PBR 0.2倍台の日産自動車はお買い得!?/日経採用のイビデンが急伸/日経平均反落【今日の注目株＆日本株市場見通し】「デイリーZAi」10月28日号

◆今日の内容を10秒でチェック！
・日経平均は前日急伸の反動で反落も、5万円はキープ
・日経平均採用のイビデンが急伸、キヤノンは利益下方修正で下落
・PBRが0.2倍台の日産自動車はお買い得!?

【1】今日の株式相場＆話題株 早わかり！
前日急伸の反動で反落も、5万円はキープ

【今日の相場】

　日経平均株価は3日ぶり反落！ 24日の米国市場で主要株価指数は大きく上昇し、そろって連日で最高値を更新した。米中の貿易協議が合意に近づいているとの期待感や根強い利下げ期待を背景に、ハイテク株を中心に買われた。AI（人工知能）データセンター市場に参入すると伝わったクアルコムは急伸した。前日に1200円上昇した日経平均株価は、急伸の反動から下落スタート。一方、先高観は強く、上場来高値を更新したソフトバンクグループなどAI関連株の一角に買いが入ったことで、一時は30円安まで下げ幅を縮めた。ただ、為替市場での円高進行や、日米首脳会談の実現に伴い材料出尽くし感が強まった防衛株の下落などが重石となり、午後は弱含んだ。

　東証プライムの93％が値下がりとなった中、ソフトバンクGのほか、証券会社が目標株価を引き上げた東京エレクトロン、電線株の古河電気工業などが逆行高となった。米国では、今晩から連邦公開市場委員会（FOMC）が開催される。また、光ファイバーやディスプレイ用ガラス基板を手掛けるコーニングが決算を発表する。

【日経平均】50219.18円↓（-293.14円）
【グロース250】722.38↓↓（-12.56）
【NYダウ】47544.59ドル↑（+337.47ドル、27日）
【ナスダック】23637.456↑↑（+432.589、27日）

■日経平均株価チャート／日足・6カ月

 

【今日の話題株】

◆キヤノン（7751）
4398円（－254円）
　2025年12月期の第3四半期累計（1～9月）の営業利益は前年同期比1.9％増の3023億円と市場予想を下回った。通期計画は4600億円から4510億円（前期比61.2％増）へ減額した一方、売上高は小幅に増額。織り込みが不十分だった関税影響などが理由で、小幅ながらも利益の下方修正は今期3度目。一方、AI需要を受けて半導体露光装置が好調。プリンティングなどでは、景気の不透明感を理由とした投資の先送りが出ているようだ。

◆ディー・エヌ・エー（2432）
2768.5円（＋174.0円）
　「物言う株主（アクティビスト）」として知られる、旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンスによる大量保有が判明した。共同保有分を含む保有割合は5.12％。保有目的は「投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」としている。経営改革や株主還元への思惑が高まり、株価は大きく上昇した。

◆イビデン（4062）
1万2635円（＋1780円）
　ニデックが内部管理体制の改善を求める特別注意銘柄に指定されたことに伴い、日経平均株価の構成銘柄として同社がニデックの代わりに採用されることとなった。日経平均株価に連動するインデックス型投資信託による買い需要への期待が高まった。また、米エヌビディア製半導体向けFCパッケージで市場シェアトップを誇り、足元のAI関連の物色も追い風になっている。

【2】火曜コーナー「投資＆おかねのギモン」
PBRが0.2倍台の日産自動車はお買い得!?

（ご質問）
　日産自動車のPBRが0.2倍台というのは、さすがに割安過ぎると思うのですが、倒産する可能性などはあるのでしょうか？

（答え）
　倒産する可能性はかなり低いですが、投資判断としては「中立」に値し、現在のPBRは決して「すごい割安」とは言い切れません！

　2025年3月期の自動車事業の営業損失は2159億円でしたが、同事業のネットキャッシュ（手元資金から有利子負債を差し引いた金余りの度合い）は約1兆5000億円と潤沢です。また、すでに構造改革に手を付けており、これだけの巨額の営業損失がこの先も続くわけではありません。日本の自動車産業を支えてきた大手メーカーの1つとして歴史もあることから、銀行から融資を受けるだけの信用力もあり、倒産する可能性は極めて低いと考えられます。

　一方、同社の課題は、かつての販売台数至上主義に走った末の（1）過剰な生産拠点・人員、（2）販売奨励金（インセンティブ）に頼りすぎたために低下したブランド力、のほか、（3）市場動向を見誤った販売戦略、（4）遅い新車開発スピード、などが挙げられます。今年4月に社長に就任したイヴァン エスピノーサ氏は、5月に再建計画「Re:Nissan」を発表。人員2万人の削減や生産工場の削減を通じて、固定費と変動費を計5000億円削減（2024年度比）させるとしています。

　7月には、国内2工場などの生産終了を決め、第1四半期で300億円以上の固定費を削減させました。変動費についても、約4000件のコスト削減案が出され、うち約1600件は実行段階を迎えていること、今期に見込まれる効果は約300億円であることが発表されました。短期間で大胆な構造改革を発表し、早期に進捗を見せているあたり、新社長の手腕には期待が持てます。

　（4）「遅い開発スピード」についても、構造改革において、部品種類の70％削減やプラットフォームの統合・最適化を通じてスピードを向上させることを掲げています。10月には、国内メーカーに限らない中国製部品の採用拡大など早速動きを見せています。

　ただ、（3）「市場動向を見誤った販売戦略」に関しては、北米で人気のHV（ハイブリッド自動車）を充実させられなかった経緯があります。2026年には、独自のHV技術「e－POWER」の次世代版を搭載したモデルを投入予定ですが、同技術では高速領域でドライバーの満足感が得られず、高速走行帯が多い米国で成功するかは不透明との指摘があります。また、（2）「低下したブランド力」については、依然として他社に比べてインセンティブに多く頼っている傾向があり、早期の解消は難しそうです。

　一方、競争の激しい中国で新型EV（電気自動車）「N7」の受注が好調など、明るい兆しも見られます。また、上期計画は保守的で、目先は決算で上振れが期待できそうです。まとめると、短期では為替の円安進行も追い風に株価の上昇が期待できそうですが、来期以降を見据えた中長期の視座では、「中立」が妥当と考えます。

■日産自動車株価チャート／月足・10年

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