「勝者のゲーム」と資産運用入門

「年内にFRBは利下げ再開、日銀は追加利上げに」
株価高値圏の中、日米金融会合が開催され無事通過。
第1四半期決算も本格化。ミーム株には手を出すな!太田忠の勝者のポートフォリオ 第200回

2025年8月5日公開
太田 忠
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株価が好調な中、先週の木曜日に日米中央銀行が相次いで金融会合を開催

 株式市場が順調に戻りつつある。米国ではS&P500とナスダックが過去最高値を更新。日本においても7月24日に日経平均株価が4万1826円の年初来高値をつけた後、4万654円まで下落していたが、7月31日には4万1000円台を再び回復した。

  「トランプ関税の世界経済に与えるネガティブな影響はこれから」「日本企業を取り巻く環境は厳しく業績に強気になれない」「もうそろそろ株式市場はピークアウトではないか?」と言った声があちこちから聞こえてくる。だが、株式市場の方向性を決めるのは景気や業績ではない。私がこれまで何度も言ってきたように景気や業績だけに気を取られていると間違った投資判断になりかねない。金利が株式市場の行方を決めるのだ。先週木曜日に日米中央銀行が相次いで最新の金融会合の結果を発表した。まずはこちらを点検してみたい。

トランプ大統領の要求に屈せず、FOMCは5会合連続で政策金利を据え置き

 7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は5会合連続で政策金利が据え置かれた。一向に利下げする気配のないパウエル議長に対して米トランプ大統領はこれまで2度の解任騒動を起こし市場を混乱させたが、その後も利下げ要求メモを手渡したり、米連邦準備理事会(FRB)本部の改修工事視察後の会見で直談判したりした。トランプ大統領が「遅すぎる男」と非難し続けるパウエル議長だが、「関税の影響はなお不透明」「次回9月会合での利下げは決めていない」と早期利下げに慎重な姿勢を崩さなかった。

 マーケットコンセンサスは「年内に利下げを再開」であるが、今回の会合ではその兆候を垣間見ることができた。FRBのボウマン金融監督担当副議長とウォラー理事の2人が利下げを求めて反対票を投じたのだ。地区連銀の総裁ではなく、FRB本部の理事が複数で反対に回るのは1993年12月以来という異例の事態だった。

日銀も4会合連続で政策金利を据え置き。年内に追加利上げがコンセンサス

 一方の日銀は4会合連続で政策金利を据え置いた。こちらは9人の政策委員の全員一致。植田和男総裁は常々「経済・物価の改善に応じて引き続き金利を引き上げる」と言っており、日米関税交渉合意によって日銀が意図する方向に動けば躊躇なく行動すると思われる。それを先取りする形で国内長期金利は7月25日に一時1.605%と2008年10月以来17年ぶりとなる高水準をつけた。マーケットコンセンサスは「年内に追加利上げに踏み切る」である。

 日米で金利水準の方向性が真逆になるという異例の展開。これをどう解釈するかが非常に大事である。 「太田先生、日本は今後利上げするのなら、金融相場ではなくて逆金融相場になるのではないですか?」

 こうした質問をいまだに受けるが、間違った考え方だ。日本市場を含めて、世界の株式市場の方向性を決めるのはFRBの金融政策である。FRBは昨年9月にようやく0.50%の利下げを開始し、11月と12月は連続で0.25%ずつ利下げした。その結果、5.25%~5.50%だった政策金利は現在4.25%~4.50%の水準にある。FRBが昨秋に利下げを始めたことで逆業績相場から金融相場に移行した。今年に入ってから利下げされていないので中休みの状態にあるが、米国で利下げが再び始まれば本来の金融相場らしい動きが出てくる。

年内にFRB利下げ&日銀利上げが濃厚。日米の株式市場に追い風が吹く

 日本の場合、昨年3月にマイナス金利からゼロ金利に移行し、昨年7月には0.25%にプラス転換。そして今年1月に0.50%へと追加利上げを行った。数字だけを見れば金利は上がっているが、あくまで金融正常化の一環であり実質金利はいまだマイナスのままだ。コロナ禍後にインフレ対策と称して欧米諸国が急ピッチに4%や5%を超える水準まで利上げしたのとはワケが違う。日本はマイナス金利という負の政策で経済成長がほとんどなかった状況から脱却し、ようやく金利のある正常な世界になった。日本のマーケットが好転している大きな要因となっている。

