外国人の「ライフプラン」の考え方は日本人と大違い⁉
相談者は自分で「バランスシート」を作るのも当たり前
シンガポール在住のファイナンシャル・プランナー、花輪陽子です。
最近、シンガポールに住んでいるさまざまな国籍の方から、「ライフプラン」の相談を受ける機会が増えました。
ライフプランとは、直訳すると「人生設計」ですが、ファイナンシャル・プランナーが担うのは、その中でもお金の部分。たとえば、理想的な人生を送るためにはどれくらいお金が必要で、そのお金をどうやって準備すればいいのか、などのアドバイスを行います。
これまでに米国や欧州、中華系の人などから相談を受け、実際にアドバイスもしてきましたが、そのときに感じたのは「彼らの考え方は、日本人と根本的に違っている」ということでした。
日本人の場合、ファイナンシャル・プランナーに相談する段階で、自分たちの資産の全体像を正確に把握できていて、将来どうしたいか、といったプランが明確な人はとても少ない印象です。
たとえば、夫婦がお互いの貯蓄について把握していなかったり、加入している貯蓄型の保険の解約返戻金が、どれくらい戻るかわかっていなかったり……。将来についても、「老後も今の場所に住んでいるかはわからない。田舎に帰るかも」「夫婦で老人ホームに入居したい」など、漠然と考えている人はよくいますが、具体的な資金計画までは立てていない場合が大半です。
それとは対照的に、私がアドバイスした外国人たちの大部分は、自分で「バランスシート」(資産と負債がどれくらいあるかを示すもの)を作成し、預金や株、債券、投資信託、不動産などの資産価値を時価で把握していました。
また、「老後はこの国に住みたい」「医療サービスを受けるならこの国がいい」「金融サービスはこの国のものを利用したい」といったように、将来の計画をグローバルな視野で、具体的に考えている人も非常に多かったのです。
彼らは、一様に「せっかく専門家に相談するのだから、ちゃんとした情報を出さないと正確なアドバイスがもらえず、もったいない」と考えているようです。日本人の相談者とライフプランに関して話すときには、「今後が不安で……どうしたらいいでしょうか?」などと、質問が漠然としていることがよくありました。これに対し、外国人たちは「外債を何本か買って、6~7%くらいの利回りを出すようにしたいが、どんなものを組み合わせればいいか」といった具合に、質問の内容も明確でした。
もちろん、漠然とした不安があるだけで、何をどうしたらいいかわからない人、金融リテラシーにまったく自信がない人も、どんどんファイナンシャル・プランナーに相談していいのです。ただ、資産の全体像を明らかにすること、なるべく具体的な質問や要望を伝えることを意識したほうが、より的確なアドバイスを受けられるということは、頭の片隅に置いておくといいかもしれません。
国や勤務先に依存せず、リスクを常に視野に入れる
資産は最低でも2~3種類の通貨建てに分散する!
そのほかに、外国人と日本人で大きく違うと感じたのが、「リスク意識」の高さです。日本では、いま年金不安が高まっていますが、そのわりに、まだまだ社会保障などへの依存心は強く、「国の危機に備えて、自分で資金準備をしておこう」という考えが希薄な人が目立ちます。
また、「老後は退職金で何とか……」と考えている人もいるかもしれませんが、基本的に退職金の額面は固定されているわけではないので、勤務先の経営状況が悪化するリスクも考えて、自己防衛をしなければなりません。しかし、そこまで考えが及んでいない人も多いのです。
これに対し、シンガポールで出会った外国人たちは「万一に備えて、いくつもの逃げ道を準備しておきたい」というのが、共通の見解です。その一環として、彼らは資産を複数の通貨で保有しています。日本だと、円建ての資産しか保有していない人が圧倒的多数ですが、シンガポールに住む外国人は、預金や金融商品を自分の母国の通貨とシンガポールドル、それに米ドルなどのメジャー通貨で保有している場合が多いのです。
リスクヘッジとして複数の国の社会保険制度に加入し、それぞれの国から保障を受け取れるようにプランニングしている人も珍しくありません。このような体制にしておけば、どこかの国の通貨が暴落したり、社会保障の仕組みにほころびが生じたりしても、立ち直れないほどの大ダメージを受けるリスクを軽減できるからです。
