新井美江子
#4
愛媛県大洲市。こののどかな街に、就農を希望する若者が殺到している企業がある。楽天農業だ。2016年に楽天の出資を受け、オーガニック野菜で作るカットサラダをヒットさせて急成長を遂げたが、若者を引き付けてやまない魅力は、ありきたりな6次産業化(農業従事者が食品加工や流通販売まで展開すること)だけにあるわけではない。前身のテレファームの創業者で、楽天農業でも代表を務める遠藤忍さんが生み出したITと農業を融合させた“奇想天外な販売ツール”など、楽天農業の特異な発想力についてレポートする。

#7
3月6日、麻生太郎財務大臣兼金融担当大臣は「特段の配慮と事業者の実情に応じた柔軟な対応に全力を挙げて取り組むよう」、銀行に要請した。これは実質的に、“ゾンビ企業”を生むとの批判を浴びながら2013年3月にようやく終了した中小企業金融円滑化法の枠組みが“復活”したことを意味する。折も折、地方銀行業界には業績悪化懸念が渦巻いていたところだ。地銀には、自行の財務の健全性を保ちながら地元企業の救済を行うという高度な手腕が求められている。

#4
当初は新型コロナウイルス問題に対して楽観的に構える企業が多かったものの、3月13日には日経平均株価が一時1万7000円を下回るなど、産業界への影響は計り知れず、企業の業績悪化懸念が高まっている。資金繰り不安を抱える企業は増えていくとみられるが、地域金融機関はこの危機にどう立ち向かうべきなのか。遠藤俊英・金融庁長官に緊急インタビューを敢行した。

日本製鉄の抜本改革、高炉休止の次は神戸製鋼との統合も検討?
日本製鉄が、新日本製鐵と住友金属工業の統合以来、維持にこだわってきた生産能力の大幅削減に動く。今回休止の対象となったのは呉製鉄所(広島県)などが中心だが、改革はこれで終わりそうもない。

#01
パナソニックの“本流中の本流”だったテレビ事業で抜本改革が断行されることになりそうだ。すでに、津賀一宏・パナソニック社長は「許さない」と断言しており、協業先の選定が粛々と進められている。候補となる企業はどこなのか、また、テレビを含む家電の国内工場のうち、統廃合の対象となるのはどこなのか。パナソニックの“顔”でありながら、業績が振るわない家電部門に不可欠な改革策を探った。

安川電機社長吠える!米中難局の中、ロボット競合4社を出し抜く勝算
安川電機といえば、FA(ファクトリーオートメーション)を担う世界四大ロボットメーカーの一角を占める企業だが、同社ならではの強みとは何なのか。昨年は米中貿易摩擦などで業績に打撃を受けたものの、2020年はストップしていた顧客の設備投資が増えそうでもある。反転攻勢をかける小笠原浩・安川電機社長に成長の秘策を聞いた。

#10
2019年11月に発表された新中期戦略の「詳細」は、成長戦略も判然としなければ、構造改革の具体性にも乏しいものだった。成長ドライバーとして期待した自動車事業が不発に終わり、20年3月期は営業利益が前年同期比1000億円も減るというのに、だ。そこで、ダイヤモンド編集部は独自にパナソニックの再生計画を策定し、近い将来に、パナソニックが「買収する事業」と「売却する事業」を予想した。

#07
パナソニックは賭けに負けた。プラズマテレビを切り捨てた津賀一宏社長が、家電に代わる本業として掲げた自動車事業が営業赤字に陥っているのだ。三洋電機買収や戦略投資で巨費が投じられたにもかかわらず業績不振の自動車事業は、今や金食い虫。単独での生存すら危ぶまれる状況にある。特集「パナソニック老衰危機」(全10回)の♯07では、パナソニックの自動車事業の「存続可能性」を検証する。

