国内長期金利は2.1%と27年ぶりの高水準も、財政拡大懸念で円安進行
国内長期金利は2.100%、27年ぶりの高水準に―。
週明け12月22日(月)の債券市場。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは2.100%に上昇して27年ぶりの高水準となった。外国為替市場で円安が進行し日銀への利上げ圧力になるとの思惑から、投資家が国債を売る動きが加速したことが背景にある。12月19日(金)に今年最後の金融政策決定会合が開かれ、日銀の植田和男総裁は0.25%の利上げを決定。政策金利は0.75%と1995年以来30年ぶりの高水準となった。本来、金利を上げた国の通貨は買われるが、為替市場では円売りの流れが続き、ドル円は157円台と1カ月ぶりの円安・ドル高水準となった。
一番大きな要因は財政拡大懸念だ。高市早苗政権が12月26日に閣議決定した2026年度予算案の総額が122兆円と過去最高の25年度を7兆円上回る。10年債を含む国債が増発されるとの警戒感が債券売りにつながっている。一方、円安によるインフレ圧力を抑えるため日銀が利上げペースを早めるとの観測も広がっている。金融決定会合後の記者会見の席で植田総裁は「実質金利はまだ低い」「中立金利の下限まで距離がある」「来年の春闘ではしっかりした賃上げが実施される可能性が高い」「トランプ関税の影響は低下している」とコメント。来年以降も利上げを継続する意欲満々の姿勢を見せた。「財政拡大懸念vs利上げ」の綱引きが金融マーケットに影響を及ぼし続けることが予想される。
進む仮想通貨の税制改革。株式と同様に一律20%の分離課税方式を検討
前回のコラムでは『家計の金融資産は現預金比率が低下、日銀利上げはリスク資産に恩恵をもたらす』と題してコメントした。本格的なインフレ時代に入り現預金の価値が低下。現在のインフレ率3%が続けば今の100万円は3年後には91万円、5年後には86万円、10年後には74万円の価値に目減りすること。現預金を株式や投資信託などのリスク資産に回して資産を増やす機運が高まっていること。新NISAの着実な普及と18歳未満にもサービスが拡充されること。さらに日銀の利上げが資産運用に追い風になることを解説した。
今回のテーマは仮想通貨であるが、それを取り巻く環境が大きく変化している。まずは税制改革。政府与党は仮想通貨の取引で得た所得について、金額に関係なく株式や投資信託と同様に一律で20%の税を課す分離課税方式にするとの議論を始めた。現在は給与所得や事業所得と合算して合計金額に応じて税率が段階的に上がる総合課税方式を適用。最高税率は55%。税負担が重いため利益が出ても売却を見送る投資家が多いのが現状だ。これをシンプルに所得税15%、住民税5%の合計20%の分離課税にする。仮想通貨が投資対象として定着しつつあり、国内の稼働口座数は800万口座、9月の現物取引高は約1.5兆円にも上っている。その一方で、金融庁は仮想通貨に厳格な規制を課すため金融商品取引法の改正案を2026年の通常国会に提出する方針だ。未公開情報をもとに売買するインサイダー取引の禁止、仮想通貨発行者の情報開示義務などを盛り込む。
値動きが激しく投機色が強い仮想通貨に個人投資家は手を出すべきか?
