iDeCo(個人型確定拠出年金)おすすめ比較&徹底解説[2019年]
2017年8月7日 山崎 俊輔

iDeCoで運用できる商品「元本確保型商品」と
「投資信託」を解説! 定期預金はペイオフの対象、
投資信託は手数料が安いなど、メリットと注意点は?

「iDeCo」を財形年金やNISAと比較!
NISAと違って「安全運用」も可能!

iDeCoのおすすめ金融機関

 前回までiDeCo(個人型確定拠出年金)の仕組みやお得な節税メリット、そしてiDeCo口座を開設する金融機関の選び方について説明してきました。今回からはiDeCoでの具体的な資産運用の方法について考えていきます。

 iDeCoは、自分で毎月掛け金を積み立て、自分で運用して老後資金を作る、いわば「自分年金」です。では、具体的にどんな商品を運用することができるのでしょうか。

 その前にまず、iDeCoと他の資産運用の制度との違いをおさらいしましょう。

iDeCoの運用商品「元本確保型商品」と「投資信託」を解説!iDeCoでは、投資信託などの投資商品だけでなく、定期預金などの元本確保型商品も運用できます。

 老後に向けた資産形成を考えたとき、iDeCoは会社で天引き積立を行う「財形年金」や証券会社で株や投資信託を運用する「NISA」とよく比較されます。この3つの制度のうち掛金を拠出する段階で非課税メリットを得られるのはiDeCoだけですが、運用益に課税されないというメリットは3つの制度すべてで得られます。

 取り扱われている商品については、3つの制度で対照的です。財形年金は定期預金のみ(保険商品も性格は同じ積立タイプ。まれに投資信託で積み立てられる財形年金があるが少数派)、NISAはリスク性商品のみ(株式投資と投資信託が対象。一方で、リスクが低めの個人向け国債などは投資不可)が対象になります。

 もしiDeCo以外の非課税メリットが得られる資産運用の制度をつかって、安全性にも配慮した運用や資産形成を行いたいなら、財形年金とNISAの2制度を同時並行して積み立てる必要があります。

 一方、iDeCoは「元本確保型商品」と「(リスク性商品である)投資信託」のどちらも運用商品として選べる制度になっています。元本確保型商品では定期預金を中心とした安全性の高い運用ができ、リスク性商品である投資信託を通してリスクをとった運用も行えます。

 また、その「元本確保型商品」と「投資信託」を組み合わせる割合もiDeCoでは自由に決められますし、運用を始めた後、その割合を調整したい場合もiDeCo内でスイッチングをするだけで、リスク調整ができます(財形年金とNISA間で、資金移動はできません)。

 iDeCoにまつわる誤解として、「iDeCoは投資をしなければいけない」というものをよく耳にします。しかしiDeCoでは、必ずしもすべての資金を投資信託に投資しなければならないわけではなく、資金の100%を「元本確保型商品」の定期預金に預けることもできます。あるいは数割だけ投資をする、という選択もできます。iDeCo投資の本当のポイントは、「投資資金をどう資産配分して、運用していくか」にあるのです。

【iDeCoの運用選択肢(1)】
元本確保型商品には2種類ある?
「定期預金」と「保険タイプの商品」の違いを紹介!

 ここで、iDeCoの運用商品としてラインナップされている「元本確保型商品」と「投資信託」の特徴を確認しておきましょう。

 まず「元本確保型商品」とは、満期まで保有すると預入時に提示された利回りと元本が返ってくるタイプの金融商品を指します。元本保証といわず元本確保と呼ぶ理由は、中途解約の条件によって元本割れする可能性があるからです。

 定期預金などの銀行預金タイプの金融商品については、中途解約の場合、解約金利を適用します。つまり、解約手数料が元本からマイナスされるのではなく、解約金利によって受け取る金利が少なくなるのです。

 生命保険会社や損害保険会社が提供する保険タイプの元本確保型商品については、中途解約の場合、利息は預けた期間に応じて付利され、解約手数料(解約控除という)を徴収します。このため、解約のタイミングによっては利息を手数料が上回り、元本割れする可能性があります。

 またややこしいことに「この解約手数料の計算はその時点での金利情勢による」というような曖昧な表記が商品概要などに記載されていることもあり、解約するまでコストが分からないのが難点です。一般には満期時期が近づいているなら解約控除のマイナスは生じず、まだ預けたばかりの解約時には解約控除でマイナスが生じます。ただし、転退職に伴うやむを得ない解約(企業型DCからiDeCoに移すため)や、60歳以降の給付のために解約についてはペナルティを取らないのが一般的です。

 預貯金タイプと保険タイプは、保険タイプのほうがやや金利が高いという傾向がありましたが、現状ではマイナス金利の影響でほとんど差がありません。定期預金よりも保険商品のほうが金利は明らかに高く、かつ満期まで保有する覚悟がなければ、保険商品の活用は留意したほうがいいでしょう。

 iDeCoの元本確保型商品は、金融機関によって、少ない場合は銀行定期預金1本のみ、多い場合は銀行・生損保をまたいで、また満期の異なる商品をそろえて合計で4~5本ほどラインナップされることが多いようです。

