本来、学びは楽しいものですが、小さい子は30分じっとしているだけでも難しい。ですから、迷路やパズルなどの遊びを交えながら、徐々にじっと座っていられる時間を増やしていくんです。家庭でも、幼児教室で教わったことをそのままにせず、復習させるようにしていました。

――家庭での幼児教育で、意識したことはありますか。

 一つは、「リビング学習」を早いうちから取り入れたことですね。リビングに学習机を置いて、遊びと勉強でモードを分ける練習をしました。リビング学習だと、家事をしながらでも勉強の見守りができて、集中していないときは声掛けもしてあげられます。

 あとは、私自身が航空会社で地上勤務をしていたときに5分前行動をたたき込まれたこともあって、5分区切りで時間を意識する感覚を身に付けさせました。アナログ時計を部屋に置いて、「長い針が6になったらお風呂に入ろう」とか「5分で宿題を終わらせよう」とか。

――家事や仕事をしながらだと、なかなか子育てに時間を割きづらいと思うのですが、こつはありますか。

 一番のこつは、前日に次の日のプランを考えておくことです。とにかく時間がないので、隙間時間がすごく大事。実際、私がやってきた子育ては全て、「いかに隙間の時間でやるか」に懸かっていました。キッチンの横で塗り絵をさせたり、冷蔵庫に貼ったマグネットで図形を作ってもらったり、遊ばせながら課題を与えて、できるだけ目の届くところでやってもらうんです。

写真:インタビューPhoto by N.H.

――小学生以降の学習習慣はどのように付けたのでしょうか。

 小学4年生の夏までは公文式教室に通わせていました。公文式教室の先生に相談して、それまでに中学1年生の範囲まで終わらせるように進めてもらい、そこから先は中学受験塾に行かせるようにしました。公文の宿題を1人で解いていけたので、幼少期から少しずつ負荷をかけていったのが良かったのかもしれないですね。

中学受験は地元の小さな塾に!
口コミに流されず自分のペースに合わせる

――中学受験はもともとさせる予定だったのですか。

 そうですね。中学入学以降は子どもがある程度自分で考えられるようになるので、中学受験までは私が責任を持って手塩にかけて育てようと決めていました。

 中学受験で塾に行かせるか、行くならどこの塾にするかは少し悩みました。子どもが100人いれば100通りの子育てがあり、その中でわが家はどういう方針で行くか決めていかなければならないので。

――中学受験塾には行かせたのでしょうか。

 地元にある小さな塾に通わせました。大手進学塾は、オプションやコース別の授業が多くて金銭的に負担が大きかったんです。それに小さな塾でも大手進学塾の模試が受けられるので、子どもの学力レベルはどのくらいなのか、把握できます。普段の学習においても、何個もコースを受講しなくても過去問を自分で解いてみて、分からないところを先生に聞くなどして、日々の学習の積み重ねでカバーできていました。

 何より、この方法が子どもの学習ペースに合うと思いました。結局子どもに合ったやり方を見つけることが、学力を上げる一番の近道なんですよね。だから、日々ママ友やSNSなどから大手の進学塾の口コミ情報がたくさん入ってくるんですが、流されないように努めました。