とは言え、値動きが激しく投機色の非常に強い仮想通貨。あなたは投資しているだろうか? 私? 私ですか? 私は仮想通貨には一切手を出していない。私は投資家だが、投機家ではないからである。
ビットコインは10月6日の最高値12万6199ドルから11月21日には8万632ドルと36%下落し、12月25日現在8万8127ドル。「仮想通貨」という名前の通り、ネット上で流通する電子的資産のことであり、元々はSNSやオンラインゲームで使用されるオンライン通貨を指す言葉として用いられていた。デジタル社会の進化とともに様々な分野で使用されるようになり「通貨」としての市民権を得るに至った。ビットコインはその代表だが、様々な種類のコインが発行されている。配当を生むわけでなく、ファンダメンタルズに裏打ちされているわけでもない。日々取引される価格はまさに雰囲気的「投機」で動いている。仮想通貨という表記は、2020年の改正資金決済法により「暗号資産」と変更されたが、さほど定着しているとは言えないため、このコラムでも仮想通貨という言葉を使う。
仮想通貨は発行者により発行量の上限が決められる。無節操な通貨乱造は行われず、数量増による希薄化現象も起こらない。投資家にとっては唯一の拠り所となる投資根拠だろう。株、債券、法定通貨は常に経済や政治情勢、ファンダメンタルズなどの影響を受けるが仮想通貨にはそれがない。避難的な意味合いで資金が流れ込んでくる現象を度々目にする。
仮想通貨に投資する企業の株価上昇が目立ったが、そのブームも終焉か
「ビットコインを保有していればどんどん価値が上がる」との思惑で、米国においては200社以上の企業が仮想通貨に投資した。実際、関連企業の株価はグングン上昇。先駆者とも言えるソフト開発のストラテジーは2020年からビットコインを購入。当時20~30ドル台だった同社の株価は今年7月のピークには457ドルまで上昇した。ビットコインを遥かに上回る株価上昇だ。総資産の9割強をビットコインなどデジタル資産が占めるが、これに続けとばかりに自社株や社債を発行してまで仮想通貨に投資する企業が相次いだ。
だが、ブームは終焉を迎えつつある。株価指数算出大手の米国のMSCIが「デジタル資産企業は単なる投資ファンドである」として、総資産に占めるデジタル資産の割合が50%超の企業を指数から除外する方針を発表した。株価が下落するケースが続出しており、仮想通貨の売却を迫られる企業も出てきている。日本でもメタプラネット(3350)が今年の6月19日の高値1930円から11月18日に336円まで下落する急落劇を演じ、多数の個人投資家が阿鼻叫喚の世界に包まれている。
私から言わせれば、バカの2乗だ。要するに仮想通貨保有で企業価値が上がるという経営者のバカ、そして仮想通貨企業に投資していれば儲かるという投資家のバカである。バカとバカを掛け合わせるとバカの2乗が出来上がる。それがバカげた上昇とバカげた下落を生み出す。
あなたは投資家? それとも投機家? どちらなのだろうか。
勝者のポートフォリオは設定来140%、年初来42.2%と主要指標を圧倒
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行う「勝者のポートフォリオ」。おかげさまで快進撃が続いており、連日で最高値を更新している。2021年10月のサービス開始以来5年目に突入し、12月15日時点での累計パフォーマンスは+140.0%と最高値を更新。昨年来+87.8%、年初来+42.2%といずれの期間でもマーケット指標を圧倒している。マーケット分析力と個別銘柄選択力で「市場に打ち克つ」を実践している成果が大きく出ているものと自負している。2025年の目標+100%を7月に突破。次の目標として+150%を掲げているが、早々に達成しそうな勢いだ。
「勝者のポートフォリオ」の設定来パフォーマンスの推移と主要指数との比較
「勝者のポートフォリオ」は日本株を中心とした個人投資家向けの投資助言サービスであり、毎週のマーケット解説・投資戦略のメルマガ配信に加え、毎月恒例のWebセミナーの開催とスキルアップを目的とするスペシャル講義を提供している。Webセミナーでは米連邦準備理事会(FRB)や日銀の金融政策、日米の景気動向、トランプ関税政策などのホットな話題を取り上げながら、現状の投資戦略や株価上昇が期待できる個別銘柄の話、さらには参加者のすべての質問に答えるQ&Aコーナーを設けて毎回2時間ものロングランとなっている。毎回300名を超える参加者で盛り上がり、投資のヒントが満載だ。
次回セミナーは1月14日開催。2026年のマーケット展望と投資戦略を解説
12月17日(水)20時より開催したWebセミナーのテーマは『米国利下げ vs 日本利上げはベストシナリオ、遠のいた台湾有事』。株式市場は上昇しているのに資産運用がうまくいっていない個人投資家が多いとの印象を受ける。「どうすれば資産運用がうまくいくのか」を知りたい方々に数多くご参加いただいた。すでにセミナー動画は会員ページのアーカイブに公開済みである。
次回のWebセミナー開催は1月14日(水)20時から行う。テーマは『2026年のマーケット展望と投資戦略 ~日経平均7万円を目指して』である。会員限定だが10日間の無料お試期間を使えば誰でも参加が可能だ。奮ってご参加願いたい。
また、スペシャル講義は投資スキルを身につける場として62本もの講義動画をリリースしている。個人投資家に必須のリスク管理、運用力を上げるためのマーケットサイクル投資法、恐怖指数の活用、システマティックリスクの対処法、ヘッジファンドの実態などを詳しく解説。ぜひとも参考にしていただきたい。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」メルマガ配信などで活躍。
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