「勝者のゲーム」と資産運用入門

日経平均は年初4万円を一時回復も下落が続き低迷。
一方、米国株はトランプ政権発足前に息を吹き返す。
「勢いづく米国株vsモタモタする日本株」の理由は?太田忠の勝者のポートフォリオ 第172回

2025年1月21日公開(2025年1月27日更新)
太田 忠
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

日経平均は今年の高値から2000円下落し、一時3万8000円割れ寸前に

 新年明けの東京市場。大発会の日経平均株価は587円安と大幅下落でスタートしたものの、翌日には776円高となり4万0083円と4万円台を回復した。ところが、その後はじりじり売られる展開が続いている。今この原稿を書いている1月17日の午前の取引において3万8055円を付けた。ちょうど今年の高値から2000円もの下落だ。一方の米国市場。1月12日のNYダウは4万1938ドルと4万2000ドル割れまで売られたものの、最近盛り返しており1月15日には4万3221ドルまで戻している。それぞれの高値は日経平均が2024年7月の4万2224円、NYダウは2024年12月の4万5014ドル。高値更新のためには日経平均は11%、NYダウは4%の上昇が必要だ。両者の間には明らかに大きな差が付いている。

 ところで、2024年12月24日のコラム『日米金融政策発表で好対照、大幅下落の米国株vs踏みとどまった日本株』の内容を覚えておられるだろうか? 昨年末の時点では今とは真逆で米国株が軟調、日本株は堅調だった。その要因は日米の金融政策発表が大きく関係していた。

日本株好調を支えていたシナリオが「FRB利下げ鈍化&日銀利上げ鈍化」

 12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における米連邦準備理事会(FRB)の判断は事前の予想通り3会合連続での0.25%の利下げだった。政策金利の誘導目標レンジは4.25%~4.50%。2024年はちょうど1.00%の利下げとなった。ここまでは良かったが、ネガティブサプライズだったのが新たに更新されたFOMCメンバーによる政策金利予想と経済見通しだ。9月時点のシナリオに対して、2025年の利下げ回数は4回から2回に減らされ、インフレ見通し(個人消費支出物価指数)は+2.2%から+2.5%に上方修正された。わずか3カ月の間で「インフレ基調が強まったから、利下げペースを緩めなければならない」との見方が示されたのだ。12月18日のNYダウは1123ドル安で50年ぶりの10日続落という不名誉な記録となり、トランプ相場が帳消しとなった。

 一方、12月の日銀の金融政策決定会合の結果は予想通りの「金利据え置き」との判断だった。植田和男総裁は記者会見で「データはオントラック(想定どおり)でここ数カ月きているが、次の利上げの判断に至るには、もうワンノッチ(1段階)ほしい」と述べた。具体的な判断材料は2025年の賃上げの行方だ。「賃上げに関しては春闘の集中回答日まで待つ必要はなく、春闘の動向が見えてくれば判断できる」とのコメントだった。その判断は「1月では早すぎ」「4月まで待つ必要はない」との見方から3月18日~19日に開催される金融政策決定会合で0.25%の利上げがなされ、日本の政策金利は0.50%の水準になるとのシナリオが固まった。

 米国は利下げスピード鈍化、日本は利上げスピード鈍化という対照的な構図から「大幅下落の米国株vs踏みとどまった日本株」となったわけである。ついでに言えば、日米金利差の拡大によってドル円は再びドルが買われ、円が売られて158円台まで円安が進んだ。

日米金融政策を巡る解釈が変化。シナリオが激変してマーケットは真逆に

 今回のテーマは『日米金融政策を巡って勢いづく米国株vsモタモタする日本株』。要するに12月末とは正反対の状況になっている。その理由は、今後の日米金融政策を巡る解釈が変化してきているからだ。12月の日米金融会合からは何も発表されていないのに、わずか2週間程度のうちにマーケットは逆方向に動いている。

 まずは息を吹き返している米国市場だが、12月の消費者物価指数(CPI)のコア指数が+0.2%(前月比)と11月の+0.3%より鈍化し、予想の+0.3%を下回った。また12月の卸売物価指数(PPI)は+0.2%(前月比)と予想の+0.4%を下回った。要するに、重要なインフレ指標であるCPIとPPIが想定ほど高くなかったことで過度なインフレ懸念が後退、FRBの利下げペースが大きく鈍化する懸念が後退したことになる。また1月20日の「トランプ2.0(トランプ次期政権)」の発足を前に米国株を見直す買いの動きが出てきている。

 一方の日本市場は冒頭で述べた通り冴えない。日経平均はまさかの2000円安である。日銀の利上げ判断「1月は早すぎ」というシナリオが崩れつつあるのだ。植田総裁はわざわざ「1月の会合で利上げを行うかどうか議論して判断する」とコメントしている。今春の賃上げに向けた企業の動きは活発であり、「昨年並み」とする発言が相次いでいる。加えて、熾烈な人材獲得の面から大卒総合職の初任給を41万円にするという東京海上日動のような企業も出始めた。これこそインフレ時代の本格的到来を感じさせる、景気のいい話である。早期の利上げは想定外だったため、株式市場に逆風となっている。また「トランプ2.0はどうなる?」「関税引き上げはどうなる?」という不透明感も漂っており、日本株売りの材料となっている。

