イスラエルによるイラン攻撃で中東情勢が緊迫したが、事態は早期に決着
イスラエルとイラン、双方ともに勝利宣言 ―。
6月13日の東京市場。この日はちょうどメジャーSQ(特別清算指数)日にあたり、大きな波乱もなくSQ値は3万8172円にて無事終了。ところが、その直後にイスラエルによるイランへの攻撃が伝わり、先物主導の売りで3万7540円まで一気に売り崩された。日中高値は9:00につけた3万8141円。結局、この日はSQ値を上回ることができず「幻の高値」が出現した驚くべき1日だった。
為替相場では円が買われてドル円は前日の144円台から142.80円まで一気に上昇し、原油先物価格も14%高と地政学リスクをきっかけとした投機的な買いが起こった。中東情勢の緊迫化に伴う供給懸念が意識された形だ。イランは世界の石油供給の約2割が通過するホルムズ海峡に大きな影響力を持っており、情勢の悪化は供給懸念に直結する。イランも報復宣言を行いイスラエルに向けて攻撃を開始した。中東情勢の混乱で株式市場はしばらく揺れ動いたが、6月22日に米軍がイランの3つの主要な核施設を標的とした大規模な破壊攻撃を行ったことで事態は決着した。
米トランプ大統領が自身のSNSに「イスラエルとイランが完全停戦で合意した」と投稿した後、イランのペゼシュキアン大統領とイスラエルのネタニヤフ首相はそれぞれ自国の「歴史的勝利」を宣言。地政学リスクが大きく後退した。中東情勢の混乱は今に始まったことではなく、民族・宗教問題が絡んで「自分たちこそ正しい」を主張し合うがために武力を伴った事態が起こる。今回は米国の介入で「引き分け」状態で幕引きとなったが、もちろん「引き分け」という概念は双方の国にはない。だから「自分たちこそ勝利した」という宣言をしたわけだ。
しばしば起こる地政学リスクに対する対処法を歴史から学ぼう
さて、しばしば起こる地政学リスク。我々はどう対処すべきなのだろうか?
私がいつも口にする「賢者は歴史に学ぶ」という観点での備えがあれば、地政学リスクが起こった時に「慌てたり」「おどおどしたり」「方向を見失ったり」しない投資家でいられるはずだ。過去の経験値、すなわち実践に生かせる投資スキルが重要になってくる。有事の際の下落率、有事が起こってから安値を付けた日数、その後の反発はどうなのか。過去の有事を振り返ってみた場合、最も巻き込まれているのが米国市場のためNYダウの動きで簡単に点検してみよう。
まず思い出されるのが2001年に起きた9.11同時多発テロだが、9日後に14.3%安を記録。また1990年のイラクのクウェート侵攻では16日後に同じく14.3%安となっており、これら2つの有事の下落率が突出していた。2003年のイラク戦争では2.5%安、1991年の湾岸戦争は0%安、1980年のイラン・イラク戦争では4.3%安、さらに大きく遡って1941年の真珠湾攻撃では8.8%安という記録がある。では、第二次世界大戦はどうだったのか? マーケットが閉鎖されていたためデータが存在しない。言えることは、有事下の株価下落はいずれも一時的であり、早期に戻るケースがほとんどだ。したがって株式市場には古くから「開戦は買い」の経験則がある。
地政学リスクが起きた際の株価の値動きの3つのポイントと対処法
株式市場における地政学リスクのポイントを整理すると、以下のようになる。
① 有事発生から底値までの期間は短い
・15日程度で底値を付ける習性がある
・株価低迷は長期化しない
② 株価の下落も限定的
・株価の下落率は1ケタ、大きくても15%程度
③ 株価の回復も早い
・ほぼ3カ月以内に元の水準を回復することが多い
【結論】有事において「開戦は買い」(相場格言)が経験則
最近の地政学リスクの好例はウクライナ侵攻である。2022年2月にウクライナ東部の親ロシア地域で「ロシア系住民の虐殺が行われている」との自作自演でロシアが一方的な侵攻を仕掛け、自らの勢力圏を広げるために武力行使したのが発端だが、この地政学リスクで世界のマーケットは揺さぶられた。あれから3年が経過し、いまだ停戦がなされていないのは残念だが、ウクライナ侵攻も上記の3つの条件を満たす。①②③を各自で点検していただきたい。
経済危機などが起きた際の株価の値動きの3つのポイントと対処法
一方、有事とは異なる株式市場における「○○ショック」では全く違う様相となる。日本市場とも関係の深い2000年以降の「○○ショック」を日経平均株価で振り返ってみると、ITショックでは下落期間は226日間で43.3%安、リーマンショックでは下落期間は185日で下落率は51.3%安、チャイナショックは155日間で28.3%安、コロナショックは25日間で30.6%安となった。コロナショックを除き、立ち直るまでに非常に時間がかかることが分かる。
株式市場における「○○ショック」のポイントは以下のようになる。
① イベント発生から底値までの期間は長い
・底値を付けるまで6ヶ月~1年かかることも
・株価低迷は長期化する
② 株価の下落は大きい
・30%程度の下落はしばしば、50%を超えることも
③ 株価の回復は遅い
・数年かかって元の水準を回復することが多い
【結論】経済や企業業績に深刻な問題。「落ちてくるナイフはつかむな」(相場格言)が経験則
こうした点を日頃からきちんと認識しておくことが大事であり、いざという時に投資スキルとして力を発揮する。私の言うことが、お分かりになられただろうか。
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