2014年のクレジットカード業界の動向を予測して、それを踏まえたクレジットカードの選び方について考える「2014年のクレジットカード業界の動向から考えるおすすめカード選び」。
第1回では「(1)カード決済サービス『SQUARE』上陸でカードの利用シーンが拡大」、第2回では「(2)クレジットカードの『還元率競争』が新しい局面へ」について、生活消費ジャーナリストの岩田昭男さんに解説してもらった。
第3回の今回は、「(3)高額年会費の高級志向のクレジットカードの『質の競争』が激化」という3つ目のポイントについて、2013年から「アメリカン・エキスプレス」が取り始めた戦略と、それに追随する形で登場した新しいクレジットカードのサービスを解説していく。
ポイント③
年会費3万円台の高級志向のクレジットカードの
付帯サービス拡充で「サービス合戦」が始まる!
ここ数年、「還元率競争」が激化してきたクレジットカード業界だが、「今後、大手カード会社が還元率の高いクレジットカードを発行する可能性もありますが、それよりも『サービスの中身』で差別化する方向に移行していくのではないでしょうか」と語る岩田さん。
「昨年からの大きな流れとしては、各クレジットカード会社が『このあたりの年代で、このくらいのお金を持っているユーザーがほしい』という狙いが明確になってきていて、その客層にピンポイントでアプローチするクレジットカードを発行する傾向が強くなってきています」
その理由は、すでに国内でクレジットカード発行枚数が3億2352万枚にも達しているからだ。
「年会費無料や高還元率のクレジットカードが数多く発行されて、すでにある程度はクレジットカードが行き渡ってしまった印象があり、発行枚数はなかなか伸びなくなってきています。そこで、年会費や還元率だけではなく、狙ったユーザーにピンポイントで訴求するような特典を盛りだくさんにつけたクレジットカードが発行される傾向にあるんです」
その中でも、岩田さんが注目しているのは「年会費3万円台」の高級志向のクレジットカードだ。
「アベノミクスで景気も持ち直してきて、これまでは還元率競争ばかりしてきたクレジットカード業界で、還元率とは異なる『お得さ』を求める『質(サービス)の競争』が起こり始めている。これまでは年会費無料で、高い還元率のクレジットカードなど紋切型のサービスが多く、ハイクラスな生活を望むユーザーへのケアが少なかったので、そのユーザー層を狙った戦略が増えているように思います」
その代表的な例が「アメリカン・エキスプレス」の戦略だ。
「これまで、アメリカン・エキスプレスはクレディセゾンや三菱UFJニコスなどと組んで、一般のユーザーにもアメックスの高級感を開放する戦略を取ってきましたが、昨年からは年会費3万円台で、特典が充実しているカードを発行して、ハイクラスのサービスを望むユーザーを取り込む戦略に方針転換しているように感じます」
2013年、「アメリカン・エキスプレス」がハイクラスなユーザーを取り込むために発行したのが、「アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラー・プレミア・カード(以下、スカイ・トラベラー・プレミア)」だ。
「2012年に発行された『アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラー・カード(以下、スカイ・トラベラー)』は年会費1万円(税抜)で、対象航空会社(21社)で航空券を購入すると購入代金の3倍のポイントが貯まり、提携航空会社(13社)のマイルに自由に交換できるというのが売りでしたが、2013年に発行された『スカイ・トラベラー・プレミア』は年会費3万5000円(税抜)と、年会費は3倍以上。しかし、対象航空会社(21社)で航空券を購入すると、『スカイ・トラベラー』よりも多い、購入代金の5倍のポイントが貯まる特典がついています。しかも、ポイントは無期限で貯められることもあって、マイルユーザーを中心に、かなりの人気が集まっています」
■アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラー・カード | |||
還元率 |
1.5~4.5% (※1マイル=1.5円換算。対象航空会社や旅行会社で航空券などを購入した場合、ポイント3倍) |
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発行元 | アメリカン・エキスプレス | ||
国際ブランド | AMEX | ||
年会費(税抜) | 1万円 | ||
家族カード(税抜) | あり(年会費5000円) | ||
旅行保険 | 国内 | 最高2000万円(利用付帯、最高1000万円の家族特約あり) | |
海外 | 最高3000万円(利用付帯、最高1000万円の家族特約あり) | ||
空港ラウンジ | 国内 | 国内28空港+海外2空港を同伴者1名まで無料で利用可能 | |
海外 | - |
■アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラー・プレミア・カード | |||
還元率 |
1.5~7.5% (※1マイル=1.5円換算。対象航空会社や旅行会社で航空券などを購入した場合、ポイント5倍) |
