「勝者のゲーム」と資産運用入門

金と銀が大暴落、ビットコインも急落した理由とは?
2月は波乱の幕開け。投機色が一段と強まる金融市場太田忠の勝者のポートフォリオ 第227回

2026年2月10日公開
太田 忠
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直近まで急騰していた金と銀が1日で歴史的暴落、ビットコインも急落

 金は11%安、銀は31%安と歴史的暴落。ビットコインも7万4000ドル台まで急落 ―。

 1月30日の米国市場でただならぬ事態が起こった。NY商品取引所で金取引の中心である4月物が前日比609ドル安の1トロイオンス4745ドル、銀先物は2月物が35ドル安の78ドルで取引を終えた。金の1日の下落率11%は46年ぶりの大きさ、そして銀の31%安も20年ぶりの大きさで、まさに歴史的な暴落だった。代表的な仮想通貨であるビットコインも7万4000ドル台まで下落。1月中旬には9万7000ドル近い水準であったことからすれば見る影もない。

急騰した理由に中央銀行の発行通貨の信任低下による「通貨離れ」がある

 金や銀などの商品先物にはそもそもファンダメンタルズはない。商品そのものが直接収益を生み出したり、配当を出したりすることはないからだ。景気や企業業績などのファンダメンタルズに対して「相対的に」価値が高いかどうか、によって価格が決まる。特に金は「安全資産」と呼ばれるように、平時では価値が下がり、有事では価値が上がる性質を持っている。ところが、金も銀も2025年に入ってからまさに様変わりの価格形成がなされて価格はグングンと上昇。ビットコインも同様のトレンドとなった。単なる上昇ではなく、指数関数的な値上がりとなっていた。

 「今は果たして有事なのか?」

 当然そうした疑問が出てくる。だが、景気は底堅く、企業業績も堅調、特に大きな地政学リスクが起きたわけでもない。にもかかわらず指数関数的に上昇するほどのマネーの流れが起きた要因は別にある。「通貨離れ」の現象が顕著になってきたからだ。日本では円安が社会問題となり、円という通貨の信認が低下しているが、ドルも同様に通貨としての信認が低下している。中央銀行が発行するマネーではない新たなマネーへのシフト。それが金、銀、ビットコインというわけだ。

暴落のきっかけは次期FRB議長にタカ派のウォーシュ氏が任命されたこと

 中央銀行は経済状況や金融情勢に応じて自国通貨を発行できる。当然、発行量が増えれば通貨の価値は下がる。増えない場合でも常に「価値は下がるかも」という懸念に晒されることになる。一方、金や銀は埋蔵量が限られるため希薄化による価値低下は起こりづらい。ちなみに人類が採掘した金の量は2025年末時点でおよそ22万トンである。ビットコインも発行枚数は2100万枚と厳格に決められており(現在の発行枚数は1998万枚)、金と同じく希薄化しないデジタル・ゴールドとして認識されている。

 それがどうして暴落したのか?

 きっかけは、トランプ大統領が米連邦準備理事会(FRB)の次期議長にケビン・ウォーシュ氏を任命したことだ。元FRB理事であり、以前から金融政策に深く関わってきた。どちらかと言えば金融緩和に消極的な「タカ派」と思われていた人物である。米国債の大量購入で膨らんだFRBのバランスシートをもっと圧縮すべきだと主張し、FRBの資産肥大化がインフレ圧力につながっていると考えて金融市場における中央銀行の役割縮小を唱えてきた。かつ、FRBの独立性を重んじる。そうすると、金・銀・ビットコインなどの「相対的」価値は下がる。なぜなら、中央銀行のマネーの価値が上がる金融政策になるからだ。「強いドル」への回帰。すると、逆回転が発生し、金・銀・ビットコインから資金が逃げ出すことになる。

