「勝者のゲーム」と資産運用入門

トランプ関税交渉は、日本だけが不調。
日本に高関税課せられれば波乱も、投資チャンスに!
システマテックリスクこそ投資家の力量が問われる!太田忠の勝者のポートフォリオ 第196回

2025年7月8日公開
太田 忠
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7月1日S&P500とナスダック指数は最高値更新、日経平均も4万円台に

 最近のマーケットの復調ぶりは実に目覚ましい。7月1日は日米市場ともにリスクオンの展開となり、S&P500は2月以来、ナスダック指数は昨年12月以来となる最高値を更新。そして、日経平均株価は年初来高値となる4万円台を回復し、昨年7月以来の高値となった。

 5月20日のコラム『トランプ関税ショックは収束、今回の急落に学ぶ2つのポイント』で私はこう言った。「トランプ関税ショックによる底値が確定した」「日経平均においては4月7日の3万1136円、NYダウにおいては4月8日の3万7645ドル」「これが最悪シナリオを織り込んだレベル」「トランプ関税を巡って二番底はもう来ない」。

 トランプ政権が発表した相互関税率は欧州連合(EU)が20%、日本24%、中国34%など市場が想定していたよりも厳しい内容だったため、世界経済への計り知れない悪影響を織り込む形でマーケットは急落。だが、4月9日の日本時間13時1分に発動からわずか13時間後にトランプ大統領が「相互関税の上乗せ部分について90日間停止する」と突然表明して流れが一変。凄まじい勢いで買い戻しが行われ、日米市場ともに相互関税発表前の水準を回復して高値を更新するに至った。

米政権との関税交渉で各国が妥結を図りつつある中、日本には暗雲が漂う

 この90日の停止期間中に米国は貿易相手国と関税交渉を行ない実際の相互関税率を決める。第1弾の交渉決着相手は英国。相互関税率10%で上乗せ分はなし、自動車は低関税率、鉄鋼・アルミの25%関税は撤廃となった。中国との関税交渉は「お互いに関税率を115%引き下げる」「米国の中国に対する関税率は30%」「中国の米国に対する関税率は10%」という驚きの内容だった。さすがにここまで一気に関税率が引き下げられるとは予想されておらず、買い戻しに拍車がかかった。カナダとの交渉はカナダ側が米国IT大手企業に対するデジタルサービス税を撤回したことを受けて進展する期待が高まっており、インドとの交渉も大詰めを迎えていると報じられている。7月9日の一時停止期限に向けて、多くの国々との歩み寄りがみられるとのムードになってきている。

 ところが、唯一の例外が日本である。これまで日米閣僚会議が7回行われているが、協議は不調だ。「日本との合意が実現できるか疑わしい」。トランプ大統領は7月1日、大統領専用機内で日本批判を繰り返した。「彼らはとても強硬で、甘やかされてきた」「日本に対して30%から35%の関税を課す」「コメ不足に陥っているのに米国のコメを輸入しない」「自動車も輸入しない」。米国は当初「日本は列の先頭にいる」(ベッセント財務長官)と早期に成果が出せる交渉相手国の一つと見込んでいたが、その見方は「強硬な交渉相手」に変化した。交渉期限の目安である7月9日までに合意に至るのは難しくなってきている。

我が国の関税交渉の最大の焦点は自動車。安易な妥協はしてほしくない

 日本は関税交渉を開始して以来、米国への投資拡大や経済安全保障分野での協力などをパッケージにして示し、自動車などの分野別関税や相互関税の撤廃を求めてきた。だが、交渉期限が迫る中、トランプ大統領が新たに示した税率の大幅引き上げの回避が最優先課題になってきている。とは言え、私の願うところは米国に対して妙な妥協だけはして欲しくないという点だ。

