多忙な日々が続き、多くの依頼を断る中、新たに始めた2つの仕事とは?
今年に入りますます忙しい日々が続いている。特に5月は過去に経験したことのない多忙さで、午前4時から午後10時まで連日で仕事をやってもやっても終わらない状況が常態化した。もちろん私はサラリーマンではないので土日祝日なども関係ない。
忙しい時に限って新たな仕事が舞い込んでくるものだが、すべてお断りしている。個人投資家セミナーの講師、メディアへの出演、本の出版、社外取締役の要請、IRコンサルの依頼などなど…。私自身、もう肩書や自分を売り込む露出などいらない。自分のルールに則って線引きをしている。本当に申し訳ないのだが、つれない返事ばかりで悪しからず。とにかく今のギリギリ状態ではキャパシティが全くないので致し方ない。
とは言え、取捨選択しながら新たに2つの仕事に取り組んでいる。ひとつは皆さんもご存じの渡部清二氏が塾長を務める複眼経済塾での講師。もうひとつが金融教育関連の仕事である。
バブル崩壊で手取り10万円になって絶望。そこから奮起して年収100倍に
渡部塾長とは彼が野村證券国際部の凄腕営業マンだった時代からかれこれ20年以上ものお付き合いだ。私のFM軽井沢の番組『軽井沢発!太田忠の経済・金融”縦横無尽”』にもゲストとして2回ご出演いただいている。第1弾が塾生の皆さまへのメッセージ的な『複眼流・太田忠の部屋』。内容はズバリ「太田忠の、あぁ右肩下がりの証券人生」。私が社会人になった後すぐに日経平均株価は3万8900円の最高値。だがそこから6990円まで転がり落ちた。
バブル崩壊で残業代がなくなり、私のボーナスはゼロとなり、年収は300万円を下回り、手取りは10万円を切った。「はたらけど、はたらけど、なお我がくらし楽にならざり、ぢつと手を見る」という石川啄木の詩が心に沁みた28歳の夏。生活ができなくなった28歳の夏。ものすごく頑張っていたのに全く報われなかった。頬には一筋の涙が…。絶望的だった。そこから奮起して年収100倍を勝ち取ったストーリーを1時間半に及んで語ったものだ。複眼経済塾は会社四季報や日経新聞といった株式投資の基本ツールをバッチリ学んでいる方々の集団なので、それにプラスアルファとなるようなスキルを伝授していきたいと考えている。
トップアナリスト時代はセミナーに引っ張りだこ。毎度聞かれる質問は?
もう一つは金融教育プロジェクト。オンライン形式のアーカイブ講義で、顧客のターゲットは「1億円の金融資産を作ろう」という志の高い人たちが対象だ。私が担当する株式投資講座で30本の講義を8月の開講時にすべてローンチするという厳しい条件。7月までにすべての講義動画の収録を終える必要がある。現在12本の収録を終えたが、まだ18本もの収録があるため、毎日時間との戦い。開講すれば皆さまにもその内容をお伝えしたいと思う。
さて、今回のお題は「“銘柄だけ教えて!”の投資家が儲からないワケ」。証券アナリスト時代、私は中小型株のトップアナリストだったこともあり、あちらこちらの個人投資家向けセミナーから講師のお声がかかった。毎月必ずお話をさせていただいた。主催は新聞社、出版社、メディア、証券会社が中心であり、東京・大阪にとどまらず全国各地に出向いた。
注目銘柄を知ったとしても、自身に投資スキルがないと成果は上がらない
私に期待される役割は決まっている。「太田忠の注目銘柄は何か?」であり、それを聞きたさに多くの個人投資家が集まってくる。今から15年以上前のことなので若い人たちはほとんどおらず、大半が年配の個人投資家だった。前半のマーケット解説の時は眠そうに聞いているのだが、後半の注目銘柄のコーナーになると急に痛いほどの視線がこちらに向けられて熱心にメモを取る姿が可笑しかった。「トップアナリストから聞いた銘柄に投資すれば、絶対に儲かるぞ!」という雰囲気だ。前回のコラム『投資スキルがないと個別銘柄で大きなリターンは得られない』で述べた通り、単に注目銘柄を教えてもらってもそれで投資成果が上がるかどうかは別の話だ。
