「勝者のゲーム」と資産運用入門

一転して12月FOMCの利下げ確率が高まり株価回復。
金融相場では、日々の値動きに動じない投資家が成功する!太田忠の勝者のポートフォリオ 第217回

2025年12月2日公開
太田 忠
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日経平均は最高値から3786円下落。メディアやSNSで悲観論が飛び交う

 日経平均株価は10月末の最高値から7.2%下落の3786円安に―。

 11月21日(金)の日経平均は4万8625円で引け、週間パフォーマンスは3.5%下落の1751円安となった。これで10月31日(金)につけた最高値5万2411円から7.2%安の3786円安。見かけ上の数字からすれば大きな調整と言える。

 「マーケットは買われすぎだ」「AIバブルがついに弾けた」「ここから大きく暴落する」などの文言がメディアやSNS上で溢れる様子を見ながら、私はいつものように冷静沈着かつ泰然自若の気持ちで株式市場と付き合っている。むしろ、どうして今こうした意見が支配的になるのかが理解できず、根拠のない無責任で世間の軽率な風潮に哀れみを感じている。なぜなら、金融相場の最中における調整局面においては「百害あって一利なし」の思考法だからである。

中国の反日行動の日本への影響は軽微。むしろダメージが大きいのは中国

 前回のコラム『中国の一連の反日リアクションのマーケット影響は軽微。台湾有事の地政学リスクは遠のく』で述べたように、このところ社会を騒がせている中国の反日行動がマーケットに悪影響を及ぼしているわけではない。中国の過激で品性を欠く非常識な行動は世界的に嫌悪感を生んでいる。突然発表した日本への渡航自粛政策は、日本への打撃より、中国への打撃が大きいことを述べた。

 日本における中国人のインバウンド市場が拡大するに伴ってその恩恵にあやかろうと中国系企業が大量に進出。旅行代理店、航空会社、バスや白タク、ホテル・民泊、レストランそして免税店に至るまで中国資本の企業が受け皿になる「一条龍」モデルが出来上がった。そのため日本にはあまりお金が落ちておらず、経済ダメージは限定的でオーバーツーリズムの緩和メリットの方が上だろう。また水産物輸入禁止では美味しい日本産の食材が手に入らなくなる。日本側としては中国以外の販路が育っているため影響は出ない。結局、中国政府が打ち出す日本への対応策は中国側の方がデメリットは大きいのではないか。

11月に入って株価が調整したのは、米利下げ観測の後退が主な要因

 中国政府は恫喝して経済制裁を加えれば「日本は中国に従う」という浅はかで幼稚な考え方しか発信できていない。自国民にはそうしたやり方でコントロールできるかもしれないが、高市政権には通用しない。日本に対する経済制裁は結局、自国に対する経済制裁になっているということだ。そもそも論として中国は民主主義や自由といった価値観を私たちと共有しない独裁国家であり、世界へ魔の手を急速に伸ばしているのは誰もが知る事実。「話せばわかる」国ではないことを外交上の念頭に置くべきであろう。

 株式市場は11月に入ってからボラティリティが高まっており、AI、ハイテク、半導体銘柄を中心に大きく下落。エヌビディアは市場予想を上回る好決算を出したが、むしろ大きく売られている。その背後にあるのが米国である。さらに言えば米連邦準備理事会(FRB)の金融政策である。年に8回開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策が決定されるが、次回12月9日と10日に開かれる会合で「追加利下げがおこなわれるはずだ」と想定されていた見通しが揺らいでしまった。

11月の第4週に一転して米利下げ観測が急速に高まり、株式市場も回復

 FRB高官による相次ぐ慎重発言。クリーブランド連銀のハマック総裁は「労働市場には若干の軟化が見られるものの、インフレ率は3%で依然としてFRB目標の2%を上回っている」「金融引き締め的姿勢を維持する必要がある」と語り、FRBのシェファーソン副議長は「政策金利は中立的水準に近づいている」「リスクバランスは変化し続けている」と発言。10月のADP全米雇用リポートは+4.2万人と予想の+2.2万人を上回り9月分も上方修正。また10月のISMサービス業景況指数は52.4と予想50.5を上回ったことが追加利下げを躊躇せざるを得ない理由を与えた。これに輪をかけるように著名投資家によるAI関連銘柄の売り(「世紀の空売り」で知られるマイケル・バーリ氏のサイオン・アセット・マネジメントがパランティア・テクノロジーズやエヌビディアのプットオプション取得)や、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーのCEOが相次いでマーケットが10%以上調整する可能性に言及したことも影響した。

