衆議院選挙は2009年以来15年ぶりの過半数割れ。公明党は歴史的敗北
10月27日(日)に投開票が行われた第50回衆議院議員選挙。結局、事前の予想通り与党の自民・公明が2009年以来15年ぶりの過半数割れとなった。「自公で過半数が勝敗ライン」と設定して臨んだ選挙。「政治とカネ」を争点に自民党が国民からの信任を得られるかどうかを問うた選挙でもある。選挙中盤に裏金議員に公認議員と同じ2000万円の振り込みが発覚して惨敗した。国民の答えは「NO」。ところが、衆院選後も石破茂内閣はブレブレ路線をさらに爆走しているように思う。
今回の選挙で一番壊滅的な被害を受けたのは公明党だと思う。党代表も副代表も落選、大阪の小選挙区は全敗。もはや党運営自体が危機に瀕している。とは言え、国民は正しい判断を下したと思う。「公明党はキャスティングボート」など死語となった。
暴走する石破内閣。「納得と共感」どころか「不信と反感」を買うばかり
そして自民党。くだくだと申し上げないが、どうして石破首相は続投するのか? すでに国民の審判ははっきりと「石破はNO」を突き付けているのではないか? 責任を取るべきはずの森山裕幹事長にも動きがない。小泉進次郎氏だけが選挙の責任を取って選対委員長を辞任したが、これで済む問題なのだろうか? 責任を取るべき人が責任を取らないとすれば、何のために今回の選挙を行ったのだろうか? 民意を無視する行為だと私は思う。それどころか衆院選当選の無所属の萩生田光一氏、西村康稔氏、平沢勝栄氏、世耕弘成氏をはじめとする6人に呼びかけを行って自民党の会派に入るとのこと。さすがに露骨過ぎてまずいのではないか。将来的に見ればきわめてヤバい選択をしていると思う。「納得と共感」の内閣はどこへやら。「不信と反感」の内閣ではないか。
さらに解せなかったのが、投票所の早めの店じまいだ。どうして大事な国政選挙なのに「残業代が…」「コストが…」を理由にそのような暴挙に出たのだろうか? これも裏で与党が画策して行った行為としか思えない。
「手取りを増やす」で躍進した国民民主党がキャスティングボートを握る
一方、最も躍進したのが国民民主党だ。立憲民主党とは全く異なる政策を推進する玉木雄一郎氏が代表を務めているが、改選前の7人から4倍増の28人。本来ならば比例であと3議席獲得できたはずが、候補者不足で他党に譲るほど大きな成果を収めた。「手取りを増やす」とのまともな政策を訴えて、それが国民に評価されたと思う。今やまさに「キャスティングボート」の存在。日本保守党も3議席を獲得し、政党として正式に認知されたことも大いに評価に値する。
マーケットは円安・株高の反応となり、私が予想していた通りの動きとなった。巷で噂されていた「ブラックマンデーの再来」はもちろんなし。予想通りの結果が出れば、株式市場ではサプライズな動きは起こらない。選挙前に先物のショートポジションを思いっきり積み上げていたヘッジファンドたちは慌てて買い戻しに走った。
トランプとハリスが拮抗との報道だが、マーケットはトランプ勝利の見方
さて、11月5日(火)は米大統領選挙の投開票日である。高齢を理由に撤退したジョー・バイデン氏に代わって副大統領の立場にあったカマラ・ハリス氏が登板。「史上初の女性大統領」「トランプ氏よりも圧倒的に若い」との視点で当初は優勢が伝えられる報道が多かった。さらに、ドナルド・トランプ氏との第1回TV討論会での堂々とした論戦ぶりでハリス勝利の風が吹いていた。ところが、ここにきてかなり様子が変わってきている。
最近の世論調査では二人の支持率はほぼ拮抗している状況だ。ところが、マーケットの世界では「もしトラ」シナリオが優勢でトランプ氏が勝利するとの前提でドル高と米金利上昇を狙う「トランプ・トレード」が行われている。選挙結果を予想する合法的な賭けサイトでもトランプ氏が有利である。
なぜ、こうした差が出るのか。世論調査が「世論」を正確に反映していないのだ。2016年の大統領選では、直前までヒラリー・クリントン氏が大統領選に当選するとほとんどの世論調査が示していたが、蓋を開けたらトランプ氏が勝利した。2020年の大統領選でも、投票日直前の最後の調査でバイデン氏がトランプ氏を大差でリードしていたが、実際はわずかな得票差だった。その要因は、一部のトランプ支持者が世論調査で自分の投票予定を正直に話さないことが多く、トランプ人気が過小評価されていたためである。今回もそのような思惑が動いている。
米大統領選後のマーケットシナリオは?上下院選挙の結果が鍵を握る
ここで大統領選挙結果におけるマーケットシナリオを簡単に記しておきたい。どちらが大統領に選ばれるかはもちろん大事だが、同時に行われる上下院選挙がカギを握る。
トランプ氏の大統領選公約は保護主義や財政拡張的な政策が掲げられ、大型減税など景気刺激策が主体である。トランプ氏が勝利すれば株式市場にとってはプラスとなるが、インフレ再燃の懸念が高まりドル高・金利上昇を招く形になる。どの程度マイナスに作用するのかがマーケットを見るポイントになる。現在は上院が民主党、下院は共和党が多数派を占める「ねじれ」状態にあるが、トランプ氏勝利で上下院ともに共和党になれば、株式市場にとって強い追い風が吹きそうだ。
一方、ハリス氏が勝利の場合はバイデン政権の政策がほぼ踏襲される形となり、トランプ氏と比較すれば株式市場への追い風は少ないように思う。仮に上下院が「ねじれ」の状態で決着が付けば、最も平穏なシナリオとなり株式市場への影響はほとんどないと考えている。バイデン政権はコロナ禍後のインフレ封じ込めに後手後手で、今の物価上昇を快く思っている米国民はほとんどいない。上下院ともに民主党になるシナリオはきわめて考えづらい。
すでに期日前投票は10月29日時点で5000万人を突破した。だが接戦の場合は決着がもつれて2025年1月20日の次期大統領就任まで波乱が起きる可能性がある。すでに投票箱が燃やされたり、暴力事件が起こったりしている。選挙後の訴訟問題も想定される。正式な結果が出るまでは、日米市場とも不安定な動きに晒される可能性があり、目が離せない。
2025年の相場を占う重要セミナーを11月14日に開催。個別銘柄分析も
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●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。
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