「積み立て」で投資した場合と、「一括」
ダイヤモンド・ザイでは、特集「
「積み立て」というと「預金」
安いときにはたくさん買い、高いときには少なく買う。
積み立てなら、お買い得になる下落局面を逃がさない!
投資信託の取引単位は「口数(くちすう)」だ。基準価額は「1万口あたりの価格」なので、購入口数は「購入額÷(基準価額÷1万口)」で算出する。
たとえば、基準価額が1万円のときに1万円分買った場合、保有口数は1万口になる(※設定時に1口=1円の投資信託の場合)。基準価額が下がると、同じ1万円でも買える口数は増え、基準価額が上がると買える口数は減る。
投資信託のように日々値動きがあり、しかも「量り売り」ができる商品を、毎月・毎週など一定のスケジュールで同じ金額で買い続ける方法を「ドルコスト平均法」という(ちなみにドルとは「一定の金額」の意味だとか)。
ドルコスト平均法の例を、下の図に示した。
図にあるように、積み立てスタート時は、投資信託の基準価額が1万円だったとしよう。それが5カ月間で上記のように上下した場合、毎月1万円ずつ買い続けると、5カ月で買えた口数は5万5000口以上になる。仮に、当初5万円で一括で購入した場合(=購入口数は5万口)と比較すると、5000口以上も多くなる計算だ。
そのため、基準価額が1万円から1万3000円に値上がりした場合、口数と値上がり率を掛け合わせた評価益は、一括で購入した場合より積み立てのほうが多くなる。しかも証券会社や銀行の口座から自動引き落としで勝手に買ってくれるから、自分では買う勇気がない下げ局面でも機械的に買えるのが、積み立てのいい点だ。
しかも、積み立ての場合、5カ月の平均購入単価は9059円(5万円÷5万5191口×1万円)となり、一括購入時の平均単価1万円より安くなる。このように時間を味方につけて資産を効率的に増やしていけるのが、ドルコスト平均法のメリットだ。
積み立て投資は一括投資より
「一時的な下落リスク」に強い!
ドルコスト平均法による積み立てを、実在する投資信託で示したのが下の図である。
「三井住友・DC新興国株式インデックスファンド」を、2011年5月から2017年4月までの6年間(72カ月間)、毎月2万円ずつ買い続けた場合、基準価額は積み立て開始早々から下落を続けたが、その間、多くの口数が買えた。基準価額が回復するにつれて評価損は解消され、評価益が積み上がっていった。結果、6年間の積立金額144万円に対して、26万円の評価益を出している。
実は、この投資信託の場合、2011年5月に一括で購入した場合の評価益は約29万円と、積み立て購入の場合を上回っていた。ただし、一括購入の場合、最大27%下落した2011年9月時点での評価損は39万円にもなってしまい、その恐怖感から保有する投資信託を手放してしまっていた可能性もありうる。
その点、積み立てはその時点で10万円分しか保有しておらず、下落時に口数が多く買えたこともあり、評価損は1万8000円、積立額の18%ですんでおり、積み立てのほうが下落リスクに強かったことがわかる。このメリットを知っておき、基準価額が下落した場合でも慌てずに、積み立てを続けることが大切だ。
ただ、ドルコスト平均法で儲かるのは、基準価額が上がり続けるか、基準価額が下がっても再び回復してくる投資信託の場合。基準価額がずっと下がり続ける投資信託を、仮に毎月2万円ずつ積み立てた場合、積み立ての期間が長くなるほど損失は膨らんでいく(左図参照)。積み立てに限った話ではないが、成長が見込める投資信託でなければ、利益は出ないのだ。
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