成長する米国&世界に投資する最強のFIRE計画(プロジェクト)

高いアクティブファンドの手数料を節約する米国株だからできる究極の割安投資方法とは?回転率からみるよいファンドの選び方も伝授

2022年12月22日公開
ポール・サイ
facebook-share
x-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

販売手数料に信託報酬。アクティブファンドを購入すると、かかるコストが結構高い!

 アクティブファンドを購入すると、販売手数料、信託報酬がかかります。一般的なアクティブファンドでは販売手数料は2~3%程度で、これは購入時に支払います。信託報酬は年率1%以上のものが多いです。これは日割り計算されて、毎日ファンドの資産から差し引かれます。

 このようなアクティブファンドに1000万円投資したとすると、最初に販売手数料が20~30万円程度かかり、これ以外に毎年10万円以上のコストがかかることになります。1%、2%といった「率」だけで考えると、大したことがないように思えても、絶対的な金額で考えると、結構高いなと感じられるのではないかと思います。

 この手数料をゼロに近づける方法があります。少し手間ひまをかければ、それができるんです。

 それは、いったいどんな方法でしょうか?

いいファンドは過度な分散はせず、回転率が低い

 まず、ファンドを評価する際、プロが常識と考えている2つの前提をみなさんの頭に入れておいてもらいたいと思います。

(1)いいファンドは過度な分散をしていません。おおよそ30~40銘柄ぐらいしか保有しません。銘柄数が多いファンドでも、だいたいトップ30銘柄ぐらいがポートフォリオの大半を占めているものです。言い換えると、分散度が高いポートフォリオを持ちたければ、ETF(上場投資信託)でいいと思います。分散度が高いアクティブファンドにわざわざ高い手数料を払う必要はないのです。

(2)いいファンドは回転率が低いです。銘柄の入れ替え頻度が低いのです。回転率の定義ですが、たとえば、回転率100%であれば、これは1年間ですべての銘柄を入れ替えていることを意味します。回転率は50%以下の方が望ましいです。これはすべての銘柄を入れ替えるのが2年以上ということを意味します。フィデリティで成績が良かったファンドには回転率が25%のものもありました。回転率が高いと必ず成績が悪くなるというものではないですが、回転率が低い方が成績が良くなる可能性が高まります。回転率が高いと、取引コストが高くなるのと、間違ったタイミングで売買するリスクが高くなるのです。

一番簡略なやり方はファンドのポジションをコピーすること

 以上のプロが常識と考えている2つの前提を踏まえた上で、一番簡略なやり方をまず述べれば、それはファンドのポジションをコピーすることです。ファンドは毎月ポジションを開示していますから、それをコピーするのです。

 たとえば、フィデリティのContrafund(フィデリティ・コントラファンド 運用実績50年以上のフィデリティを代表するファンド。日本では、「フィデリティ・米国株式ファンド」がほぼ同様の値動き)の場合、トップ10銘柄はポートフォリオの47%ほどを占めています。トップ20銘柄は63%です。トップ35銘柄だと70%です。

 そうすると、この上位30~35銘柄を持っていれば、ファンドのパフォーマンスとほぼ似たようなパフォーマンスを出せると思います。さらに似たようなパフォーマンスを出したければ、少しS&P500のETFを加えればいいと思います。

フィデリティ・Contrafundのトップ10銘柄Contrafundのトップ10銘柄。出所:フィデリティ公式サイト

ベット分析をすれば、ファンドマネジャーのその銘柄に対する強気度、弱気度がわかる

 もっと手間をかけて分析したければ、インデックス対比で、そのファンドのトップ10またはトップ20銘柄のベットを計算するのがいいでしょう。ベットとは、インデックスとの構成比率の違いです。

 たとえば、S&P500では、アップル(AAPL)の構成比率は6.51%です。マイクロソフト(MSFT)は5.54%です。

 Contrafundはアップルを4.73%しか持っていないので、ベットは4.73%-6.51%=-1.78%です。

 また、Contrafundはマイクロソフトを5.85%持っていますので、ベットは5.85%-5.54%=0.31%になります。

 ファンドマネジャーの給料を決める数字は、絶対リターンより対インデックスの成績の方が重要です。なので、ベットが大きければ、その銘柄に強気と言えます。

 逆にいうと、ある銘柄をたくさん持っていても、それだけでそのファンドマネジャーがその銘柄に強気とは限りません。その銘柄のインデックス構成比率が高いために、単にそれに追随して買っている側面が大きいかもしれないからです。

 Contrafundの場合、マイクロソフトとアップルを割とたくさん持っていますが、アップルには弱気、マイクロソフトには中立ということをベットの数字は示しています。

