【1】今日の株式相場早わかり!
米利下げ期待高まる、日銀決定会合後に上昇も勢い続かず
日経平均株価は3日ぶり反発! 13日の米国市場では、5月の卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことで利下げ期待が高まり、ハイテク株を中心に買いが入った。ナスダック総合指数、S&P500指数、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が4日連続で最高値を更新した一方、雇用関連の指標の悪化を受けた景気後退懸念からNYダウは3日続落した。他方、日銀の金融政策決定会合に対する警戒感から、日経平均株価は下落してスタート。ただ、昼頃に日銀が国債買い入れ減額の“方針”を決定したことが伝わると、午後からは円安が進む中、株高に転じた。具体的な減額計画の決定が次回会合に持ち越されるなど慎重な姿勢が窺え、安堵感が先行したもよう。しかし、一時3万9000円台に乗せた後は伸び悩み、上値の重さも見られた。
海運株や電力株で強い動きが見られたほか、三菱重工業やソフトバンクグループが大きく上昇し、ともに年初来高値を更新した。なお、今晩の米国市場では、6月のミシガン大学消費者調査(速報値)が発表される。
【日経平均】38814.56円↑(+94.09円)
【グロース250】638.73↑(+4.02)
【NYダウ】38647.10ドル→(-65.11ドル、13日)
【ナスダック】17667.560↑(+59.124、13日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
日銀金融政策決定会合後の金融株や不動産株の反応は?
日銀は14日の金融政策決定会合で予想通り政策金利の据え置きを決定。一方、警戒されていた国債買入れの減額については、減額の“方針”を決定したにとどまり、今後1~2年程度の具体的な減額計画は次回会合で決めるとされた。これを受けて、会合後の長期金利は下げ幅を広げたほか、為替は円安が進み、株価指数は上昇するなど、金融市場では反応が見られた。為替や金利に敏感な業種の株価動向を点検することで、投資家の今後の金融政策に対する考えを推察してみよう。
銀行株は会合後に一時下げ幅を拡大。長期金利の低下で利ザヤ改善期待が後退した。ただ、取引終盤にかけては持ち直す動きが見られた。また、生保株も会合後に一時軟化したが、下げは限定的だった。結局、追加利上げに向けたスケジュールは後ろ倒しになったものの、金融政策の正常化の方向自体に大きな変化はないという認識が金融株の下値を支えていると考えられる。
一方、不動産株は会合後に上昇。追加利上げのスケジュールが事前の想定よりも後ろ倒しになったとの受け止めから、目先は金融緩和的な環境が引き続き業績を支えるとの見方につながったもよう。また、追加利上げの根拠がデフレ脱却によるものであれば、賃料引き上げや不動産販売価格の上昇といったインフレの恩恵を部分的に享受できることも、引き続き買い材料とされているようだ。ただ、終盤にかけては上げ幅を縮めており、政策の先行き不透明感が重石になっている様子も窺えた。
自動車株は午後に下げ幅を縮め、上昇に転じるものも見られたが、上値の重さが目立った。国内ではややスケジュールが後ろ倒しになったとしても、日銀の利上げの方向に変わりがない一方、米国では利下げ期待が高まっている。日米金利差や為替介入の観点から、一段の大幅な円安が期待しにくい中、認証不正問題を巡る不透明感なども重石になっているようだ。
■住友不動産株価チャート/日足・6カ月
【3】金曜連載「ザイアナリスト小林大純『ホットなテーマ!』」
生成AI機能で買い替え期待、アップル関連銘柄
米アップルは10~14日に開発者会議「WWDC 24」を開催。「iOS 18」などの次期基本ソフト(OS)に生成AI(人工知能)機能「Apple Intelligence」を搭載すると発表した。
アップルの株価は発表当初こそ下落したが、その後は連日で上場来高値を更新。時価総額でも世界トップに返り咲いた。IT機器全般にコロナ禍での特需の反動に見舞われた上、アップルのスマートフォン「iPhone」は中国政府による使用制限から、中国販売が大きく落ち込む場面もあった。しかし、Apple IntelligenceがiPhoneの買い替えを促進するとの見方が多くのアナリストから示され、見直しの動きが広がったようだ。
これに伴い、日本でもアップル関連との位置づけが強い村田製作所、TDK、太陽誘電などの電子部品株に買いが入った。大相場のけん引役となった半導体関連株などと比べると、電子部品株の一角はスマホ需要の低迷から株価に出遅れ感がある。村田製は足元で年初来高値を更新したとはいえ、まだ昨年末比+7.99%(日経平均株価は+15.99%)にとどまる上、2021年に付けた上場来高値3611.7円(取引時間中、株式分割考慮)を1割あまり下回る。iPhone買い替え需要への期待が高まれば見直し余地は大きそうだ。
主要電子部品メーカー以外にも、コネクタの日本航空電子工業や光学材料・電子材料のデクセリアルズ、高機能フィルムの恵和、フィルムタッチセンサーのNISSHAなどがアップルのサプライヤーリストに名を連ねている。中小型株ではあるが、恵和の直近決算(1~3月)はノートPC・タブレット市場の回復が感じられ、株価も反騰中だ。IT機器と関連銘柄の更なる復調に期待したい。
小林大純
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
早稲田大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科(現経営管理研究科)修了(MBA)。金融情報サービス会社などを経て現職。日本株アナリストとして各種メディアで活動中。
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