2021.5.28
米で12年半ぶりの物価急上昇、利上げ判断に悩むFRBに新たな難題
経済活動の本格再開で4月の消費者物価指数が12年7カ月ぶりの大幅上昇になった米国では物価や金利の今後を巡る議論が活発化する。「平均インフレ目標」を導入したFRBは利上げで難しい判断を迫られる。
三井住友銀行(ニューヨーク駐在)チーフ・エコノミスト
京都市生まれ。京都大学で経済学修士号を取得した後、2000年4月に日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)でエコノミスト業務を始める。日本銀行、RBS証券などで調査業務を歴任し現在に至る。幅広い経済の分析と見通しを専門とする。
2021.5.28
経済活動の本格再開で4月の消費者物価指数が12年7カ月ぶりの大幅上昇になった米国では物価や金利の今後を巡る議論が活発化する。「平均インフレ目標」を導入したFRBは利上げで難しい判断を迫られる。
2021.4.14
バイデン政権の「米国雇用計画」はインフラ投資や社会保障の拡充などで国内経済強化を図るものだ。新自由主義からの政策理念の転換は格差や分断の是正を求める国内世論が支えになっている。
2021.2.17
トランプ前大統領の弾劾裁判での無罪があっさり決まったのは、議会でのコロナ追加対策の成立を優先したバイデン政権と議会民主党の思惑がある。その陰で最低賃金引き上げなどの目玉政策も後ろに追いやられることになった。
2020.12.23
バイデン前副大統領の次期大統領就任が確定したが、議会は上院を共和党が多数を占める「ねじれ」になる見通しだ。外交や環境問題で独自色を出そうとしているが、当面はコロナ対応優先となりそうだ。
2020.10.28
米大統領選は「バイデン氏有利」の情勢だが、接戦州の勝敗の行方や郵送投票の開票や確定に時間がかかるなどの混乱、トランプ陣営が劣勢でも敗北を認めない可能性があり、多くの不透明要素がある。
2020.9.2
2カ月後に迫った米大統領選は支持率で劣勢のトランプ大統領が民主党攻撃で対立の構図を作り巻き返しを図る。勝敗を決めるのは、政策ではなくコロナ、黒人差別、郵送投票の3つの問題の帰趨だ。
2020.7.10
新型コロナウイルス問題や白人警官の黒人殺害事件を機にした抗議デモへの対応の失敗で支持率が低下、再選が危うくなったトランプ大統領だが、分断をあおる手法をやめることないだろう。その戦略が功を奏する可能性もある。
2020.7.8
6月の米雇用統計の改善が米経済の本格回復につながるとみるのは楽観的過ぎる。雇用が増えたのはパートタイマーで、雇用者報酬も経済対策による現金給付という一時的な要因でかさ上げされたもので、改善の足元はもろい。
2020.5.6
“禁じ手”の社債購入など、コロナショックの対応を矢継ぎ早に打ち出してきたFRBだが、原油価格急落もあって4-6月期のGDPは大幅な落ち込みが見込まれる。企業の資金繰り支援の次にはデフレ回避の「難題」が控える。
2020.4.23
トランプ政権は「経済再開」に向けたガイドラインを発表、早ければ5月中旬から徐々に経済活動が再開される見通しだ。だがワクチンが開発されるまでは感染防止と両にらみにならざるを得ず、米経済のV字回復は難しい。
2020.3.11
米国株価の急落を加速させたのはOPECの減産合意決裂による原油価格の暴落だ。金融危機の引き金になる流動性の枯渇は起きておらず、米経済は2015年~16年の原油価格下落による成長減速の経路に入る可能性がある。
2020.3.3
米大統領選の民主党予備選は、「民主社会主義者」のサンダース氏と無名の若手ブティジェッジ氏が飛び出したが、1日にはブティジェッジ氏が撤退を突然、表明。3月3日の「スーパーチューズデー」の結果次第では“混迷”がさらに深まる。
2020.1.15
イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官殺害を機にした米国とイランの全面衝突はひとまず回避されたが、トランプ大統領はイランの核開発縮小で成果を上げることを再選戦略の一つにすると考えられる。
2019.11.13
米国で株価が最高値を更新しているのは、米中協議の歩み寄りへの期待感やFRBの3回連続利下げを好感したものだが、企業の税引き後利益やトランプ減税はピークを過ぎるなど、株価上昇が長続きするとは考えにくい。
2019.9.18
来年の大統領選の候補者選びが始まったが、トランプ大統領の再選の鍵は経済の好況を維持することだ。FRBへの利下げ圧力は続くだろうが、低利政策だけで経済を支えられるかは疑問だ。
2019.8.1
米国FRBが31日(日本時間1日)、約10年半ぶりに政策金利を引き下げたが、経済の下振れリスクやトランプ大統領の度重なる“介入”に市場が利下げを織り込んだ流れに背くリスクも配慮し、そろり緩和に踏み出した。今後、市場にどんなインパクトを…
2019.7.24
世界経済変調の引き金になるとされる米国だが、直近の景気や雇用をめぐる指数は改善が目立ち、ロシア疑惑をめぐる弾劾の動きなど「政治リスク」も低下している。「過剰な悲観論」は不要にも思える。
2019.5.29
対中制裁関税などの強硬な通商政策を展開するトランプ大統領だが、その一方で不透明感から株式市場が不安定化しないような措置もとってきた。だが「トランプ・プット」も手詰まり感がある。
2019.4.3
物価が上がらない状況では政府は財政赤字を気にせず財政を拡張し、財政政策は金融政策と一体で物価にコミットするという「新理論」は、物価目標実現に“手詰まり”の日本銀行の助け舟になるのかどうか。効果は疑問だ。
2019.2.6
米中貿易戦争やBrexitの行方は見通せないが、事態を深刻にするのは、リスクが意識される局面で市場が過剰に反応することだ。昨年末の株価急落はそれだった。市場が落ち着きを取り戻すかは中国経済が鍵を握る。
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