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発行元 | アメリカン・エキスプレス | ||
国際ブランド | AMEX | ||
年会費(税抜) | 3万5000円 | ||
家族カード(税抜) | あり(年会費1万7500円) | ||
旅行保険 | 国内 | 最高5000万円(利用付帯、最高1000万円の家族特約あり) | |
海外 | 最高5000万円(利用付帯、最高1000万円の家族特約あり) | ||
空港ラウンジ | 国内 | 国内28空港+海外2空港を同伴者1名まで無料で利用可能 | |
海外 | - |
さらに、2013年9月に登場した途端、注目を集めたのが、「スターウッド プリファード ゲスト アメリカン・エクスプレス・カード(以下、SPGアメックス)」だ。
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還元率 | 年会費 (税込) |
ブランド | 電子マネー対応 (ポイント付与対象) |
カード フェイス |
◆楽天カード |
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1.0~3.0% | 永年無料 | VISA JCB Master AMEX |
楽天Edy (楽天Edyへの チャージ分は 還元率0.5%) |
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【楽天カードのおすすめポイント】 楽天市場や楽天ブックス、楽天トラベルを利用している人はもちろん、楽天ユーザー以外にもおすすめの「年会費無料&高還元」クレジットカードの代表格。通常還元率は1.0%だが、楽天市場や楽天ブックスでは最低でも還元率が3.0%以上に! また、「楽天ポイントカード」や電子マネーの「楽天Edy」との併用で、楽天グループ以外でも還元率は1.5~2.0%以上になる! ゴールドカードの「楽天プレミアムカード」も格安の年会費で「プライオリティ・パス」がゲットできてコスパ最強! |
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【関連記事】 ◆【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】「おすすめクレジットカード」を2人の専門家が選出!全8部門の“2023年の最優秀カード”を詳しく解説!(最優秀メインカード部門) ◆「楽天ポイント」が改悪続きでも“最強のポイント”である理由を専門家が解説!「楽天カード」などだけでなく、無料でポイントを獲得できるサービスが魅力! ◆「楽天カード」よりも「楽天プレミアムカード」のほうが得をする“損益分岐点”が判明! 楽天市場で年36万円を利用しない限り、年会費無料の「楽天カード」で十分! |
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◆三井住友カード(NL) |
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0.5~5.0% | 永年無料 | VISA Master |
iD |
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【三井住友カード(NL)のおすすめポイント】 2021年2月に申し込み受付が始まった「三井住友カード」の新しいクレジットカードで、券面にカード番号が記載されていない「ナンバーレス(NL)」なのが特徴(カード番号はアプリで確認可能)。通常還元率は0.5%と一般的なクレジットカードと同等だが、セブン-イレブン、ローソン、マクドナルド、サイゼリヤ、バーミヤンなどで「Visaのタッチ決済」または「Mastercardコンタクトレス」で支払うと、還元率5%に大幅アップ(※)するので、セブン-イレブン、ローソン、マクドナルドなどを日常的に利用する人におすすめ! さらに、獲得できる「Vポイント」は、dポイント、Pontaポイント、楽天ポイント、Tポイント、ANAマイルなどに交換できるほか、「1ポイント=1円」としてカード利用額に充当できるなど、ポイントの汎用性が高いのも魅力! ※ 一部店舗では還元率5.0%とならない場合あり。また、一部店舗および一定金額を超える支払いでは「Visaのタッチ決済」および「Mastercardコンタクトレス」が利用不可の場合あり。 |
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【関連記事】 ◆「三井住友カード(NL)」は年会費無料+高還元+最短翌日発行の“三拍子”が揃ったおすすめカード!「対象コンビニ&飲食店で最大5%還元」特典は利用価値あり! ◆「三井住友カード(NL)」は、年会費無料&対象コンビニで最大還元率5%のお得なクレジットカード! カード情報を記載していないのでセキュリティも抜群! |
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◆ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・カード |
