先週の日経平均は1週間で2455円安。2024年に入って最も下げた週に
月曜日は290円安、火曜日は761円安、水曜日は509円安、そして金曜日が1011円安―。先週の日経平均株価の日々の動きだ。上昇したのは木曜日の118円高のみで、結局のところ1週間で2455円安となり、6.2%の下落率となった。2024年に入ってから最も下げた週となった。
とりわけ金曜日の下げは1011円と大きく1日の下落率は2.7%となった。寄付きの日経平均は前日比355円安の3万7724円で始まったが、どんどん下げ幅を拡大し、午前11時25分には1346円安の3万6733円まで下落し全面安となった。個人投資家が好んで投資する新興市場の東証グロース市場250指数は3.2%安と大型株よりも厳しかった。久々に見た投げ売り。レバレッジを効かせた短期勝負の信用取引で買いポジションを持っていた人たちは、耐え切れなくなってパニック売りの様相だったと想像できる。
日本の株式マーケットが大きく下げた3つの主要因とは?
先週のマーケットが大きく下げた主要因を挙げると次の3つになる。
1つ目が米連邦準備理事会(FRB)の利下げが遅れるとの観測が強まったこと。4月16日に米シンクタンクであるウィルソンセンター主催の討論会に出席したパウエル議長は「物価上昇率が2%に戻る確信を得るには予想以上に時間がかかりそうだ」と述べたことで利下げ先送り観測が一段と強まった。これまでは物価指標の高止まりが続く中でもインフレ収束を予想してきたパウエル氏。利下げ開始時期を巡って米連邦公開市場委員会(FOMC)の参加者の見解が分かれる状況下で利下げ先送りに慎重だったが、インフレ鈍化に懐疑的な姿勢を示したことで、早期の利下げ論は大きく後退している。それを顕著に表しているのが米長期金利であり、昨年11月以来となる4.6%台後半にまで上昇中だ。
2つ目が米株安である。3月28日には4万ドル寸前まで上昇していたNYダウは3万7000ドル台まで下落。また長期金利の影響を受けやすいナスダック指数は4月11日の最高値1万6442ポイントから1万5600ポイントのレベルまで下落している。オランダの半導体製造装置大手ASMLの今期1~3月期の決算が予想を下回ったこと、一方で台湾TSMCの今期1~3月期の決算が予想を上回ったにも関わらず、半導体を中心とする大手ハイテク株が売り優勢となっている。
3つ目が中東情勢を取り巻く地政学リスクだ。イランは4月1日のシリアのイラン大使館周辺への空爆をイスラエル軍によるものと断定し、13日にイスラエル領内をドローンやミサイルで攻撃。そして19日に「イスラエルがイランに反撃」との一報が日本時間の午前中に飛び込んだことで、金曜日の日本市場の急落をもたらす要因となった。不安定な中東情勢は毎度のことなので冷静になることが必要だ。今回は誌面の都合で詳しく書かないが、「地政学リスク」への処世術なるものがある。過去における「地政学リスクvs株式市場」の関係性を知っている投資家と知らない投資家とでは、投資行動に違いが出やすい。
株価が大きく下げた時ほど投資行動に差が出る。あなたはどのタイプ?
注目の為替市場のドル円は更にドル買い&円売りが進んで一時154.60円台まで円安となった。「152円以上の円安が進むと為替介入が行われる可能性があることに留意する必要がある」と4月2日のコラムで述べたが、現在、政府・日銀から発せられているのは「断固たる措置」のままであり「これ以上の円安・ドル高は望ましくない」との警告を出しながら何もしない状況が続いている。
さて、先週1週間のマーケットの動きに話を戻す。あなたの投資行動は次のどれだろうか?
・「すでにバブルである」「暴落する」との言葉に恐れおののき慌てて売った
・今チャンスとみて買っている
・何もせず、毎日不安な日々を過ごしている
・何もせず、泰然自若で眺めている
・もう株式投資はヤメることにする
「勝者のポートフォリオ」も下がっているが、割安で手堅い銘柄で構成されているため、このところの下げ相場でも日々安心してマーケットを眺めていられる。割高すぎる半導体関連や、勢いだけで投機化している銘柄には一切投資していないため、大きく下げる日も日経平均の下落率の半分程度に留まっている。為替は154円台の円安水準だがマーケットの支援材料にならず、これまでマーケットの牽引役であった半導体関連が大幅に調整しているが冷静でいられる。経験値のない人ほど感情的トレードに走りやすく、逆に経験値のある人ほど落ち着いているはずだ。
相場の今後を占うポイントは米国投資家が本格的に日本株を買うかどうか
個人的には日経平均が3万5000円の水準まで下がれば面白いと考えている。日経平均は昨年末の3万3464円から1月末に3万6286円、2月末に3万9166円、3月末に4万369円と一直線に上昇してきたため、先週のような下落は乗り遅れていた人にとっては押し目買いのチャンスになる。一方、保有投資家にとっては長期的な上昇局面でもこのようなふるい落としの売りが度々出てくるので胆力が問われる。「あなたはヘタレ? それとも泰然自若?」と私は日頃からよく言っているが、その意味するところを噛みしめていただきたい。
先週話題にした海外投資家の2023年度の日本株買越額は7兆6906億円となり、アベノミクス相場が始まった2013年度(9兆5387億円)以来の高水準となった。2024年度に入った4月第1週の買越額は1兆1821億円。過去最高だった2013年4月第2週の1兆5865億円に次ぐ史上2番目の大きさとなった。第2週も5955億円の買い越しとなり勢いは継続している。今年のポイントは昨年ほとんど日本株に興味を示さなかった米国投資家が本格的に日本株を買うかどうかだ。米国の機関投資家にとって「今年、最も興味深い海外株は日本株」とのアンケート結果が出ているため、その動向が非常に注目される。
5月2日のWebセミナーは「遠のく米国の利下げ、遅れる金融相場の到来」
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行っている「勝者のポートフォリオ」。2大特典として毎月のWebセミナー開催とスペシャル講義を提供している。次回のWebセミナーは5月2日(木)20時から開催予定だ。テーマは『遠のく米国の利下げ、遅れる金融相場の到来』。毎回300名を超える参加人数であるが、5月も大いに盛り上がると思う。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加が可能だ。
そして、スペシャル講義ではいよいよ太田流『ポートフォリオ理論』がスタート。資産運用においてポートフォリオ理論を知っておくことは必須であり、個人投資家にとって身につける必要があるスキルである。また、太田流『新NISA活用法』のスペシャル講義も完結した。700名近くの会員はすでに新NISAにバッチリ取り組んでおり大きな成果を出している。今年こそ資産運用を真剣にお考えの皆さま、「勝者のポートフォリオ」で一緒に大きく飛躍しましょう。ぜひ、ご参加をお待ちしております。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。
国内外で6年連続アナリストランキング1位を獲得した、
トップアナリスト&ファンドマネジャーが
個人投資家だからこそ勝てる
「勝者のポートフォリオ」を提示する、
資産運用メルマガ&サロンが登場!
老後を不安なく過ごすための資産を自助努力で作らざるを得ない時代には資産運用の知識は不可欠。「勝者のポートフォリオ」は、投資の考え方とポートフォリオの提案を行なうメルマガ&会員サービス。週1回程度のメルマガ配信+ポートフォリオ提案とQ&Aも。登録後10日間は無料!