 今回の日米金融会合では一見何も起こらなかったように見えるが、マーケットコンセンサスの「年内にFRBは利下げ再開、日銀は追加利上げに踏み切る」とのシナリオをさらに裏付けたと私は考えている。米国のみならず、日本の株式市場にとって追い風となる。

第1四半期の決算発表が本格化。決算プレイに踊らされず、業績を見極めよ

 ところで、決算発表が本格化している。読者の皆さんの多くも個別銘柄投資を行っていると思うが、保有銘柄の業績の点検は非常に重要だ。個別銘柄に投資すれば絶対に必要なメンテナンス作業となる。業績が順調に進捗しているか、上方修正や下方修正の発表がないかどうか、そして継続保有に耐えられる状況を維持できているかを確認していただきたい。

 今回発表の決算は4~6月期の第1四半期である。出だし3カ月ですべてを測ることはできないが、気をつけるべきは「決算プレイ」が起こった場合だ。「決算プレイ」というのは決算発表の内容を材料にして短期筋の投資家によって投機的な売買がなされることを指す。「好決算なのになぜこんなに下落するの?」という戸惑いと疑問が起こる例のアレだ。こうした状況に遭遇しても気に留める必要はない。単に決算発表をイベントドリブンと捉えて、短期の値幅取りの動きが起こるだけであり、数日すれば株価は正常化する。決算発表というファンダメンタルズを材料にしているものの、決算プレイの株価形成は全く業績面を反映していない。

SNS投稿で投資家の注目を集めて高騰した「ミーム株」崩落の現象を散見

 だが、今回の決算発表で典型的なミーム株崩落の現象を目にした。ミーム株とはSNSへの投稿で注目が集まり、個人投資家の積極的な買いで短期間のうちに株価が急騰する「はやり株」のことであるが、さくらインターネット(3778)が大幅下方修正でストップ安比例配分の急落劇を演じた。

 そもそも経営基盤が弱く、営業利益がわずか8億円台の状況で昨年3月に高値1万980円をつけて時価総額が5000億円近くまで上昇。2026年3月期の営業利益予想を38億円から3.5億円に引き下げた。株価暴落は決算プレイでも何でもなく、要するにミーム株という祭りが終了したことを示している。短期的な儲けを狙ってこの手の銘柄に手を出すと痛い目に遭うので注意が必要だ。

「勝者のポートフォリオ」にミーム株は皆無。銘柄選択力が強さの秘密

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行っている「勝者のポートフォリオ」。おかげさまで快進撃が続いている。2021年10月のサービス開始以来、7月24日時点の累計パフォーマンスは+106.6%、昨年来+61.6%、年初来+22.4%とすべての期間においてマーケットを圧倒。マーケット分析力と個別銘柄選択力で「市場に打ち克つ」を実践している成果が大きく出ているものと自負している。

「勝者のポートフォリオ」の設定来パフォーマンスの推移と主要指数との比較

 日本株を中心とした個人投資家向けの投資助言サービスである「勝者のポートフォリオ」は毎週のマーケット解説・投資戦略のメルマガ配信に加えて、毎月恒例のWebセミナーの開催と、投資のスキルアップを目的とするスペシャル講義を提供している。

 WebセミナーではFRBや日銀の金融政策、日米の景気動向、あるいは最近ではトランプ関税政策といったホットな話題を取り上げながら現状の投資戦略やこれから株価上昇が期待できる個別銘柄の話、さらには参加者からのすべての質問に答えるQ&Aコーナーを設けて毎回2時間半ものロングランセミナーを行っている。毎回300名を超える参加者で盛り上がっており、投資のヒントが満載である。

8月13日開催のセミナーは、金融相場で資産を増やす効果的な方法を伝授

 次回のWebセミナーを8月13日水曜20時より開催する。テーマは『日経平均4万円回復で新局面、金融相場で資産を増やす最も効果的方法とは?』。株価は上昇しているのに資産運用がうまくいっていない個人投資家が多いとの印象を受ける。「どういう運用をすれば資産運用がうまくいくのか」を知りたい人はぜひご参加いただきたい。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加可能。有料会員はアーカイブ録画をいつでも視聴できる。

 また、スペシャル講義は投資スキルを身につける場として62本もの講義動画をリリースしている。個人投資家にとって必須のリスク管理、運用力を上げるためのマーケットサイクル投資法、恐怖指数の活用、システマティックリスクの対処法、ヘッジファンドの実態などを詳しく解説。ぜひとも参考にしていただきたい。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」メルマガ配信などで活躍。

 

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