 3年定期預金と5年定期預金があった場合、満期が長いほど金利は高くなりますが、最近はマイナス金利政策の影響でそうした差がほとんどありません。将来金利が回復したとき、預け替えをしたら手数料を取られて元本割れした、ということのないようきちんと商品選びをしたいところです。

 ここまで説明した元本確保型商品の解約時の手数料によるものとは別に、金融機関の破綻時にも元本が戻ってこない可能性がある点も注意すべきです。

 iDeCoでも銀行の元本確保型商品は、預金保険保護機構のルールに則り、ペイオフ対象になります。手元で保有していた預金残高とiDeCoでの預金残高の元本合計が1000万円を超えた場合、その利息までが保護範囲で、1000万円を上回る分は全額が保護されるわけではありません。ちなみに優先順位はiDeCoのほうが通常の預金よりも低いため、預金残高が削られる場合はiDeCo内の定期預金が元本割れすることになります。

 保険商品については保険契約者保護機構が90%を保証し、残り10%は破綻状況によって保証割合が決まります。近年、金融機関の破綻リスクは遠ざかっている傾向にあるとはいえ、そのリスクについては知っておきたいところです。

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【iDeCoの運用選択肢(2)】
投資信託の基本的ラインナップは?
信託報酬などの手数料が安い、お得な投資信託も!

 ザイ・オンラインの読者には、投資信託の基本的な仕組みについて詳しく説明する必要はないかもしれませんが、念のため、基本的な仕組みを確認しておきましょう。

 投資信託は1人1人が少額の資金を提供し、全体として大きな資金にすることで分散投資を可能にする金融商品です。あらかじめ定められた投資対象、運用方針、手数料にもとづき運用が行われ、値動きの増減はすべて顧客に反映されます。

 個人が細かい投資判断を行わなくてもいいのが投資信託のメリットの1つで、運用会社のファンドマネージャーが運用方針に基づいた投資を行ってくれます。

 iDeCoにおいては、特に1円単位から投資信託の買い付けを可能としており、好きな金額から投資信託を使って分散投資を行うことができます。それこそ「毎月の掛金のうちの500円で、世界中の株式に分散投資してほしい」というようなことも実現可能なのです。

 投資信託には、3つの段階で手数料がかかります。

それが、
「購入時=購入時手数料」
「運用期間=信託報酬(運用管理費用)」
「解約(売却)時=信託財産留保額」

です。

 うれしいことに、iDeCoでは購入時の手数料を無料とする(ノーロード)が主流で、解約時にも信託財産留保額を取らないことが多いようです(まれに徴収する場合があり、これは運用商品に関する資料で確認できる)。

 また、信託報酬(運用管理費用)についても、確定拠出年金用の専用ファンドが設定され、割安に抑えられていることが多いようです。こういう場合、投資信託の名称に「DC専用ファンド」「確定拠出年金専用」のような文字が含まれています。

 iDeCoを老後の資産形成の1つの手段として考える上で、これらの手数料が安いことは税制優遇が受けられることの次に大きなメリットかもしれません。

 iDeCoにおいては、それぞれの金融機関が標準的な投資信託のラインナップとして国内株式、国内債券、外国株式、外国債券に投資できるインデックスファンドを各1本以上、国内株式に投資するアクティブファンドを数本採用しているのが一般的です。日本株式以外のアセットクラスのアクティブファンドを採用している場合もあります。

 なお、新興国へ投資するファンドやコモディティ、リートに投資する投資信託を採用するかどうかはiDeCoのプラン次第で、金融機関ごとの個性を出すカテゴリとなっています。

 そしてこれに加えて、1つの投資信託で複数の資産クラスに投資を行えるバランス型ファンドを1セットないし2セット採用するのが、一般的な金融機関のiDeCoプランです。

 こちらは「安全運用型、中間型、積極運用型」、あるいは「株式投資比率25、50、75」のように資産配分の異なる投資信託を3本並べて1セットとしていることがほとんどです。もちろん、株式投資比率が高い商品ほど期待リターンが高くなる一方、元本割れリスクも拡大します。

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 iDeCoの商品構成については金融機関各社の「独自性」をアピールするポイントでもあります。口座管理手数料の引き下げ競争だけでなく、運用商品の品揃えとその手数料についても注目して、口座開設の比較検討をしてみてください。

 次回は、さらに具体的にiDeCoでは定期預金と投資信託をどういう割合で持てばいいのか、どんな商品を買えば良いのかを3つのステップに沿って考えていきます。

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山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)[ファイナンシャルプランナー]
1995年株式会社企業年金研究所入社後、FP総研を経て独立。ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士、AFP)、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、消費生活アドバイザー。若いうちから老後に備える重要性を訴え、投資教育、金銭教育、企業年金知識、公的年金知識の啓発について執筆・講演を中心に活動を行っている。