相場を主導する先物市場。「売り方」が連日売り崩しを連発して大幅下落

 その原動力は現物市場ではなく先物市場である。すでにご存知だと思うが、先物市場の方が現物市場よりも取引金額が大きく、先物主導で現物株が動かされていると言っても過言ではない。とくに昨秋からその傾向が強まっていると感じている。

 1月10日(金)のマイナーSQ(特別清算指数)に向けて先物市場で「売り方」「買い方」の双方が激しいバトルを繰り広げた。「買い方」の勝利に終わると思われたが、SQ日に日経平均の最大組み入れ比率のファーストリテイリングが好決算にも関わらず決算プレイで急落。その結果、SQ値は3万9343円と12月の3万9434円を下回って「売り方」が土壇場で勝利。大きなドラマだった。

 それに気を良くした「売り方」が連日売り崩しを連発。前日の米国市場の上昇or下落に関係なく、寄付き高値、14時頃に安値というパターンを作って利ザヤを稼ぐという構図である。「何だかおかしい」と感じているあなた、先物市場をしっかり観察すればマーケットの動向がより明確に理解できるとアドバイスしておこう。5分足を見ればトレンドがよく分かる。

先物バトルに右往左往しない投資戦略を「勝者のポートフォリオ」で学ぶ

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行っている「勝者のポートフォリオ」。毎週のメルマガ配信による運用の指南だけではなく、2大特典として毎月のWebセミナー開催とスペシャル講義を提供している。

 1月9日(木)20時よりWebセミナーを開催した。テーマは『2025年のマーケット展望と投資戦略』。年初の多忙な時期にもかかわらず257名の参加者となり22時30分に終了。すでに会員ページにアップ済みなので有料会員はいつでも視聴が可能だ。次回は2月6日(木)20時より開催予定である。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加できる。オープンな開催はしていないのでご注意願いたい。

 そして、最新のスペシャル講義として『新NISA 2年目の投資戦略』をアップした。コンテンツは「1年目を総括する」「2年目は何を買うか?」の2本立てだ。会員たちは2025年の新NISAへの取り組みを積極的に始めている。読者の皆さまはきちんと取り組まれているだろうか?

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。

 

国内外で6年連続アナリストランキング1位を獲得した、
トップアナリスト&ファンドマネジャーが
個人投資家だからこそ勝てる

「勝者のポートフォリオ」を提示する、
資産運用メルマガ&サロンが登場!

老後を不安なく過ごすための資産を自助努力で作らざるを得ない時代には資産運用の知識は不可欠。「勝者のポートフォリオ」は、投資の考え方とポートフォリオの提案を行なうメルマガ&会員サービス週1回程度のメルマガ配信+ポートフォリオ提案とQ&Aも。登録後10日間は無料!

太田忠の勝者のポートフォリオ

10日間無料 詳細はこちら※外部サイトに移動します


「勝者のゲーム」と資産運用入門 バックナンバー

»もっと見る

太田忠の勝者のポートフォリオはこちら!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

最強株主優待
人気投信をズバ斬り!
最新iDeCo入門

4月号2月20日発売
定価950円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[最強株主優待/投信格付]
◎巻頭特集
人気20銘柄の売買診断も!
最新決算でわかった2025年の大本命株28

●トランプ追い風株
●来期も好業績株
●好調の中小型株株
●配当を増額修正した株

◎第1特集
優待の達人25人が選んだ!
合計利回り30%超も!
最強株主優待ベスト150

桐谷さんの愛してやまない推し優待株
「優待+配当利回り」「最低投資額」2大ランキング
●多種多様なお店が並ぶ!外食
●押しグルメを探そう!食品
●家計の救世主!日用品
●いろんな買物に使える!百貨店・家電量販店
●化粧品や洋服でキレイに!美容・アパレル
●心躍る体験を!エンタメ・レジャー
●欲しいものが選べる!カタログ
●自由度が高い!金券・ポイント
●優待新設・廃止の最新ニュース
●優待弁護士が指南!優待株の失敗しない選び方
●女性優待ブロガー3人の座談会

◎第2特集
★★★の数を見るだけでOK!
人気投信をズバ斬り!
2年目NISAで買うべきは?
投信格付242【2025年春版】

2年目NISAの投信の選び方!
●コストの引下げアリ!インデックス型
●市場環境の変化が影響!アクティブ型
●株式比率の高い投信が好調!バランス型
●最高利回りは36%超!毎月分配型100

◎第3特集
手数料比較はもう古い!
大手ネット証券7社を徹底比較!
NISAで最強の証券会社セレクトガイド

基本サービスの充実度
ポイントのオトク度
●資産管理のしやすさ

【別冊付録】
今スグ始める?やめとくべき?
改正ポイントがわかる!最新iDeCo入門

iDeCoの何がスゴイ?
●受取のルールをマスター
●運用商品は何がオススメ?
●出口戦略こそ考えどころ
●手数料と買える投信で金融機関を選べ!


◎連載も充実!

◆目指せ!お金名人
◆おカネの本音!VOL.32
◆株入門マンガ恋する株式相場!
◆マンガどこから来てどこへ行くのか日本国


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報