こうしたリスク意識の高さなどからわかるように、彼らは金融リテラシーがそれなりに高い人たちです。もっとも、すべての外国人がそうだというわけではなく、私が出会ったシンガポールに在住する、それなりに収入も資産も多い外国人がそうだった、という話なのですが、彼らのリスク意識の高さは、私たち日本人も見習うべきかもしれません。
米国人は株や投資信託を買っている人が多い
欧州の主要国では確定拠出年金や保険での運用が主流
ここからは、シンガポール在住の外国人たちが、どのような資産を保有しているのか紹介しましょう。
シンガポールに住んでいるという共通点はあっても、保有する資産の内訳は、国籍によって異なる傾向が見られます。私が出会った人のうち、米国人は株や投資信託に投資している人が多く、英国やフランス、ドイツなどの欧州の人は、保険や確定拠出年金などで老後に備えている人が多い印象でした。
欧州の主要国の確定拠出年金は、日本の確定拠出年金と同様に、投資信託などを選択して自分で運用する仕組みです。前述のように、株や投資信託を買っている割合は、欧州の人より米国の人のほうが高いのですが、欧州の人は確定拠出年金を通じて投資信託を買っているようです。要するに、米国人も欧州人も、何らかの形でリスク資産を保有している割合が高く、この点が日本人と大きく異なると言えます。
また、欧州でもシンガポールでも、香港でも、保険は貯蓄型のものが人気で、老後資金を作るためのツールとして、よく売れています。対照的に、日本では「保険はあくまで必要な保障を得るためのもので、保険料の安い“掛け捨て”型がベスト」という考え方が主流です。
私が日本の掛け捨て型保険の話をすると、多くの外国人は「掛け捨てなんて、もったいない!」と、拒否反応を示します。ちなみに、彼らは賃貸の住宅に住むことも「もったいない」といいます。どうせお金を払うなら、住宅を購入して自分の資産にしたうえで、ローンを返済したほうがいい、という発想なのでしょう。
私自身、日本にいたときは、掛け捨て型の保険がベストだと考えていました。しかし、今は必ずしもそうではないと感じています。貯蓄型で、しかも元本保証であれば、保障は確保した上で、払い込んだ保険料も回収できます。必要な保障を得られて、元本を上回る保険金が戻ってくるわけですから、損することはないのです。
ただし、保険料は掛け捨て型よりも格段に高くなりますし、所定のタイミングよりも早く解約すると、通常は元本割れしてしまいます。その元本割れするか、しないかの損益分岐点に至るまでの期間が非常に長い点はネック。資金が長期間にわたって固定されてしまうわりに、利回りはあまりよくないので、資産運用をするなら保険以外の金融商品を検討したほうが、よっぽど資金効率が良いと見なされています。
しかし、価値観は人それぞれです。たとえ資金効率はよくても、保険料を捨てることに抵抗感を覚えるなら、貯蓄型の保険を検討するのも悪いことではありません。以前の私なら、掛け捨てを渋る相手を説得しようと試みたかもしれませんが、資金的に余裕がある人であれば、あえて掛け捨てを選ばない選択もアリだ、と海外でライフプランの相談を受けることが増えるにつれて、考えるようになりました。
さて、今回は外国人のライフプランの立て方について紹介しました。私が出会ったのは、海外経験が長く、資産形成の面でもエリートの人が多いのかもしれませんが、彼らに共通しているのは、地に足がついた人生設計をしていることです。日本で資産運用をする場合、シンガポールなどの海外とは環境が大きく異なりますが、たとえばリスク管理の考え方など、マネできるところは取り入れてみるといいかもしれません。
『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社プラスα新書)
経済成長率3.5%で、定年退職は67歳。人口減少に影響されない社会保障制度が完備され、優秀な外国人労働者を優遇し、なおかつ教育環境も高水準な国・シンガポール。日本もお手本にしたい、少子高齢化でも老後不安がゼロのシンガポールが実行している合理的で賢い政策を、現地在住のファイナンシャルプランナーならではの視点で紹介!
※クレジットカードの専門家2人が選んだ、2023年の最強カードは?
⇒【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】
「おすすめクレジットカード」を2人の専門家が選出!
全8部門の“2023年の最優秀カード”を詳しく解説!
