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iDeCoで失敗しない「資産配分」と「運用方法」を3つのステップで紹介! 定期預金と投資信託への適切な資産配分とおすすめの投資信託の種類とは?

2017年8月18日公開(2022年3月29日更新)
山崎 俊輔
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 iDeCoでは、口座を開設するときに毎月の掛金の資産配分を指示する書類(「運用配分設定申出書」など)を提出したり、口座開設後に必ずオンライン上で掛金の資産配分を設定したりしなければなりません。つまり、掛金の資産配分や資産運用の方法を決めておかなければ、iDeCoを始めることはできないのです。

 しかし実際は、どう資産配分や運用すればいいのかわからず、「定期預金100%」で運用を始めてしまう人が少なくありません。これでは、運用益は非課税というiDeCoのメリットが得られないばかりか、高利回りを再投資することによる複利効果が得られなくなってしまいます。

 そこで今回は、iDeCoで適切な資産配分や運用方法をするための「3つのステップ」を具体的に紹介していきます。

【運用方法を決めるステップ(1)】
自分の全資産における「投資の割合」を見て、
iDeCoではいくら投資に回すかを考える

iDeCoでの運用方法を3つのステップで解説!iDeCoでの運用方法を3つのステップで解説!

 まず、iDeCo以外も含めた「あなたの全財産における投資割合」をチェックしましょう。一般的な投資では、多くの場合「100万円を証券口座に入れて、あとは売買を繰り返す」というような流れになりますが、iDeCoでは資産ゼロからスタートして毎月コツコツ原資を積み上げていきます。

 iDeCoでは長期的な資産形成を行う観点から、自分の資産全体の中の「老後資金」を育てるという感覚を持って運用したいところです。

 これまでほとんど投資をしていない人なら、iDeCo内では資産の100%を株式で運用する投資信託に全額投資してもいいでしょう。一方で、今保有している資産の半分以上が個別株だという人であれば、iDeCoでは全額を元本確保型で運用してもいいと思います。

 つまり、すでに投資をしている口座があれば、その残高なども考慮しながら、iDeCoではどれくらい投資に回すべきか、割合を考えてみることをおすすめします。多くの場合、資産ゼロからスタートするiDeCoについては、その半分以上を投資に回してもあなたの個人財産が投資偏重になることはないでしょう。

【運用方法を決めるステップ(2)】
iDeCoにおける投資割合を決定する!
「期待リターン」と「元本割れリスク」を可視化しよう

 iDeCoの魅力は、株で運用する投資信託などで「投資」を行うことも、元本確保型の定期預金などで「安全運用」を行うこともできる点です。ですから「iDeCoの掛金のうち何割を投資に回すか」を考えることは、iDeCoのポートフォリオを考えるうえで、大事なステップの1つになります。

 当然ながら、投資割合を高めれば期待リターンが上昇する一方で、投資資金が元本割れするリスクは高まります。投資初心者であれば、iDeCoでも元本割れのリスクをなるべく避けたいという人が多いのではないかと思います。そこでまずは、「期待リターン」と「元本割れリスク」を可視化するのをおすすめします。

 投資割合を考えるときは、「どれくらい投資をしたら、どれくらい上がる可能性があるか」はもちろんですが、「どれくらい下がる可能性があるか」についても意識しておくことが重要です。

 仮に定期預金などの元本確保型商品では年0.5%、投資信託などのリスク資産では年4.5%の利回りが期待でき、リスク資産の市況低迷時の下落率がマイナス15%としましょう。

 期待リターン年4.5%、元本割れの割合が年マイナス15%というのは、国内外に分散投資をした場合に想定しておきたい数値です。公的年金や企業年金の過去の実績を勘案しています(より安定的な運用を行った場合は、元本割れの割合も期待リターンも縮小します)。

 このときの投資割合に応じた期待リターンと値下がりした場合の元本割れ割合は、以下のようになります。

<投資割合3:安全資産7>
  期待リターン 1.7%
  値下がりした場合の元本割れ割合 -4.15%  
  (※定期預金の+0.5%分を加味して再計算、以下同様)

<投資割合5:安全資産5>
  期待リターン 2.5%
  値下がりした場合の元本割れ割合 -7.25%

<投資割合7:安全資産3>
  期待リターン 3.3%
  値下がりした場合の元本割れ割合 -10.35%

<投資割合10:安全資産0>
  期待リターン 4.5%
  値下がりした場合の元本割れ割合 -15%

 上記のようにざっくり計算するだけでも、リスクを可視化することができ、自分にとってベストな投資割合を考えられるのではないでしょうか。この数字から、自分が狙いたい期待リターンと許容できる元本割れの割合を勘案して、投資割合を検討してみましょう。

 もちろん投資割合を考えるときは、【ステップ1】でチェックしたiDeCo以外の資産も含めて全資産のバランスから検討することをおすすめします。手元に十分な現預金があるなら、ゼロから始めるiDeCoの数万円~数十万円の資産が15%値下がりしても、あなたの資産全体から見ればそれほど大きな支障はないからです。

【運用方法を決めるステップ(3)】
「元本確保型商品」と「投資信託」をそれぞれ購入!
投資信託は「バランス型ファンド」がおすすめ

 ここまで検討ができれば、あとは具体的な商品を選ぶだけです。

 まず「元本確保型商品」については、満期と金利を考慮しつつ、1つの商品を選んで運用すればいいでしょう。

 「投資信託」については、シンプルな投資をしたいなら、(A)バランス型ファンドを全額購入しましょう。より細かく投資を行いたい場合は、(B)さらに資産配分を検討し、インデックスファンドなどを組み合わせて運用指図をしましょう。

