「勝者のゲーム」と資産運用入門

2024年度も海外投資家の買いが日本株市場を牽引へ。米国株より日本株のパフォーマンスが良いと確信。個人投資家は逆張り志向を捨て、長期で資産形成を!太田忠の勝者のポートフォリオ 第132回

2024年4月16日公開
太田 忠
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4月第1週の海外投資家の日本株買越額は1兆1821億円。強気姿勢変わらず

 4月第1週の海外投資家の日本株買越額は史上2番目の高水準―。

 先週水曜日に東京証券取引所が発表した4月第1週(1日~5日)の「投資部門別売買状況」によると、海外投資家による現物の日本株買越額が1兆1821億円に達した。過去最高の2013年4月第2週の1兆5865億円に次ぐ史上2番目の大きさとなった。また、個人投資家の買越額は6348億円と昨年9月3週以来の高水準となった。4月第1週は日経平均株価が3.4%安の1377円下落、TOPIXが2.4%安の66ポイント下落、また東証グロース市場250指数(旧マザーズ指数)が7.4%安の55ポイント下落。冴えない週であったにも関わらず、海外投資家と個人投資家は押し目を積極的に買ったことになる。

 マーケットが下落した背景には、米連邦準備理事会(FRB)高官からの相次ぐ利下げへの慎重な姿勢に加えて、経済指標の強含みで利下げ観測が後退したこと、物価上昇率の加速や原油先物価格が昨年10月以来の高値となる87ドル台まで上昇したこと、さらにイランとイスラエルの情勢緊迫も悪材料として意識されたことが挙げられる。

個人投資家の買いも優勢で「4月第1週は売られやすい」という傾向も突破

 日本市場において「4月第1週は売られやすい」という傾向がある。機関投資家による期初の益出しや年金勢のリバランス売りというテクニカル的な売りが膨らむためだ。そのため、「売り圧力が強く、個人投資家の売りも巻き込んで相場全体を下げる」というのが定番だ。ところが、今年は海外投資家のみならず、個人投資家も買い手に回る形となった。

 当然ながら今年の4月第1週においても、機関投資家からは利益の確定やポートフォリオのリバランスに絡む売りが優勢だった。年金基金などの売買を反映する信託銀行の売越額は7888億円と過去最高となり13週連続の売り越しとなった。昨年のTOPIXは年間で25%高と主要国でも際立った上昇を見せ、今年1月~3月も17%も上げていた。

 興味深いのは証券会社の自己売買部門の売越額が9870億円と急増して10週ぶりに売り越しとなったことだ。かつて証券会社には自分でポジションを持つディーラーがいて収益稼ぎのための売買をしていたが、今やそういう存在はほとんどいなくなった。今の業務のメインは顧客取引の相手方としてポジションを持つことだ。海外投資家との間で持ち高を移動することも多くなっている。前週の3月の第4週は5260億円の買い越しだった。3月末は期末配当の権利確定に絡む税制上の理由により、海外勢において持ち高を移す際に証券自己の買越額が大きくなりやすい。4月第1週は権利落ちを通過し、持ち高を元に戻す動きがこの週の売り越しにつながったと見られる。

日本株買いの主因は欧州。英国が多数を占め、背景にオイルマネーの存在

 2023年度の動向を整理してみよう。すなわち、2023年4月から2024年3月までの1年間の海外投資家の買越額は7兆6906億円。前年度の1.8兆円の売り越しから急増し、アベノミクス相場が始まった2013年度(9兆5387億円)以来の高水準となった。アベノミクス相場の肝は「3本の矢」だ。金融緩和、財政出動、成長戦略。この3本立てで日本経済を活性化させる戦略だった。海外投資家がこれに飛びついて9兆円を超える買い越しとなったのが2013年度だ。それ以来となる10年ぶりの買い越しが2023年度だった。

 牽引役は何と言っても欧州の投資家だ。特に株高に弾みがついた4月から翌1月までの10カ月間の欧州勢の買越額は8兆7000億円となり、海外投資家の買い越し全体の実に9割を占める。更にそのうちのメインが英国の8兆2000億円となっており、英国の買いでほぼすべて説明つく。どうして英国が日本株を買っているかご存知だろうか? 実はオイルマネーの投資と関わっているのがロンドン・シティーの金融街だ。中東の政府系ファンドの拠点がいくつもあり、彼らが日本株を買うと英国の買いになる。ちなみに同期間での米国の買越額は6500億円と英国の10分の1以下である。

乗り遅れへの恐怖が買いを呼ぶ展開に。個人投資家の逆張り志向も変化

 2023年度に続き2024年度の4月に入り日本株投資でロケットスタートを切った海外投資家。今や日本株は世界で最も注目される市場だ。堅調な企業収益、グローバルでの割安感、経営効率の改善、コーポレートガバナンス変革などが注目されている。何よりも世界の主要株式市場で今や最もパフォーマンスが好調なのが日本市場であり「日本株を買え!」の流れとなっている。グローバル投資家において日本株の組み入れ比率はいまだにアンダーウェートであり、日本市場への資金流入は途切れそうにない。海外投資家はまさにFOMO(Fear of Missing Out)の様相を呈し、「取り残される恐怖」「買い遅れるな!」という心理が日本株買いを加速している。「ベンチマークに勝つためには日本株だ!」。海外投資家はまさにこのような状況にある。今年度は米国からの買いも期待できそうだ。

 そして個人投資家の動向だ。相場の流れに逆らう「逆張り」志向の強い投資姿勢にも変化が出始めた。上昇局面において個人の売り圧力が目立たなくなっている。売り仕掛けをしても、儲からなくなっているためだ。1月に始まった新NISAを経由した資金流入もじわり増えている。1〜2月の買付額は成長投資枠とつみたて投資枠がともに前年1〜3月の月平均の3倍に達し合計で1兆7700億円となった。海外株を投資対象とする投資信託の人気が圧倒的に高いとみられてきた中で、このうち46%が国内株に振り向けられたことが市場関係者の間では驚きを持って受け止められている。海外投資家に加えて個人投資家も果敢なスタンスだ。

 先週水曜日の米国株の大幅下落を受けて、翌木曜日の日経平均は朝方に500円を超える下げだったが、押し目買いで下げ幅は大幅に縮小した。今年は米国株よりも日本株の方が良いパフォーマンスになるとの私の確信がさらに強まった。

本格的株高時代の日本。GW開催のセミナーで資産形成のコツを伝授!

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行っている「勝者のポートフォリオ」。2大特典として毎月のWebセミナー開催とスペシャル講義を提供している。4月3日(水)20時より開催したWebセミナーは平日夜にもかかわらず過去最高となる320名の参加となり大いに盛り上がった。テーマは『マイナス金利解除決定、本格的株高時代到来へ』。次回は5月2日(木)20時より開催する。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加が可能だ。

 スペシャル講義においては太田流『ポートフォリオ理論』がスタート。資産運用においてポートフォリオ理論を知っておくことは必須であり、個人投資家にとって必要なスキルを身に付けることが目的である。また、太田流『新NISA活用法』のスペシャル講義も完結した。700名近くの会員たちはすでにバッチリ新NISAに取り組んでおり大きな成果を出している。今年こそ資産運用を真剣にお考えの皆さま、「勝者のポートフォリオ」で一緒に大きく飛躍しましょう。ぜひ、ご参加をお待ちしております。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。

 

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