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米住宅市場は住宅ローン金利上昇でピークアウト。
リーマンショック時のように崩壊する?
次の景気後退が危機的なものになる可能性は?

2022年12月8日公開(2022年12月7日更新)
ポール・サイ
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米国ではテクノロジー企業の大量解雇が話題に。でも、失業率は低い数字。アメリカの労働市場では何が起こっている?

 FRB(米連邦準備制度理事会)は利上げして、需要を抑え、インフレをコントロールしようとしています。それは徐々に効いていますが、直近の失業率はまだ3.7%台と低い水準にあります。

米失業率米国の失業率は3.7%台と低い水準にある。 出所:FRED(セントルイス連銀データサイト)

 労働参加率(労働力人口/生産年齢人口)はまだ62%台で、コロナ前の63.5%という水準には戻っていないです。特に55歳以上の労働参加率は38.6%で、この数字はコロナ前は40%程度でしたから、全然戻っていません。直近、この数字は下がり気味であり、コロナ前に戻るようなトレンドになっていないのです。

 アメリカ全体では350万人の労働人口が不足しています。これはFRBにとってあまりいいトレンドではありません。これではなかなか賃金上昇が抑制されないのです。インフレ抑制に対してマイナス材料です。

 実際、12月2日に発表された11月米雇用統計では、平均時給が前月比+0.6%となり、コンセンサス予想の前月比+0.3%を上回っていました。

 このように、アメリカの労働人口は全体としては足りていないのですが、その一方、解雇が増えているのも事実です。業種によって、労働力の需要と供給に不均衡があるのです。

 固定費が高く、需要が減っている産業はとくに利益率を守るために、人員削減をしています。固定費が高い、すなわち営業レバレッジが高い産業は自動車、テクノロジー、ヘルスケア、小売、サービスになります。

 テクノロジー企業による大量の人員削減はヘッドラインニュースになって、目を引きますが、これはテクノロジー企業がコロナ特需で人員を雇いすぎたためでもあります。テクノロジー企業の雇用のトレンドラインを見ると、2020年半ばにかけてかなり加速していました。

アメリカの住宅市場は全般的にピークアウトしている。今後は住宅着工がさらに減る

 雇用と賃金については、インフレ抑制にいいニュースはまだ乏しいですが、住宅建設などでは少しいいニュースがあります。

 アメリカの住宅市場は全般的にピークアウトしています。住宅ローンの金利が相当上がっている中、これは予想の範囲内のことと言えます。

 新型コロナの感染拡大以降、木材価格はウッドショックと呼ばれるほどの異常な高騰を見せましたが、現在は異常な高騰が起きる前のレベルへ戻っています。そして、今後は住宅着工がさらに減ると思います。

米金利が高止まりする可能性が少し高まっている。その一方、アメリカの家計のバランスシートは割と健全でリーマンショック時とは異なる

 ここまで見てきたさまざまなデータを考え合わせると、米金利は2023年に高止まりする可能性が少し高まっていると思います。

 債券市場は2023年半ばにFRBが利下げに入ることを織り込んでいます。

 2023年末にかけて、米金利は2%下がると私は見ています。私のこの予想は妥当なものだと考えていますが、直近の低い米失業率を見ると、リスクがあるとすれば、金利がもう少し高止まりする方向かもしれないとは思っています。

 金利がもう少し高止まりするとすれば、それは景気に良いことではありません。

 しかし、アメリカの家計のバランスシートは割と健全です。

 リーマンショック時のリセッション(景気後退)と比べると、家計の借金はかなり少ないです。なので、リセッションになったとしても、それは深いものにはならないと思います。今のところ、エコノミストが算出したリセッション入り確率は62.5%という数字がコンセンサスになっています。

アメリカの住宅市場はリーマンショック時のように崩壊するのか?

 今回は大きなクライシスはやってこなくて、リセッションはあったとしても比較的マイルドなものになる、という理由は住宅市場の健全さにあります。

 2022年第一四半期、アメリカの住宅ローン利用者は1人当たり平均で20.7万ドルの純資産を持っていました。

 また、アメリカは全体として、まだ住宅が足りないです。200万~600万戸の住宅が不足していると言われています。金利が上がっている中、住宅着工は減速しています。なので、住宅不足は全然解消していないです。一方、金利が高くて、住宅を買えない人も増えています。

 住宅不足が続いているので、今、住宅を買えない人たちは賃貸に方向転換しています。そして、家賃が上昇しています。

 これらの要因から考えられる結論はいくつかあります。

(1)住宅の持ち主はまだ純資産プラスの状態です。前回のクライシス時に住宅価格下落の要因となった「投げ売り」はあまり出てこないと思います。実際、住宅販売活動はスローダウンしています。

(2)人口と世帯形成のトレンドから見て、アメリカの住宅はまだ足りないです。

 となると、住宅市場の要因でクライシスにはなりづらいです。

米国企業の収益はいつ底打ちするのか? そして、米国株はいつ底打ちするのか?

 米国企業の収益は2023年にはまだ悪化していると思います。少なくとも2023年の半ばから後半までは底打ちしないかもしれません。それは利上げが2023年半ばまで続きそうだからです。

 しかし、S&P500指数は大体、企業収益がボトムをつける6ヵ月前に底を打つので、株価のボトムは2023年前半または半ばには到来すると思います。

S&P500指数/週足 S&P500指数は2023年前半または半ばに底打ちするだろう。 S&P500指数/週足・5年(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます

 今回は利上げによって、需要が減り、マイルドなリセッションになると思います。バランスシート、ビジネスモデルがいい会社は今回の不景気は乗り越えられると思います。この不景気はいい会社をピックアップする、いいチャンスを提供してくれると思います。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

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