成長する米国&世界に投資する最強のFIRE計画(プロジェクト)

新興国市場に注目! 世界的な金利引き下げに転換する局面では、新興国市場に投資妙味アリ。小さな景気鈍化での利下げは新興国市場にプラス

2024年9月13日公開(2024年9月13日更新)
ポール・サイ
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世界的な金利引き上げから金利引き下げに転換する局面では、新興国市場に投資妙味がある!

 元フィデリティ投信トップアナリストで、米国・シアトルからメルマガ&オンラインサロン「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしているポール・サイさんが、東京MX2で毎週月曜~金曜22時から放送されている、「WORLD MARKETZ」に電話でゲスト出演した。

ポール・サイさんプロフィール

 前回の放送では、ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長が利下げを示唆したことを受け、アメリカ景気がソフトランディングできそうとポールさんが感じたワケを解説。AIのトレンドが長いと感じるのであれば、NVIDIAの決算が少し悪くても買ってもいいとのことだった。
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AIに国家レベルの重要性があると信じるなら、NVIDIAの決算が悪くても、どんな理由でも下がっているときに買うべき! 決算が良いと確認して買うのは遅い

 今回の放送では、世界的な金利引き上げから金利引き下げに転換する局面では、新興国市場に投資妙味があることに注目。大きな不景気ではなく、少しの景気鈍化での利下げは、新興国市場にプラスに働くとのことなので、さっそくチェックしていこう。

『Your Money or Your Life』という書籍は、節約と投資で経済的自立を目指し、経済的自立を達成する意味も考える本

 番組は、アシスタントの木村カレンさんが「ポールさんがFIRE(経済的自立)する際、『Your Money or Your Life』(邦題『お金か人生か 給料がなくても豊かになれる9ステップ』(ダイヤモンド社刊))という本に影響されたと、ご自身のブログで書かれていて、この本について教えてください」と質問するところからスタートした。

(出所:WORLD MARKETZ)

 「ご自身のブログ」というのは、当コラム「成長する米国&世界に投資する最強のFIRE計画(プロジェクト)」のこと。ポールさんが『Your Money or Your Life』にどんな影響を受けたかを知りたい方は、以下の記事を参考にしてほしいのだが、今回の番組で改めて、ポールさんがこの本について語ってくれた。
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FIREムーブメントの原点となった古典的名著『Your Money or Your Life』(お金か人生か)が説く「最大の満足感をもたらす点」とは?

 この本は、早期退職経済的自立という概念の元祖の本で、30年ぐらい前に出版されたそう。

 金融の本で賞味期限が長いものは少ないけれど、この本は賞味期限が長いのが特徴で、その内容は今の状況にも当てはまり、今でも戦略を適用できるところが一番面白いとポールさんは教えてくれた。

 すると、番組MCの渡部一実さんが「この本のどのあたりがポールさんに感銘を与えましたか?」と切り出した。

 ポールさん曰く、この本は普通の金融の本と違って、お金の増やし方、節約の仕方、投資の仕方以外に、哲学的なところにも触れているのがいいとのこと。生きがいや、経済的自立を達成する意味、人生の意義についても考える本であり、読めばお金と人生のバランスがとれた将来設計ができるそうだ。

 そして、この本のポイントは、経済的自立に2つの歯車があること。1つは節約で、日本人は得意なところだけれど、もう1つの投資は日本人に浸透しておらず、新しい話になってくるようだ。

 節約によって使うお金の量を減らし、引退後に必要なお金も小さくする一方、投資で引退後のお金を増やして、節約と投資の相乗効果で早期退職できるというのがこの本の流れであり、何のために経済的自立を目指すのかについても、本の中で検討があるとのことだった。

9月10日の大統領選テレビ討論会は、トランプにミスがあるかがポイントに

  続いては、番組放送日である9月10日(火)に行われた大統領選テレビ討論会の注目ポイントはどこかという話題に。

(※大統領選テレビ討論会終了後、CNNテレビの調査でハリス勝利63%、トランプ勝利37%と報じられた)

 今回のテレビ討論会は選挙の方向性を変える可能性があり、注目だとポールさん。見どころとしては、トランプがちぐはぐな発言や過激な発言で、自身にとって不利な発言をしないか。

 一方、ハリスは今までセリフが決められているイベントが多く、今回が初めてアドリブで発言するイベントであるため、そこで何かミスをするのかが見どころだけれど、ハリスは弁護士で討論会も得意のはずだから、どちらかというとトランプにミスがあるかがポイントになりそうとのことだった。

