原宿投資研究所
【第8回】 2012年5月29日 藤根靖晃

タニタ食堂ブームもひと段落した今が投資チャンス
きちり(3082)の本格成長はこれからが本番!

関東への中価格帯店舗の出店余地は関西の3倍以上

関東圏での中価格帯店舗の出店余地は関西の3倍超

 では、関東圏での出店スケールはどうか? 

 商圏規模や駅の昇降客数などから、同社は中価格帯店舗においては、関西圏の32店舗に対して3倍以上に当る100店舗の出店余地があると考えている。

 同社は、16年6月期末の店舗数で中価格帯を中心としたダイニングレストランを120店舗、「いしがまやハンバーグ」を30店舗と、現在の61店舗から150店舗に拡大することを計画している。

 私の会社、ティー・アイ・ダヴリュ(TIW)の試算では、現在の費用・収益構造を維持したまま150店舗の出店が達成される頃には年間売上高は130~140億円、営業利益は14億円~15億円に達すると予想する

 また、新規事業として、同社プラットフォーム(前述)を活用した「BtoBのブランドコンテンツビジネス」を推進しており、同社プラットフォーム上に強いブランドやコンテンツを持っている提携先のブランドを冠したオーダーメードの飲食業態を創造してゆく。

 具体的な提携先としては健康/エンターテイメント/生産者も含めた一次産業の、他業種3分野を想定している。

丸の内タニタ食堂 体重計・体脂肪計のタニタとのコラボ店

 こうした取組の第一弾として体重・体脂肪計で圧倒的なシェアを持つ株式会社タニタと業務提携を行い丸の内国際ビルヂングにタニタのショールームも兼ねて「丸の内タニタ食堂」を本年1月にオープンした。

 今後は、同社が主導する形で、1)街中食堂、2)社員食堂、3)学食に展開する計画である。 「丸の内タニタ食堂」の大ヒットを機に、同社への業務提携案件は増えており、12年内には何らかの新たな発表が見込めるとのことである。

 TIWでは同社の向こう3期の業績について以下のように予想する。

 12年6月期(今期)は、大型店舗の契約時期がやや後ろにずれることを前提に、売上高60億円(前期比13.5%増)、営業利益4億2000万円(同2.9倍)を予想する。

 続く13年6月期(来期)は期末店舗数80店舗(出店純増19店舗)を前提に、売上高70億5000万円(前期比17.5%増)、営業利益5億5000万円(同31.0%増)、14年6期は期末店舗数100店舗(前期比出店純増20店舗)を前提に売上高90億円(前期比27.7%増)、営業利益8億2000万円(同49.1%増)を予想する。 いずれも「BtoBのブランドコンテンツビジネス」については特に見込んではいない。

 予想ROE(24%)や来期の利益成長率(29%増)を加味すれば、現在のPBR3倍弱という株価水準は妥当水準よりも3割程度は低いと思われる

 出店戦略が順調に進めば、4年後の16年3期末で150店舗という計画が現実味を帯びてくる。未だ時期尚早であるが、その時点では、営業利益14~15億円(4~5年で利益3倍増)を前提とした高評価がなされるものと思われる

 今後、12年6月期の本決算発表が行われる8月頃から本格的に、再度の注目を集めるものと考えている

本稿の執筆者:研究員NO.3
<研究熱心な九段の株博士>
藤根靖晃さん

ふじね・やすあき

1962年生まれ。東京理科大学大学院総合科学技術経営専攻修了。国内証券、米国企業情報会社、日興ソロモン・スミス・バーニー証券(現 シティグループ証券)とほぼ一貫して企業調査部門を歩んできた。日経金融新聞アナリスト人気ランキング3~5位(ソフトウエア部門、1996-2000)など、証券会社時代は、中小型株式、コンピュータ・ソフトウエアの証券アナリストとして機関投資家から常時高い評価を獲得。2000年にティー・アイ・ダヴリュ社を創業、代表取締役に就任。九段にある同社では、証券会社向けにレポートの提供サービスを行うとともに、証券アナリストの育成も。緻密な論理で割安株を広範囲に調査・分析する姿勢、ソフトかつ明快な語り口にファンは多い。ただ、かなりの大酒飲みという噂も?    (イラスト/加藤裕将)