつくところの末期症状だと思う。国民全体の負担を下げる政策が大事なはずなのに。

 皆さんはどう思われるだろうか? そして、今回の選挙で行動されただろうか?

トランプ関税や中東紛争、参院選をものともせずパフォーマンスは絶好調

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行っている「勝者のポートフォリオ」はおかげさまで快進撃を続けている。2021年10月のサービス開始以来、6月30日時点で累計パフォーマンス+98.4%、昨年来+55.2%、年初来+17.6%となっておりマーケットに圧勝中である。今年の第一目標である+100%の達成はあとわずかなった。日経平均も4万円前後を推移しており、ますます我々にとって追い風となりそうだ。

「勝者のポートフォリオ」の設定来パフォーマンスの推移と主要指数との比較

今年の後半戦に備えて、勝者のポートフォリオの2大特典で投資力を磨こう

 勝者のポートフォリオでは毎週のメルマガ配信による運用の指南に加えて、2大特典として毎月のWebセミナー開催とスペシャル講義を提供している。

 7月9日(水)20時よりWebセミナーを開催した。テーマは『あなたの投資力を問う(2)~投資家としての実践力を自己点検しよう~』。2025年に入ってからのWebセミナーで解説した投資戦略はほぼすべて的中し、直近の株式市場の流れに大きな変化はない。そこで6月に続いて7月も会員の皆さまの投資力を自己点検するための機会を設けた。6月は基礎力を問う問題が中心だったが、7月は実践力を問う問題を21問出題した。すでに会員ページのアーカイブにアップしているが、ぜひ実力を試していただきたい。もちろん投資戦略や個別銘柄の話、そして皆さまからのすべての質問にお答えするなど投資のヒントが満載のセミナーになっている。

 スペシャル講義は投資スキルを磨く場として62本もの講義動画をリリースしている。個人投資家に必須のリスク管理、運用力を上げるためのマーケットサイクル投資法、恐怖指数の活用、システマティックリスクの対処法、ヘッジファンドの実態などを詳しく解説している。ぜひとも参考にしていただきたい。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」メルマガ配信などで活躍。

※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一木曜夜は、生配信セミナーを開催。

 

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