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1.0~1.5% (※1) |
1万6500円 | AMEX | - |
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【ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・カードのおすすめポイント】 2021年3月から発行が始まった、高級ホテル「ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ」との提携カード。ヒルトンの上級会員資格「ヒルトン・オナーズ・ゴールドステータス」が無条件で付帯し、レイトチェックアウトや部屋のアップグレード(最高でエグゼクティブ)、朝食無料サービスなどを利用できるのが最大の魅力! さらに、年間150万円以上を利用すると「ウィークエンド無料宿泊特典(金・土・日のみ利用可)」がもらえて、ヒルトンやコンラッドなどの1泊3万円以上するような高級ホテルに無料で宿泊できる! また、通常100円につき2ポイント、ヒルトン系列では100円につき3ポイントの「ヒルトン・オナーズ・ボーナスポイント」を獲得でき、貯めたポイントでヒルトン系列のホテルに宿泊することも可能! ※1 ヒルトン系列ホテルの宿泊にポイントを利用した場合。1ポイント=0.5円換算。 |
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【関連記事】 ◆ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・カード登場! ヒルトンホテルで朝食無料になる「ゴールド」会員になれるほか、カード利用で無料宿泊も可能に! ◆「ヒルトン・オナーズ・アメックス」のメリットを解説!1泊9万円強の高級ホテルへの無料宿泊特典や朝食無料サービスなど、高額な年会費以上にお得な特典が付帯 ◆【アメリカン・エキスプレス・カードを一覧で比較】アメックスが発行する13枚のカードの年会費や特典、還元率を比較して、自分にピッタリの1枚を探そう!(ヒルトン・オナーズ アメックスの解説へ) |
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還元率 | 年会費 (税込) |
ブランド | 電子マネー対応 (ポイント付与対象) |
カード フェイス |
◆三井住友カード ゴールド(NL) |
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0.5~5.0% |
5500円 (ただし、年100万円以上の 利用で次年度から永年無料) |
VISA Master |
iD |
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【三井住友カード ゴールド(NL)のおすすめポイント】 2021年7月1日に発行が始まった、券面にカード番号が記載されていない“ナンバーレス(NL)”のゴールドカード。年会費5500円(税込)だが、年間100万円を利用すると(※1)、次年度から年会費が“永年無料”になるうえに、1万ポイントが「継続特典」としてもらえるのが大きな魅力! さらに、通常還元率は0.5%と一般的なクレジットカードと同等だが、セブン-イレブン、ローソン、マクドナルドなどで「Visaのタッチ決済」または「Mastercardコンタクトレス」で支払うと還元率5%に大幅アップ(※2)するなど、ポイントも貯まりやすくてお得! ※1 対象取引などの詳細は、三井住友カードの公式サイトでご確認ください。※2 一部店舗では還元率5.0%とならない場合あり。また、一部店舗および一定金額を超える支払いでは「Visaのタッチ決済」および「Mastercardコンタクトレス」が利用不可の場合あり。 |
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【関連記事】 ◆「三井住友カード ゴールド(NL)」は、年100万円以上を使うと年会費が“永年無料”に! コンビニで5%還元、空港ラウンジや旅行保険などの特典も付帯してお得! ◆三井住友カード ゴールド(NL)のメリット・デメリットを解説! 同じく“実質”年会費が無料の「エポスゴールドカード」と付帯サービスなどを比較して魅力を解剖! |
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◆JCB CARD W(ダブル) |
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1.0~5.5% (※) |
永年無料 | JCB | QUICPay |
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【JCB CARD W(ダブル)のおすすめポイント】 39歳以下の人だけが申し込める、年会費無料のうえに通常還元率1%のお得な高還元クレジットカード!(40歳以降も継続して保有可能)さらに「ORIGINAL SERIESパートナー加盟店」の「ポイントアップ登録(無料)」をすれば、Amazonやセブン-イレブンなどでは還元率2%、「スターバックスカード」へのチャージで還元率5.5%に! ※貯まったOki Dokiポイントを「JCB PREMO」または「nanacoポイント」に交換した場合の還元率。 |