 関税交渉の最大の焦点は自動車であるが、トランプ大統領の日本に対する主張は全くおかしなものだ。米国車が日本で売れないのは、日本が市場を米国に開放していないからだと考えているようだが、全くの事実誤認である。日本人なら十分お分かりだと思うが、米国車は大きくて小回りが効かず、日本車と比べて価格が高い上に燃費が悪く、維持費がかさむからだ。日本は海外メーカーに市場を開放している。日本で売れている独ベンツやBMWを始めとする輸入車は日本で販売網を構築し、手厚いアフターサービスを展開して受け入れられている。米国の自動車メーカーはそうした努力を全くしていない。要するに、日本市場において米国車は自由競争で完全に負けているのだ。また、米国市場でトヨタ車の販売台数がトップなのも同様だ。

日本の自動車産業への高関税は、米国の自動車産業と消費者に大きな痛手

 もし、トランプ大統領が自動車の対日貿易赤字を解消する目的で日本車や自動車部品に高関税を課せば、日本の自動車関連産業はダメージを受けるが、それ以上に大きなダメージを受けるのは米国の自動車産業である。日本車価格が高騰するのはもちろんのこと、部材の上昇で米国の自動車メーカーもコスト増に直面して大幅な値上げをせざるを得なくなる。その結果、米国の消費者にとっては輸入車や国産車を問わず価格高騰に直面する。こんなことは自明の理だ。

 貿易交渉が米国の思惑通りに進まない中、高関税による威嚇はトランプ大統領が日本政府から譲歩を引き出す狙いがあるとみられるが、安易な妥協は禁物だ。国際貿易の場で自らの正当性を主張し、自国の国益を守ることが重要である。短期的にはネガティブな影響を受けるかも知れないが、7月9日の期限に関わらず、石破政権には粘り強い交渉を望みたい。

対日関税が高水準なら日本市場は波乱含みも、いつも通り泰然自若であれ

 そもそもトランプ政権が全ての日本製品に対し相互関税率を30%あるいは35%課した場合、現状の米国の対中関税(相互関税10%+フェンタニル関税20%=30%)と同等かそれを上回る水準となる。対米投資残高で過去5年連続首位を占め、米政権がアジアで最重視してきた同盟国である日本に対してここまで高水準の関税を課すことは想像しがたい事態であり、おかしな話だ。

 皆さまの日本株投資に対する姿勢はいかがだろうか? 今回の件もいわゆるシステマティックリスク(市場全体のリスク)である。しかも理不尽なものである。今年に入ってシステマティックリスクに対しては何度も解説してきたので、もはや何も申し上げることはないのだが、投資家としての力量や実力が試される局面である。「チャンスはピンチの顔をしてやって来る」ことをお忘れなく。

推奨ポートフォリオは設定来+98.4%、年初来も+17.6%と市場に圧勝

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行っている「勝者のポートフォリオ」。おかげさまで、このところ連日で最高値を更新して快進撃を続けている。2021年10月にサービス開始以来、6月30日時点で累計パフォーマンス+98.4%、昨年来+55.2%、年初来+17.6%となっておりマーケットに圧勝している。今年の第一目標である+100%の達成はあとわずかなった。日経平均も久々に4万円台を回復し、ますます我々に追い風が吹きそうだ。

「勝者のポートフォリオ」の設定来パフォーマンスの推移と主要指数との比較

 勝者のポートフォリオでは、毎週のメルマガ配信による運用の指南に加えて、2大特典として毎月のWebセミナー開催とスペシャル講義の提供をおこなっている。

 次回のWebセミナーは7月9日(水)20時より開催する。テーマは『あなたの投資力を問う(2)~投資家としての実践力を自己点検しよう~』。2025年に入ってからのWebセミナーで解説してきた投資戦略はほぼすべて的中しており、このところ株式市場の流れに大きな変化はない。そこで6月に続いて7月も皆さまの投資力を自己点検していただくための機会を設けることとした。6月は基礎力を問う問題が中心だったが、7月は実践力を問う問題を20問用意している。もちろん投資戦略や個別銘柄の話、そして皆さまからのすべての質問にお答えする。投資のヒントが満載だ。10日間の無料お試し期間でも参加可能。毎回300名を超える参加者で盛り上がるセミナーだ。ぜひ奮って、お申し込み&ご参加願いたい。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」メルマガ配信などで活躍。

※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一木曜夜は、生配信セミナーを開催。

 

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