FP花輪陽子のシンガポール移住日記
【第23回】 2017年7月4日 花輪陽子

シンガポールでお得に、賢く賃貸物件を選ぶ方法は?
エージェントを雇って家賃や修理の交渉が必須の、
シンガポールの賃貸物件選びのコツと注意点を解説!

不動産相場が値下がりする中、物件探しを実行中!
日本と異なるシンガポールの賃貸物件事情とは?

 ファイナンシャル・プランナー(FP)の花輪陽子です。

 家族とともにシンガポールに移住して、2年が経ちました。最近は、現在契約している物件で家賃の値下げ交渉をしつつ、新たな住まい(賃貸物件)を探しています。移住してきたばかりの2年前と比較すると、シンガポールの不動産市場は全体的に価格が下がっているので、家賃の大幅な値下げ交渉ができないかと狙っています。

 日本人も含め、多くの外国人が住むセキュリティや設備がしっかりしたコンドミニアムの価格も、やはり前より下がってきています。2~3ベッドルームの間取りの場合、日本人が多いエリアでは月30~40万円前後、郊外ならば月20万円前後の予算を見ておけば、十分に物件を探せるようになりました。もっとも、元々の家賃相場が高かっただけで、家賃相場が下がってきたといっても、まだまだ高額な印象は否めません。

 それにしても、シンガポールでの賃貸物件探しは、日本とは慣習が異なる部分も多いので、カルチャーショックを受けることがしょっちゅうです。そこで、今回は日本人が移住するなら知っておきたい、シンガポールの不動産事情をお伝えします。

シンガポールで不動産を探し、大家と交渉する際には、
借り手と貸し手の双方がエージェントを付ける

 シンガポールで不動産を探すには、「PropertyGuru」などの不動産サイトを利用すると便利です。希望の物件を見つけたら、広告を出しているエージェント(仲介業者)に連絡を送ります。サイトから簡単に定型文のメッセージを送ることができます。そうすると先方から連絡が来て、見学の手筈を整えてくれます。

不動産サイト「PropertyGuru」不動産サイト「PropertyGuru」。シンガポールのさまざまな賃貸物件・売却中の物件の情報をチェックできます。
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 私もこのサイトを利用しているのですが、物件情報ばかりでなく、家賃相場も簡単にチェックできるので、非常に便利です。

 注意点としては、ホームページの更新がかなり遅く、すでに入居者が決まっているのに、広告を出し続けている物件も多い点。また、同じ物件を複数のエージェントが広告していることもあるので、それぞれに連絡をすると時間の無駄になる点くらいでしょうか。

 シンガポールでの賃貸物件探しでは、日本とは異なり、大家と借り主の双方がエージェントを付けるのが一般的です。自分側のエージェントがしっかりしていないと不利益を被ることも多いので、優秀なエージェントを見つけなければなりません。エージェントにはさまざまな人がおり、語学に長けた人も大勢います。英語が苦手な人は、日本語が話せるエージェントを付けることも可能です。

 実際に不動産を見て回る際には、1日に希望エリアの類似物件を何件も回ることが多いです。入居中の物件を見せてもらう場合もよくあります。

 よさそうな物件があったら、現地で収納やキッチン周り、ダストシューター(部屋の中にあるかどうか)など、細かいところまでチェックをしたほうがよい、という点は日本での物件探しと同じです。とある1階の物件を見に行ったところ、内覧の際にもゴキブリの死骸が転がっていて、「虫がたくさん出るんだな」と思い、諦めました。現地に行ってみないとわからないことはたくさんあります。

 日本でも同じですが、手続きを早く進めないと人気物件はすぐに抑えられてしまいます。希望物件を決めたら、仮契約の手続きを進めます。この際、手付金(家賃1ヵ月分、後で家賃に充当される)を支払うのが日本と違う点です。

 賃貸契約を締結する際には、敷金2ヵ月分と印紙税を支払います。そのため、家賃が月30万円の物件を契約するには、最低でも100万円程度を準備しておく必要があります。

修理業者のレベルは日本より劣っていることが多いが、
交渉次第で家賃を値下げしてもらえることも!

 契約は2年更新が一般的です。契約時には、エアコンのメンテナンス費用など、別途費用が発生した場合に、貸し手と借り手のどちらが負担するのか。また、退去時の取り決めなど、細かいことをきちんと取り決めておかなければなりません。

見学で訪れたとあるコンドミニアム見学で訪れたとあるコンドミニアムにて。シンガポーリアンはHDBと呼ばれる団地住まいの人が多いですが、海外からの駐在員の大部分はコンドミニアムに住んでいます。

 契約にそれらの内容を盛り込んでおかないと、後から揉め事になることもあります。といっても、素人にはなかなか難しいので、詳しい人に事前に相談をするのも手です。

 鍵の引き渡しの後も、決められた期日までに修理が必要なところはリクエストをして直してもらっておかないと、退去の際に修理代金を請求される可能性があります。

 ただ、日本と違って、修理業者がいい加減なことが多く、こちらの希望通りに修理をしてもらえないことも珍しくありません。そのため、退去間際に依頼すると、修理が間に合わないリスクもあります。

 このように、シンガポールの不動産契約は日本と比べてストレスがたまりやすいです。電気、ガス、水道などのインフラ、ケーブルテレビ、インターネット等の開通は、不動産エージェントが斡旋してくれることも多いので、その点は気が楽なのが救いです。

 日本では家賃相場がエリアの相場価格で落ち着いており、市場価格から大きく外れた物件は何らかの理由がある場合が少なくありません。契約前に家賃の値下げ交渉を行う人もいるでしょうが、礼金をまけてもらえることなどはあっても、家賃が大幅に引き下げられる例は滅多にないでしょう。

 しかし、シンガポールでは、交渉次第で大幅に家賃を値下げしてもらえることが結構あります。契約や更新の際、当初から1割以上の値下げ交渉に成功した、と言っているシンガポーリアンや外国人の友達もたくさんいます。この点は日本との大きな違いと言えます。

シンガポールには住むエリアごとのヒエラルキーはある?
シンガポールで生活する際のご近所づきあいとは?

 格差が大きいシンガポールでは、住むエリアによるヒエラルキーなども存在するのか、気になるところかもしれません。実際、お金持ちが集まるエリアと、庶民が住むエリアは分かれているので、ある程度、ヒエラルキーは存在すると言っていいでしょう。

プール付きシンガポールのコンドミニアムプール付きの物件が多いシンガポールのコンドミニアム。

 しかし、シンガポールは国土の端っこから中心地に移動したとしても、せいぜい30分程度しかかからないので、郊外に住んでも通勤・通学には何の問題もありません。よって、エリアのヒエラルキーなど気にせず、基本的には実利をとるべきです。

 シンガポールは他民族多文化なので、日本ほど近隣に気を遣う必要はありません。特にコンドミニアムでは、人付き合いをまったくと言っていいほどしなくてもよいので、気が楽です。新しく引っ越してきたからお菓子を渡す、というような文化も存在しません。

 コンドミニアムによって日本人が多い、白人が多いなどさまざまなカラーはあります。日本人の友達をたくさん作りたい人は日本人が多いコンドミニアムを選んだほうがいいかもしれません。子どもがいる家庭は、子どもが通うスクールバスが近所まで来るかなども、重要な要素になります。

「PropertyGuru」は日本にいながらも調べることができるため、シンガポールに移住を検討している方などは、一度は閲覧してみるのをおすすめします。売り出し中の豪邸の情報や、超高級物件の賃貸情報もあり、セレブの暮らしを垣間見ることができて面白いので、シンガポール移住者の住環境に興味がある人にもおすすめです。