 だが、11月の第4週に入りFRBの利下げ観測が急速に高まっている。NY連銀のウィリアムズ総裁の「短期的に一段と調整する余地がある」発言やFRBのウォラー理事の利下げ支持姿勢。FRBの利下げ観測を強める経済指標も連発している。9月の小売売上高が前月比+0.2%と予想の+0.3%を下回ったこと。9月PPI(卸売物価指数)のコア指数が前月比+0.1%と予想の+0.2%を下回ったこと、11月の消費者信頼感指数が88.7と7カ月ぶりの低水準となり予想の93.2を下回ったこと、そして11月のPMIは前月比7.5ポイント低下の36.3と予想の45.5を大幅に下回った。フェドウオッチによる12月FOMCの利下げ確率は前週の40%台から84.7%まで上昇。11月27日の日経平均は5万167円となり、5万円台を早々に回復した。

金融相場における重要なロジックは「景気悪化→金融緩和→株価上昇」

 「景気減速のニュースは株価にとってプラス要因」と私は常々申し上げているが、まさにその通りの展開だ。「景気減速は株価にマイナス」との常識論は金融相場では通用しない。ほとんどの投資家およびメディアですら「景気悪化は株式市場に逆風」と考えているが間違いである。ここを間違うとマーケットサイクルで最もパフォーマンスの良い金融相場において、投資成果の全く上がらないダメダメ投資家になってしまう。その証拠にソフトバンクグループ(9984)を見て欲しい。短期の個人投資家たちは「買ったら下がり」「売ったら上がる」という逆の結果を招いている。あたふたと売買する個人投資家たちは地団太を踏むことになるのだ。あなたは、そうした「こんちくしょー」の感情トレーダーではないだろうか? 

 とにかく金融相場では目先の株価の動きに惑わされないことだ。米国の政策金利の水準はまだまだ高い。コロナ禍後のインフレ退治のためゼロ金利から一気に5%を超える水準まで引き上げる荒業をFRBのパウエル議長は行ったが、今はその行き過ぎた金融政策を是正する局面にある。「景気悪化」=「株価下落」ではない。「景気悪化」=「金融緩和」=「株価上昇」である。今一度、このロジックを再認識して欲しい。調整局面であたふたする必要はない。心配や不安など雲散霧消するはずだ。

金融相場の恩恵を享受する勝者のポートフォリオはマーケット指標を圧倒

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行う「勝者のポートフォリオ」。おかげさまで快進撃を続けており、連日での最高値更新となっている。2021年10月にサービスを開始して以来5年目に突入したが、10月31日時点の累計パフォーマンスは+137.5%と最高値を更新。昨年来+85.8%、年初来+40.7%といずれの期間でもマーケット指標を圧倒している。マーケット分析力と個別銘柄選択力で「市場に打ち克つ」を実践している成果が大きく出ているものと自負している。2025年の目標+100%を7月に突破。次の目標として+150%を掲げているが、早々に達成しそうな勢いだ。

「勝者のポートフォリオ」の設定来パフォーマンスの推移と主要指数との比較

 「勝者のポートフォリオ」は日本株を中心とした個人投資家向けの投資助言サービスであり、毎週のマーケット解説・投資戦略のメルマガ配信に加え、毎月恒例のWebセミナーの開催とスキルアップを目的とするスペシャル講義を提供している。

 WebセミナーではFRBや日銀の金融政策、日米の景気動向、あるいは最近ではトランプ関税政策といったホットな話題を取り上げながら現状の投資戦略や今後株価上昇が期待できる個別銘柄、さらには参加者のすべての質問に答えるQ&Aコーナーを設けて毎回2時間半ものロングランとなっている。毎回300名を超える参加者で盛り上がり、投資のヒントが満載である。

12月17日水曜20時から年内最後の開催となるWebセミナーを見逃すな

 11月12日(水)20時より開催したWebセミナーのテーマは『高市政権が本格スタート、現実味を帯びる日経平均7万円達成シナリオ』。株式市場は上昇しているのに資産運用がうまくいっていない個人投資家が多いとの印象が強い。「どうすれば資産運用がうまくいくのか」を知りたい方々にたくさんご参加いただいた。すでにセミナー動画は会員ページのアーカイブに公開済みである。次回の開催は12月17日(水)20時からを予定。テーマが決まり次第、皆さまにもお伝えしたい。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加が可能である。

 スペシャル講義では投資スキルを身につける場として62本もの講義動画をリリースしている。個人投資家にとって必須のリスク管理、運用力を上げるためのマーケットサイクル投資法、恐怖指数の活用、システマティックリスクの対処法、ヘッジファンドの実態などを詳しく解説している。ぜひとも参考にしていただきたい。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」メルマガ配信などで活躍。

 

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