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【関連記事】 ◆「JCB CARD W」は「楽天カード」などとほぼ同じ、年会費無料+還元率1~3%のJCBの入門用カード!Amazonやスタバをよく利用する20~30代は注目! ◆「JCB CARD W」は、年会費無料で還元率1%以上のお得な高還元クレジットカード!「JCB CARD W」のメリット・デメリットを他のカードと比較して検証! ◆JCB CARD W(ダブル)のメリットを解説!「年会費無料」「常に還元率1.0%以上」「ポイントの使い勝手が良い」と三拍子そろった高還元クレジットカード! |
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◆au PAY カード |
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1.0~2.0% |
初年度無料 次年度以降も 条件次第で無料(※) |
VISA Master |
- |
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【au PAY カードのおすすめポイント】 通常還元率1.0%でPontaポイントが貯まり、マツモトキヨシやかっぱ寿司などの「au PAY ポイントアップ店」では還元率1.5~2.0%以上に達する、auユーザー以外も得するクレジットカード! さらに、スマホ決済の「au PAY」へのチャージでも1.0%分のポイントが貯まり、「au PAY(コード払い)」の利用時に0.5%分のポイントが貯まるので、合計還元率1.5%でPontaポイントを2重取りできる! しかも、初年度は年会費無料、2年目以降は年会費1375円(税込)だが、年に1回でもカード決済、もしくは携帯電話などのauのサービスを利用していれば次年度以降の年会費も無料に! ※ 2年目以降1375円。ただし、年一回でも利用した場合、もしくは「au ID」に「au PAY カード」を紐付けて、携帯電話などのauサービスを利用している場合は次年度無料。 |
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【関連記事】 ◆「auカブコム証券+au PAY カード」で積立投資すると最大5%のPontaポイントが貯まる! つみたてNISAも対象なので、これから投資を始める人にもおすすめ! ◆「au PAY カード」を使って、auカブコム証券で投資信託の積立投資をしてみた! 積立金額の1~5%分のPontaポイントが付与されるタイミングなどを検証! |
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◆セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード Digital |
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0.5~2.0% | 初年度無料 次年度以降も 条件次第で無料(※1) |
AMEX | Suica |
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【セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード Digitalのおすすめポイント】 通常還元率は0.5%だが、QUICPay決済を利用した場合は還元率2%に大幅アップ!(※2)セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンといったコンビニはもちろん、マツモトキヨシやツルハグループなどのドラッグストア、ビックカメラやヨドバシカメラといった家電量販店など、QUICPayを利用できる店舗ではいつでもどこでも還元率2%になるので非常にお得! 貯まるポイントは、有効期限のない「永久不滅ポイント」なので、ポイントの失効を気にする必要がないのもメリット! ※1 2年目以降1100円。ただし、年一回でもクレジットカードの利用があれば次年度以降も無料。※2 年間合計30万円までの利用分が対象。以降は還元率0.5%。 |
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【関連記事】 ◆「セゾンパール・アメックス・カード Digital」は、QUICPayで2%還元と超お得! 最短5分で発行できる「SAISON CARD Digital」の申し込み方法も解説! ◆還元率が高い、おすすめのクレジットカードを紹介!クイックペイを利用すれば還元率2%になる「セゾンパール」など、年会費が実質無料で注目の3枚をチェック |
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