 計算式は省略しますが、グーグルの持ち株会社、アルファベット(GOOG)のベットは3.34%なので、グーグルには強気です。また、メタ・プラットフォームズ(META)には3.34%をベットしていて、やはり強気です。

自分なりにほぼ手数料ゼロのファンドを作るなら、1株から取引できる米国株の方が向いている

 このベット分析のやり方を使えば、いくつかのファンドのベストアイディアをピックアップして、自分なりにほぼ手数料ゼロのファンドを作ることができます。

 回転率はあまり高すぎない方がいいと先ほど書きましたが、いずれにしても長期保有、長期投資をした方がいいので、このようなやり方で2~3年持っておけば、ファンドを買うのと同じぐらいか、あるいはもっといいパフォーマンスを出すこともあり得ます。頻繁に売買しなければ、証券会社へ支払う手数料も少なくてすみます。

 日本株には単元株制度があり、値がさ株だと、最低単位でも数百万円が必要になるような株もあります。一方、米国株は1株から取引できますので、日本株のような単元株の問題はそこまでありません。米国株なら投資資金が少し小さめでも、割と分散できるポートフォリオを作ることができます。

 自分なりにほぼ手数料ゼロのファンドを作るなら、米国株の方が向いているでしょう。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

※メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」募集中! 米国株&世界の株分析毎週届き、珠玉のポートフォリオの提示も! 登録から10日以内の解約無料。


ダイヤモンド・ザイ 2025年11月号好評発売中!
ダイヤモンド・ザイのウェブ会員登録はコチラから 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
moomoo証券は「米国株」投資におすすめの証券会社! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
moomoo証券は「米国株」投資におすすめの証券会社! マネックス証券の公式サイトはこちら 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

株主優待
人気株500激辛診断
最新理論株価

11月号9月20日発売
定価990円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[株主優待/人気株500激辛診断]
◎巻頭特集
優待の達人へのアンケートでランキング!
目的別株主優待カタログ88
●桐谷さんは優待新設ラッシュをどうみる?&
実際に買った優待新設株35銘柄

●2大優待賢人ようこりん&桐谷さんが語る
暮らしも投資もトクする株主優待の魅力」
●ようこりんが大盤振る舞い!
株主優待BIGプレゼント
<家計応援優待>食品/日用品/買い物
●<プチ贅沢優待>グルメ/レジャー・エンタメ/リッチ雑貨

◎第1特集
買っていい高配当株は98銘柄!
<2025年秋>
人気の株500+Jリート14激辛診断
●儲かる株の見つけ方[1]旬の3大テーマ
業績の初速好調で上ブレ期待/株価出遅れで上昇余地大/値上げが順調などインフレに強い
●儲かる株の見つけ方[2]5大ランキング
第1四半期の進捗率が高い/アナリストが強気/配当利回りが高い/初心者必見の少額で買える/理論株価より割安
●2025年秋のイチオシ株
10万円株/高配当株/株主優待株/Jリート
●気になる人気株
大型株393/新興株86/Jリート10

◎第2特集
関税の影響は?AIってどこまで浸透?
人気の米国株150激辛診断[2025年10-12月]

●米国在住プロのリアルレポート
●GAFAM+αの8銘柄を定点観測

●買いの注目優良株&高配当株
●人気の124銘柄の買い売り診断
ナスダック49/ニューヨーク証券取引所
●株価10倍を狙う!米国IPO株

◎第3特集
大幅上昇を狙う!
未来を変える革新的な企業を買う投資信託

●テーマ型投信に投資するメリットと注意点
●最新テクノロジーはすべての土台!半導体/AI

●次世代を担う最有力テーマ!宇宙/ロボット
●いま勢いのあるテーマに乗る!暗号資産/エンタメ/サイバーセキュリティ

【別冊付録】
増益予想で割安な株は1501銘柄
上場全3889社の最新理論株価

◎連載も充実
​●読者参加型企画・1カ月で上がる株を当てろ!
「エア・ウォーターが1番!任天堂は利益確定売りで失速」
●ZAiのザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人Vol.14
「後払い決済のトラブルに注意」
●17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略Vol.09
「大相場を生む『要人発言』」
●おカネの本音!VOL.39 小川コータさん
「マイクロソフトにフリック入力を売却した発明家の稼ぐ思考法」
●株入門マンガ恋する株式相場!VOL.107
「添い遂げる!? 生成AIと米国企業」
●マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
「大幅値上げは不可避!日本の水インフラは深刻な危機」
●人気毎月分配型100本の「分配金」データ!
「株価上昇や円安で利回り10%超が16本と急増!」


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報