1月23日の日銀金融政策決定会合で金利据え置きも、一気に円高が進行
日銀の植田和男総裁会見後にドル円は157円台、NY市場で155円台、そして152円台へ―。
為替市場が大きく動いた。1月23日(金)の日銀金融政策決定会合。政策金利は12月に引き上げられた0.75%を据え置く結果となった。その後に開かれた記者会見で植田総裁は追加利上げに積極的な姿勢を示さなかったことから、日米金利差がマーケットの想定より縮小しないとの思惑が働き円売りが拡大。会見終了後の午後4時半過ぎには159円台前半と会見開始時の158円60銭から下落していた。だが、午後4時40分過ぎに空気は一変。157円台前半まで上昇し、たった10分間で上げ幅は2円に達した。この流れは夜間取引に引き継がれてNY市場において155円台まで上昇した。
「これは何かおかしい」。ザワザワした空気が流れた。高市トレードが活発化したがゆえの株高円安。160円の水準に近づけば「政府・日銀による為替介入があるのではないか?」との疑問が当然出てくる。とは言うものの、いきなり為替介入をすることはない。金融当局とマーケットの間には一種の儀式のようなやり取りがあるからだ。
米財務省の指示でFRBがレートチェックをしたことが急激な円高の理由
最も軽度なのが「為替相場についてはコメントしない」という言葉だ。ほとんどヤル気がないと思ってよい。「相場は安定的に推移するのが望ましい」「急激な変動は望ましくない」というのも単なる感想的な表現である。「必要であれば適切な措置を講じる」になるとやや真剣味を伴ったニュアンスとなり、「断固たる措置」で強い警告に変わる。とは言え、実際にアクションを起こす意思はないことから「口先介入」と呼ばれる。そして「レートチェック」の実施や「スタンバイ」という言葉が出てくれば為替介入の準備に入ったことを示し、すぐさま実際の介入に踏み切る形となるのがパターンである。
1月23日に東京市場で瞬間的に2円もの円高が進んだことについて、片山さつき財務相は「常に緊張感を持って見守っている」と答えたのみで真相は謎だった。ところが夜間取引に入りNY市場でさらに2円もの円高が進んだことから一層ザワザワした。「政府・日銀による断続的な為替介入か?」との憶測も束の間、ロンドンの金融仲介業者が「米財務省の指示で米連邦準備理事会(FRB)がレートチェックをしている」と明かしたことが判明。これで合点がいった。過度な円安を防ぐために日米当局が連携し、為替介入の前段階となる「レートチェック」を行っていたのだ。「口先介入なしのレートチェック、しかも日米当局が連携」というのは異例であり、市場関係者に驚きが走った。
レートチェックだけで7円もの円高が進行。実際の為替介入は不要か
日本では衆議院が1月23日の本会議で解散され、2月8日(日)投開票の衆院選に向けた選挙戦が始まった。今回の選挙においては与野党ともに消費税減税を掲げる政党が多く、財政悪化リスク懸念から円安・ドル高圧力がかかりやすい。それを事前に封じ込めるために為替介入の前段階となるレートチェックが実施されたというわけだ。
レートチェックは為替介入の実務を担う中央銀行の担当者が民間銀行などの市場参加者に取引水準に関して問い合わせることを指す。介入準備として実施することが多いが、実際は介入一歩手前の段階であり極めて緊張感が高い。「ドルを売りたいが、今の円でいくらか」などと聞き、提示されたレートと数量で「売る」と答えたら取引が成立する。
2022年以降の円安局面において米国当局によるレートチェックが明らかになったことはない。「日本の財務省とベッセント米財務長官との間で何らかの合意があった可能性がある」との見立てが浮上している。ベッセント氏は最近、円安や金利の急騰など日本の金融市場の動向を警戒していた。1月20日(火)には財政懸念から日本の40年物国債など超長期債の利回りが急上昇し、米国にも波及する形で国債利回りが上昇。ベッセント氏は「日本からの影響を分離して考えることは非常に難しい」と強調していた。為替介入への警戒感は継続、1月28日(水)にはドル円は152円台半ばまで上昇した。レートチェックだけで7円もの円高となったため、一定の効果は果たせたのではないかと思う。実弾を打ち込む必要がなくなっている。
急激な円高で市場は動揺。だが為替水準で株式市場を判断する時代は終焉
突然の円高進展によって1月26日(月)の株式市場では日経平均が961円安となった。自動車や機械など輸出関連中心に売られ、商社や銀行などの景気敏感株も下げが目立った。市場関係者の間では「選挙は買いのアノマリーに陰りが見えつつある」「今後の選挙情勢を見極める必要もあり、今回は投開票日にかけての株高シナリオには慎重にならざるを得ない」との声が聞かれたが、選挙と為替を一緒に考えてはいけない。
そもそも、為替水準で株式市場を判断する時代は終わっていると私は考えている。かつては「円安→企業業績向上→株高」「円高→企業業績悪化→株安」という単純なストーリーが機能していたが、もはや為替水準と株式市場の連動性は薄れている。短期売買の材料としてネタにされているが、それはあくまで「その日暮らし」の投資家のスタンス。単に「会計上のレートだけで業績は良かった、業績は悪かった」というのは滑稽である。例えば日本で最大の時価総額を持つトヨタ自動車は世界中でビジネスをしており、使っている通貨は円、ドル、ユーロ、それ以外あまたという状況だ。世界中の拠点で多様な通貨を保持している。それを決算基準で円転換するだけなので円安でかさ上げされてもあまり意味はない。意味があるのは単価や数量、コストなどのリアルな側面だ。トヨタの株価が為替水準と連動性をなくしている点を皆さまにもチェックしていただきたい。
したがって961円安の26日の株式市場は、あくまでレートチェックをきっかけに「刹那的な売りのお祭り」が起きただけである。このあたりをわきまえていないと、マーケットに振り回される投資家になってしまう。ご用心、ご用心。
円高でも勝者のポートフォリオの躍進は揺るがない。1月末も最高値更新
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行う「勝者のポートフォリオ」。年初からロケットスタートを切った。1月のパフォーマンスは+9.4%となり、TOPIX+4.6%、日経平均+5.9%、グロース+4.9%を圧倒。1/30(金)時点での累計パフォーマンスは+160.3%と最高値を更新して当面の目標であった+150%を大きく凌駕。一昨年来+103.6%、昨年来+54.2%と主要なマーケット指標に圧勝している。我々は圧倒的な勝ち組投資家であり、今後もマーケットに勝ち続ける采配をしていく。次のターゲットは+200%の早期達成である。
「勝者のポートフォリオ」の設定来パフォーマンスの推移と主要指数との比較
私が運用する「勝者のポートフォリオ」連動型個人ファンドも6億2620万円(昨年来+2億7597万円、+79%)となり、年初来でもすでに7456万円増(+14%)という凄まじさだ。目標の自由億(10億円)はすでに射程圏内に入ってきた。
次回のWebセミナーは2月18日開催。衆院選後の株高シナリオを徹底解説
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●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」メルマガ配信などで活躍。
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