※証券や銀行の口座開設、クレジットカードの入会などを申し込む際には必ず各社のサイトをご確認ください。なお、当サイトはアフィリエイト広告を採用しており、掲載各社のサービスに申し込むとアフィリエイトプログラムによる収益を得る場合があります。 |
▼節約の第一歩はATM&振込手数料が無料のネット銀行選びから!▼ | |
---|---|
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() ![]() |
【2023年11月15日時点】 ■編集部おすすめのネット銀行はこちら! |
|||
普通預金金利 (年率、税引前) |
定期預金金利(年率、税引前) | ||
---|---|---|---|
1年 | 3年 | 5年 | |
◆イオン銀行(イオンカードセレクト保有者) ⇒詳細ページはこちら! | |||
0.05% (「イオン銀行Myステージ」の 「ゴールドステージ」の場合) |
0.01% | 0.01% | 0.01% |
【イオン銀行のおすすめポイント】 2018年4月に始まった「イオン銀行Myステージ」で「ゴールドステージ」になれば、普通預金金利が0.05%に!「ゴールドステージ」になるには、イオン銀行スコアが100点必要なので、「イオンカードセレクト」の保有(+10点)、インターネットバンキングの登録(+30点)、最低1000円からの投信自動積立の口座振替(+30点)、最低500円からの外貨普通預金積立の口座振替(+30点)といった条件をクリアするのがおすすめ。さらに、「ゴールドステージ」になれば、イオン銀行ATMの手数料は24時間いつでも何回でも無料なのはもちろん、他行ATMの入出金手数料と他行あて振込手数料がそれぞれ月3回まで無料になる! |
|||
【関連記事】 ■【イオン銀行の金利・手数料・メリットは?】イオン銀行利用者は「イオンカードセレクト」が必須!簡単に普通預金が定期預金並みの金利0.05%にアップ! ■「イオン銀行Myステージ」で簡単にステージを上げる攻略法を伝授! 普通預金金利が0.10%になり、各種手数料もお得な「プラチナステージ」になる方法は? ■定期預金金利に匹敵する普通預金があった! 普通預金の金利がメガバンクの100倍以上で各種手数料もお得な「イオン銀行」を使え! |
|||
◆UI銀行 | |||
0.10% | 0.20% | 0.20% | 0.20% |
【UI銀行のおすすめポイント】 2022年に東京きらぼしフィナンシャルグループが新たに開業した銀行。キャンペーンとは関係なく、1年~5年もの定期預金の金利が0.20%と高金利なのがメリット! さらに、普通預金は、口座を保有している人なら誰でも金利0.10%とメガバンクの100倍の高金利! また、セブン銀行ATMの出金手数料は最大で月20回まで無料、他行あて振込手数料も最大で月20回まで無料でお得! |
|||
【関連記事】 ■定期預金の金利が高い銀行ランキング[最新版]貯金をするなら、メガバンクの100倍以上も高金利でお得な銀行を選ぶのがおすすめ! ■【2023年版】ネット銀行おすすめ人気ランキング! この1年間で口座開設の申し込み数が最も多かったザイ・オンライン一番人気のネット銀行はここだ! |
|||
◆SBI新生銀行 ⇒詳細ページはこちら! | |||
0.10% (※1) |
0.30% (※2) |
0.20% | 0.35% |
【SBI新生銀行のおすすめポイント】 「ステップアッププログラム」のステージが「ダイヤモンド」の場合は普通預金金利が0.10%に大幅アップ! しかも「ダイヤモンド」は、SBI証券との口座連携サービス「SBI新生コネクト」を利用するだけで簡単に到達でき、他行あて振込手数料が月50回まで無料になる特典なども受けられてお得! そのほか、新規に口座開設した人限定の「スタートアップ円定期預金」なら、3カ月もの定期預金の金利が1.00%、1年もの定期預金の金利が0.30%に大幅アップ! また、2023年10月2日からは、他行からの振込入金などで現金がもらえる「キャッシュプレゼントプログラム」もスタート。 ※1「ステップアッププログラム」でダイヤモンドの場合の金利。なお、SBI証券との口座連携サービス「SBI新生コネクト」を利用すると翌々月からダイヤモンドに到達可能。※2 新規に口座開設した人限定の「スタートアップ円定期預金」適用時の金利。 |
|||
【関連記事】 ■【SBI新生銀行の金利・手数料・メリットは?】SBI証券との口座連携「SBI新生コネクト」の利用で、普通預金金利アップ&振込手数料が月50回まで無料! ■「SBI新生コネクト」を利用すれば、SBI新生銀行の金利や手数料がお得に! SBI証券と口座を連携して、最上位「ダイヤモンド」ステージの特典を活用しよう! |
|||
普通預金金利 (年率、税引前) |