対中韓・造船サバイバル再編最終章、今治造船&JMU連合誕生の全内幕
「真剣に、本当に真剣に経営している」。11月19日の記者懇親会の席で、筆者が造船業界の厳しい行く末について問うたところ、いつもは穏やかな千葉光太郎・ジャパン マリンユナイテッド(JMU)社長は、鋭いまなざしで少し憤りながらこう語っていた。

パナソニックが「目標数値なき」年度計画、正念場で問われる危機感
11月22日、パナソニックは投資家向けの年度計画説明会「Panasonic IR DAY」を、例年から半年遅れでようやく開催した。しかし、説明を行った6カンパニー中、4カンパニーが“数値なき計画”を掲げる状態で、変革断行の覚悟に疑問符が付く内容となった。

トヨタ自動車の2020年3月期上半期の決算は、売上高と純利益で過去最高をマークし、絶好調となった。しかし、トヨタグループの“ケイレツ”筆頭格であるデンソーやアイシン精機は減収減益に終わっている。トヨタが笑い、サプライヤーが泣く。この対照的な構図の裏には、現在、自動車業界で起きつつある新次元の「ケイレツ搾取」があった。

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特集「トヨタ、ホンダ、日産 自動車の最終決断」(全9回)の5は、車載(自動車)事業を手がけている自動車部品・電子部品メーカー274社の「生き残り力」ランキングをお届けする。自動車部品業界では今年度に入って突如、再編の機運が高まっているが、大変革期を乗り切るための条件とは何か。

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特集「トヨタ、ホンダ、日産 自動車の最終決断」(全9回)の4回目は、「100年に1度」の激変期の中で大きな決断を下し、自動車業界におけるキープレーヤーの座を奪おうと攻勢を掛ける部品メーカーにフォーカスする。激動の時代を生き抜くための、“下克上”のアプローチ法とは。

2019年3月期の通期決算が散々な結果に終わり、業績浮上を強く誓うパナソニック上層部だが、結果がなかなか伴わない。背景には、悩み深き内憂外患がある。

韓国に価格で完敗、LNG船活況でも日の丸造船は「再編か撤退か」の瀬戸際
空前の液化天然ガス(LNG)船の発注ブームが到来しているというのに、日本の造船業界は現時点で全く盛り上がっていない。それどころか国内の一部造船所では、静かなる造船事業の“店じまい”ムードが高まりつつある。

三菱スペースジェット、100機の商談開始でも事業化に「足りないもの」
米ボーイング等の下請け事業を展開する民間機部門による、MRJ事業部の吸収、新型機M100の大型売買協議──。三菱重工業が、国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェットファミリー(旧MRJ)」の事業化に向けて打つ具体策の本当の狙いとは何か。

8月30日、パナソニックが役員人事の体制変更を発表した。10月からは、個別事業の変革を担ってきた執行役員を新たに「事業執行層」とすることで、執行役員の数を4分の1に減らす。だが、今回の人事はまだまだ序の口。津賀一宏社長は「次の一手」を考えているに違いない。

#4
強いから狙われる――。今回、韓国に対する輸出管理の強化の対象が、完成品でも基幹デバイスでもなく、化学製品の3品目だったことで、実は日本の製造業の屋台骨を支えているのが素材メーカーだったことが改めて知らしめられた。なぜ素材メーカーは、世界の最前線を走り続けられるのか。

#3.5
茨城県は土浦市に、世界シェア9割を誇る有機ELディスプレー材料を製造している工場がある。フルヤ金属の土浦工場だ。決して大きな企業ではない。何せ、年商200億円だ。なぜそんな企業が世界を席巻しているのか。今回、ダイヤモンド編集部は秘密を握る工場への“潜入”に成功。日本の素材メーカーの強みに迫った。

米中の覇権争いを端緒とし、鉄鋼業界では中国を震源地とする新たなリスクが発露。鉄鋼大手3社の2019年4~6月期の決算は厳しい結果に終わった。