個人投資家の個別銘柄投資に共通して言えるのが、「とにかく早く」「とにかく少しでも」利益が出れば利益確定して実利を得る行動に走りやすいこと。ちょっとのリターンで売却する一方、含み損になればそのまま抱えてしまう。要するに「利小損大」の投資行動をとりやすく、本来あるべき「利大損小」という投資行動にはなっていない。
それぞれの銘柄にあったトレード手法が必要
ちまちま利益を稼ぐのが我慢できない投資家は、元手に対して3倍の投資ができる信用取引に手を出す。信用取引は「借金取引」であり「コストのかかる取引」である。さらに言えば、「期限付き取引」であるため、その期間中にコストを上回る成果を出さねばならない。令和のブラックマンデーやトランプ関税ショックのような大きなシステマティックリスク(市場全体のリスク)で株価が急落すれば、優良銘柄に投資していても大きな損失が出る。追い証(追加の証拠金)を求められたり、追い証が払えなければロスカットさせられ一番不利な状況で試合終了となる。現物株取引ならば一時な含み損で済むはずが、強制的に投げさせられてしまう。
投資成果はデイトレードやそれに類似した短期のトレードではもたらされない。それぞれの銘柄に合ったスイングトレードや長期トレードが必要である。さらに言えば4つのマーケットサイクル(金融相場、業績相場、逆金融相場、逆業績相場)においてどのような投資スタンスを取るべきかが分かっていないと、日々のマーケットノイズに巻き込まれて「行き当たりばったりトレード」「感情トレード」になりやすい。「日経平均はもうかれこれ1万円上昇しているのに、自分の投資額は全く増えていない、いやむしろ減っている」話をよく聞く。
投資家としてのレベルを上げたいなら有料セミナーに参加しよう
私は2009年に独立してから個人投資家向けのセミナーはほとんど引き受けなくなった。結局、参加費が無料のセミナーで話をしても意識の低い投資家が多く、講師の立場で得るものが何もないからである。引き受けるのは有料セミナーのみだ。私としてはどちらのセミナーにでても講師料をいただくことに変わりはないが、有料セミナーだと投資家のレベルが上がる。そういうセミナーでは個別銘柄の話そのものより、投資スキルの話を皆さんが真剣に聞いてくれるからだ。顧客開拓のための無料セミナーは不要。投資家教育のためにも日本ではもっと有料セミナーを増やすべきだと私は考えている。
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行っている「勝者のポートフォリオ」。このところ連日で過去最高値を更新しており快進撃を続けているが、毎週のメルマガ配信による運用の指南に加えて、2大特典として毎月のWebセミナー開催と動画によるスペシャル講義を提供している。
次回のWebセミナーは7月9日に開催。スペシャル講義も62本が閲覧可能!
次回のWebセミナーは7月9日水曜20時より開催する。テーマは未定だが、決まり次第お知らせしたい。投資戦略や個別銘柄の話、そして皆さまからのすべての質問にお答えする。投資のヒントが満載である。10日間の無料お試し期間でも参加可能。毎回300名を超える参加者で盛り上がるセミナーだ。ぜひ奮って、お申し込み&ご参加願いたい。
スペシャル講義は株式投資のスキルを磨く内容になっており、すでに62本もの講義を行っている。有料会員はアーカイブでいつでも視聴が可能だ。「勝者のポートフォリオ」の会員においては「銘柄だけ教えて」という姿勢はほとんど見られない。もちろん、モデルポートフォリオで採用されている銘柄は各自で投資を行って大きな成果を出しているが、「投資家としてレベルアップしたい」「自分で個別銘柄を発掘したい」という意欲に満ちた方々ばかりである。私の目指す方向と同じだからこそ、仕事として最大限に注力している。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」メルマガ配信などで活躍。
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