定期預金金利(年率、税引前) | ||
1年 | 3年 | 5年 | |
◆東京スター銀行 ⇒詳細ページはこちら! | |||
0.25% (※1) |
0.002% | 0.002% | 0.002% |
【東京スター銀行のおすすめポイント】 東京スター銀行を給与(バイトやパートも含む)または年金の受取口座に指定すると、普通預金金利が「0.001%⇒0.25%」に大幅アップするのが大きなメリット! さらに、コンビニATMの出金手数料は、月8回までなら24時間365日いつでも無料なので使いやすい。また、通常の定期預金のほか、年利0.05%の「スターワン1週間円預金」や「スターワン円定期預金+」など、お得な金融商品を数多くラインナップ。 ※1 東京スター銀行を給与または年金の受取口座に指定した場合。 |
|||
【関連記事】 ■【東京スター銀行の金利・手数料・メリットは?】「ATM手数料」や「振込手数料」がお得なネット銀行。さらに、給与振込で普通預金金利が250倍にアップ! |
|||
◆楽天銀行 ⇒詳細ページはこちら! | |||
0.10% (※1) |
0.15% (※2) |
0.02% | 0.02% |
【楽天銀行のおすすめポイント】 「楽天証券」との口座連動サービス「マネーブリッジ」を利用すれば、普通預金金利がメガバンクの100倍の0.10%に大幅アップ! しかも、楽天証券の申し込みページから「楽天証券の口座+楽天銀行の口座」を同時に開設できるので、普通預金金利が高金利な「マネーブリッジ」の利用も簡単! また、「マネーブリッジ」を利用しても特に投資をする必要はないので、とりあえず楽天証券の口座も開設して、楽天銀行の普通預金だけ利用してもOK! ※1「楽天証券」保有者の「マネーブリッジ」適用時。300万円を超えた分の普通預金は金利0.04%の適用。※2 2024年1月31日までの「円定期預金 冬のボーナスキャンペーン!」適用時の金利。 |
|||
【関連記事】 ■【楽天銀行の金利・手数料・メリットは?】楽天証券との口座連動により普通預金金利が5倍に!振込や口座振替などで「楽天ポイント」も貯まる! ■「楽天銀行」と「楽天証券」はセットで使うのが得!預金金利が5倍、配当金受取で現金プレゼントなど、証券と銀行の連携でさらに得するサービスが充実! |
|||
|
|||
◆商工組合中央金庫 商工中金ダイレクト | |||
0.001% | 0.25% (※1) |
0.30% (※1) |
0.007% |
【商工中金のおすすめポイント】 2024年3月29日までに新規口座開設して、定期預金「マイハーベスト(1年・2年・3年)」に預け入れると、金利が0.25~0.30%に大幅アップするキャンペーンが実施中!(※1)また、平日8~18時と土曜9~14時の時間帯は、コンビニATMでの出金手数料が何回でも無料! ※1 2024年3月29日までの「定期預金キャンペーン(新規口座開設者向け)」適用時の金利。口座開設月から6カ月以上経過している場合、1年もの定期預金は金利0.21%、2年もの定期預金は金利0.23%、3年もの定期預金は金利0.25%。 |
|||
【関連記事】 ■定期預金の金利が高い銀行ランキング[最新版]貯金をするなら、メガバンクの100倍以上も高金利でお得な銀行を選ぶのがおすすめ! ■【2023年版】ネット銀行おすすめ人気ランキング! この1年間で口座開設の申し込み数が最も多かったザイ・オンライン一番人気のネット銀行はここだ! |
|||
◆ソニー銀行 ⇒詳細ページはこちら! | |||
0.001% | 0.02% | 0.05% | 0.10% |
【ソニー銀行のおすすめポイント】 外貨に強いネット銀行。Visaデビット付きキャッシュカードの「Sony Bank WALLET」なら海外事務手数料が0円なので、海外での買い物がクレジットカードよりお得! 優遇プログラム「Club S」のステージなどにより、ATM出金手数料は月4回~無制限で無料、他行あて振込手数料は最大月11回まで無料! 毎月無料で決まった金額を、他行から手数料無料で入金できる「おまかせ入金サービス」も便利。 |
|||
【関連記事】 ■【ソニー銀行の金利、手数料、メリットは?】外貨に強いネット銀行。Visaデビット搭載のSony Bank WALLETならクレジットカードよりお得に海外ショッピングが可能 ■「ソニー銀行」の顧客満足度調査の評価はなぜ高い? 手数料や金利で突出したメリットが見当たらなくてもなぜかユーザーから支持されている理由はどこだ!? |
|||
※ 100万円を預けた場合の2023年11月15日時点の金利(年率、税引前)。金利は税引き前の年利率であり、利息には20.315%(国税15.315%〈復興特別所得税含む〉+地方税5%)の税金がかかります。また、最新の金利は各銀行の公式サイトをご確認ください。 |