東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は、反落となりました。23日発表されたアメリカS&Pグローバル総合PMIの速報値が54.4と高水準の結果を受け、インフレ懸念の高まりから米国株式市場が軟調であることを背景に、前日比597円安の38,506円と大幅安で寄り付きました。
一時、700円を超える下げ幅を見せるも、売り一巡後は株価指数先物に買戻しがあり、前場の引けにかけて下げ幅を縮小、前場は454円安の38,649円で取引を終えました。
後場に入ると本日の高値である38,740円をつけるも上値の重い展開が続き、最終的には457円安の(マイナス1.2%)の38,646円で取引を終えました。
TOPIXはマイナス0.4%で反落、東証グロース250指数はマイナス1.0%で、4日続落となりました。
2.個別銘柄等
本日の上昇銘柄は、アナリストによる投資判断の引き上げを材料に買いが集まった銘柄でした。資生堂(4911)は、一時前日比273円(5.7%)高の5,088円まで上昇しました。
国内証券が23日付で投資判断を3段階で真ん中の「中立」から最上位の「買い」に引き上げ、同日付のリポートで、2024年1~3月期の決算では課題となっていた日本、中国、トラベルリテール(TR)事業において、2023年10~12月期比で損益に改善がみられたと指摘。グローバルのコスト構造改革効果も会社想定比でやや上振れの進捗となっており、業績反転の期待が材料となりました。
大手化学メーカーのDIC(4631)は一時、前日比171円(5.4%)高の3,342円を付け、年初来高値を更新しました。23日付で同社の投資判断を3段階で真ん中から最上位に引き上げ、目標株価はこれまでの3,000円から足元の水準を上回る3,700円に引き上げたのが買いにつながりました。
川崎重工(7012)も、国内証券により目標株価を6,600円から8,400円と大幅に引き上げたことが好感され一時前日比3.8%高の5,900円まで上昇、続伸となりました。
しまむら(8227)は、23日に5月の既存店売上高は前年同月比5.7%増であったことを発表しました。前年実績を上回るのは7ヶ月連続でポジティブなニュースであることから株価は寄り付き後に前日比111円(1.5%)高の7,681円まで上昇、しかしその後は続かず限定的な反応となりました。
一方、下落した銘柄としては、中期経営計画に対する失望感が先行した富士電機(6504)が11.2%安と大幅安となった他、ソシオネクスト(6526)6.2%安、レーザーテック(6920)4.5%安などが売られました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は、昨日の米国株式市場の弱含みや日本の長期金利が1%を超えて推移するなどが重石となって反落となりました。
一方で、下値は25日移動平均線(38,295円)を上回って推移するなど限定的で終わってみると1.2%の下落となりました。日本市場の地合いは悪くない印象ですが、来週も上値は重い展開が続くと考えられます。
本日、日本時間の23時にミシガン大学消費者態度指数が発表され、来週28日も22時にS&Pケース・シラー住宅価格指数が、23時にはコンファレンス・ボード消費者信頼感指数が発表されます。
また、31日にはFRB(米連邦準備制度理事会)が重視する個人消費の指標である先月4月分のPCE(個人消費支出)のデータが発表されます。マインド面とハードデータそれぞれが、市場想定通りの内容であるか、また結果を受けてFRBの利下げ時期の確度が高まるかに注目が集まります。
(マネックス証券 ジュニア・アナリスト 山口 慧太)
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