金銀の急騰は「強いドルの終焉」シナリオで投機的に買われた側面が強い

 1月30日の米株式市場はNYダウが一時600ドルを超える下げとなったが、その後は買いが入り179ドル安で引けた。次期FRB議長はマーケットが期待していた「ハト派」のケビン・ハセット氏ではなく、「タカ派」のケビン・ウォーシュ氏に決まったことで本来ならば「ケビン・ウォーシュ・ショック」的な急落があってもおかしくなかったが、そうならず商品先物と仮想通貨が暴落した。これが意味するところはなかなか深い。

 金や銀の指数関数的な上昇は「強いドルの時代は終わった」とのシナリオで投機的に買われていた面が強い。明確な理由がある。それは取引所による証拠金率が断続的に引き上げられたからだ。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)による貴金属先物の証拠金引き上げは2026年1月だけでも3回発表されている。1月30日の金市場はわずか1日で時価総額が4.3兆ドル(約670兆円)吹き飛んだ。凄まじい逆回転だ。日本でも大阪取引所の先物取引で売買を一時中断するサーキットブレーカーが連発している(先物価格の変動率が10%に達すると取引は中断)。「価格の乱高下は儲けるチャンス!」と考える投機家が群がってさらなる乱高下を生み出している。まさにお祭り騒ぎだ。

ファンダメンタルズの裏付けがない金融商品には手を出さない方が賢明

 ビットコインの場合はさらに深刻な問題を抱えている。それはビットコインの誕生以来、ずっと指摘されているセキュリティ問題である。私が本稿を書いているのは2月6日(金)の午前7時だが、ビットコインの価格は6万2000ドル台までにさらに下落。1月30日から15%の下落、1月中旬からは36%もの急落だ。この背景にはハッシュレートの低下問題が関係している。ハッシュレートはビットコインのネットワーク全体の計算処理能力を示す指標で、マイナー(採掘者)が1秒間に実行できるハッシュ計算の回数を表す。この数値が高いほどネットワークのセキュリティが強固であることを意味するが、それが急激に低下しているのだ。マイナーが少なくなるとネットワークは攻撃されやすくなり、ビットコインへのショート(空売り)が入り、スパイラル的な下落をもたらすことになる。

 私は投機的価格形成の金融商品には一切手を出さないし、現物ではない証拠金取引も行わない。ファンダメンタルズの裏付けがないものは、そもそも絵空事であり、単にマネーゲームだからである。マネーゲームは思わぬ僥倖を手にすることもあるが、逆に思わぬ失敗を伴う。しかも一度失敗すれば取り返しのつかないことが多いのだ。昨今のこうした現実を目の当たりにして、危険性を再認識させられる。

推奨ポートフォリオの年初来パフォーマンスは+12.6%と主要指標を圧倒

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行う「勝者のポートフォリオ」は年初からロケットスタートを切っている。2/4(水)時点の年初来パフォーマンスは+12.6%であり、TOPIX+7.2%、日経平均+7.9%、グロース+5.2%を大きくアウトパフォーム。累計パフォーマンスは+167.7%と最高値を更新して当面の目標だった+150%を大きく凌駕。一昨年来+109.4%、昨年来+58.6%といずれの期間でもマーケット指標に圧勝。我々は圧倒的な勝ち組投資家であり、今後もマーケットに勝ち続ける采配を行う。次のターゲットは+200%の早期達成である。

「勝者のポートフォリオ」の設定来パフォーマンスの推移と主要指数との比較

 私が運用する「勝者のポートフォリオ」連動型個人ファンドも6億5064万円(昨年来+3億41万円、+86%)となり、年初来でもすでに9900万円増(+18%)という凄まじさだ。目標の自由億(10億円)はすでに射程圏内に入ってきた。

 「勝者のポートフォリオ」は日本株を中心とした個人投資家向けの投資助言サービスであり、毎週のマーケット解説・投資戦略のメルマガ配信に加え、毎月恒例のWebセミナー開催とスキルアップを目的とするスペシャル講義を提供している。

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●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」メルマガ配信などで活躍。

 

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