世界的に金利引き上げから金利引き下げに変化する局面では、新興国市場に投資妙味がある

 続いては、世界中で金利が低下することと、新興国市場について。

 今週はECB(欧州中央銀行)の利下げ(※)、来週はFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが予想され、英国、カナダ、豪州あたりはすでに利下げしており、世界中で金利が低下していくことをポールさんはどう見ているのか、渡部さんが聞いた。

(※ECBは9月12日(木)の理事会で政策金利を0.25%引き下げると決めた)

 コロナ後の世界的な金利引き上げから、潮の流れが全体的に変化して、金利引き下げに向かう局面では、マクロ的に考えると新興国市場に投資妙味があるとのこと。
【※関連記事はこちら!】
世界は利上げサイクルから利下げサイクルへ反転。金利低下局面では新興国市場のパフォーマンスが良い傾向がある。その4つの重要な要因とは?

 以前の放送で触れた、ウィズダムツリーの新興国市場ETFであるDEMや、その他の新興国市場ETFも参考にしていいようだ。

DEM(ウィズダムツリー新興国市場ETF) 週足 (出所:TradingView)

 ただ、新興国市場には中国も含まれており、中国は独自の経済的問題に直面していて、安い理由があって安いのだそう。中国に投資するかしないかによっても、銘柄選びをしたほうがいいそうだ。

 すると、渡部さんが「欧米やカナダが利下げするのは、インフレ退治が終わったと見ていると考えていいでのしょうか」と質問した。

 ポールさんは、インフレの落ち着きは指標から確認できるし、先日、パウエルFRB議長が「インフレ対策はこれでひと段落した」と発言したことも大きいとコメント。

 また、原油価格が最近下落していて、輸入価格で見ると原油安でインフレが少し緩和するとのこと。原油がいろいろなものの原材料になることも、物価上昇の抑制につながるようだ。

 原油のチャートを見ると、直近レンジの下の方にあるため、さらなる下落は考えづらいけれど、この水準にあるとインフレは少し緩和するとポールさんは考えている。

WTI原油先物 週足 (出所:TradingView)

大きな不景気ではなく、少しの景気鈍化で行う利下げが、新興国市場のプラスとなる

 渡部さんは続けて「原油が下がってインフレが落ち着くのはわかるが、景気が鈍化していく兆候という見方もあって、不景気にしないために利下げしていくということなのでしょうか?」と質問した。

 利下げには、大きな不景気で行う利下げと、少しの景気鈍化で行う利下げの2つがあり、ポールさんはこれから原油がさらに下落したり、大きな不景気や金融危機が待っているとは思っていないようだ。

 大きな不景気のなかでは、新興国市場に投資してはいけないのだけれど、少しの景気鈍化で行う利下げは、新興国市場にプラスの力となるため、新興国市場にもっと注目していいとのこと。

 また、AIですごく上昇したアメリカ株と、AIに当てはまらない新興国株の差が大きかったものが、世界的な利下げにより、AI以外の部分で新興国株が底上げされて、アメリカ株との差が縮む可能性があるという。

アメリカの緩やかな利下げを見込んでいるが、ハリスとトランプのどちらが大統領に当選するかで、政策や関税、税率、補助金などが変わる

 最後は、アメリカの利下げペースの話題に。

 FEDウォッチでは、12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)までに合わせて100ベーシス利下げや、125ベーシス利下げが予想されているけれど、それほどガンガン利下げするものなのか、渡部さんがポールさんに聞いた。

 ポールさんは先ほども書いたとおり、大きな不景気を予想していないため、ガンガンというより緩やかな利下げを見込んでいる。

 例えば、アメリカの住宅ローン30年固定金利はピークの7%台から6%台まで下がっていて、金融情勢が少し緩いほうに向いており、インフレの緩和やパウエルFRB議長の発言がすでに影響していることも、大きな不景気を予想していない根拠の1つのようだ。

 ただ、これからの指標結果や地政学リスクによって利下げペースは変わるし、ハリスとトランプのどちらが当選するによって、政策や関税、税率、補助金などが変わるため、利下げペースを語るより、テレビ討論会が重要な見どころとなるとのことだった。

 ここまで、9月10日(火)放送の「WORLD MARKETZ」に出演した、ポールさんのマーケット解説を中心にお届けした。

 冒頭でも紹介したとおり、ポールさんはメルマガ&オンラインサロン「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている。登録後10日間は無料だ。米国株投資をしてみたい、すでにしているけどもっと現地からの情報が欲しい、ポールさんが推奨する個別銘柄やポートフォリオ(直近1年で50%以上の上昇)を見てみたいという人は、こちらをぜひ登録してみてほしい。


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