(A)バランス型ファンドを全額購入する

 iDeCoでは信託報酬が低く抑えられたバランス型ファンドが増えてきており、これを1つ購入すれば、リスク資産内の資産配分(株式や債券の投資比率)を投資信託サイドで常に調整をしてくれることになり、運用のメンテナンスを行う負担が軽減されます。

 ですから、iDeCoでの投資においては、バランス型ファンドの活用が現実的な選択だと思います。信託報酬が年率1%を超えるなら選択するのは論外ですが、年率0.5%を切っているバランス型ファンドなら十分考慮に値します。

 一般的なバランス型ファンドは「株式投資比率30、50、70」のような形でリスクの高低を変えた3本を1セットとしていることが多いようです。あなたの投資の選好に応じて、1つのバランス型ファンドに、投資に配分している掛金の全額を購入すればいいでしょう。もちろん、株式投資比率が高いほど期待リターンは高まり、元本割れのリスクも大きくなります。手元に定期預金をたくさんもっていたり、iDeCo内でも一部を元本確保型商品に振り向けたりしているのなら、株式投資比率の高いバランス型ファンドを選んでもいいでしょう。

(B)さらに資産配分を検討しインデックスファンドなどを組み合わせて運用指図を行う

 もし、バランス型ファンドの手数料が割高であるか、バランス型ファンドの資産配分に納得がいかないときなどは、個別の投資信託を組み合わせて資産配分を決定します。

 iDeCoの運営管理機関が開設しているサイトにアセットアロケーション(資産配分)のシミュレーションがあれば、活用してみてください。一般的には、現在の年齢を問う設問やリスクをどれくらいとってもいいかなどの設問があり、最後まで回答すると、商品のポートフォリオが提示される仕組みになっています。最近ではロボアドバイザーの機能を使って、個別商品を選ぶアドバイスをしてくれるところもあるようです。

 ただし、これを参考に商品を選ぶ場合も、投資信託の手数料が割安(年率0.5%以下)かどうか十分に留意してください。また、定期的な運用見直しが必須となることも忘れないようにしましょう。

資産配分の見直しは年1回くらいでOK!
下げ相場でも「売らずにガマンする」ことが重要

 運用の見直しについては、iDeCoの掛金の水準(会社員なら月額最大2万3000円、自営業者なら月額最大6万8000円)で、分散投資が行われているのであれば、そう頻繁に行うは必要ありません。

 そもそも投資信託は、1日に一度しか基準価額が変わりませんから、仕事中に株価チェックをするような作業も必要もありません。

 iDeCoもネット上で毎日運用状況がチェックできますが、年に1~2回、紙で運用レポートが届くときに状況をチェックし、若干の軌道修正をかければ十分でしょう。

 むしろ肝心なのは、「下がっているときに焦って売る」ようなことを絶対にしないことです。iDeCoの場合、定期入金は月1回に限定されていますので、「株価が下がっているときにドカンと購入する」というような戦略はとれません。

 「値下がりしているときに投資信託を売り払ったことで生じた『損失確定』によるマイナス」を作ってしまうと、そのマイナスを取り戻すことは難しくなります(より安いときに再チャレンジで投資しなければならないが、一度売ってしまうとそのような投資判断は勇気が必要で、難しくなる)。

 株価が上下動しているのであれば、含み損が拡大しても「そのまま何もしない」ことが、すでに保有しているiDeCo資産への行動としてはベストです。市場が回復すれば、含み損は自然に解消されていくからです。そうなれば、何もせずとも投資の損失を消すことができます。

 また、下げ相場に入ったときに新たな掛金でiDeCo投資を継続することは、長期的な期待リターンを高める最善の方法になります。株価が高いときよりも投資信託が安くたくさん買えますから、株価が回復すれば、その時期に買った投資信託は将来大きな利回りを生み出す力となります。

 例えば、日経平均株価が1万円割れしていたときに国内株に投資するため拠出した掛金は、今では約2倍に膨らんでいることになるわけです。ですから、iDeCoでは毎月の掛金の拠出を途中で止めて投資を中断しないようにしましょう。

 ここまで見てきたように、iDeCoでは運用商品をほどほどにほったらかしておく、くらいがいいのです。下げ相場で何年か我慢することができれば(あるいはほったらかすことができれば)、相場が回復すると、一気に年率換算利回りが5~10%に高まることもあるでしょう。

 今後、下げ相場が数年続くことがあると思いますが、そのときにはぜひ「損失確定は絶対しない」「毎月の掛金で投資を継続する」という2点を心がけてください。ほどほどにほったらかしておく――。それがiDeCo投資で成功する、一番の秘策かもしれません。

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山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)[ファイナンシャルプランナー]
1995年株式会社企業年金研究所入社後、FP総研を経て独立。ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士、AFP)、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、消費生活アドバイザー。若いうちから老後に備える重要性を訴え、投資教育、金銭教育、企業年金知識、公的年金知識の啓発について執筆・講演を中心に活動を行っている。
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どの金融機関でiDeCo口座を開設した場合でも、別途、国民年金基金連合会へ支払う加入時手数料2829円、国民年金基金連合会と信託銀行へ支払う手数料合計171円(毎月)かかる。受取時は給付手数料440円(1回毎)を信託銀行に支払う。還付時には、国民年金基金連合会と信託銀行への還付時手数料として合計1488円(1回毎)がかかる。運営機関変更時の手数料は「他の金融機関から」変更の場合で、「他の金融機関に」変更する場合は4400円の手数料が発生する場合がある。下記の金額は掛金を拠出する場合(すべて税込)。
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