最高値7万2366円をつけた日経平均は7月に入って様変わりの急落
日経平均株価は5547円安、最高値7万2366円から様変わり―。
どうやら風向きが変わってきた…。そうした空気が立ち込めた7月8日(水)の東京市場。日経平均は前日の1480円安に続いて1437円安と急落して6万6819円まで下落。6月25日(木)につけた最高値7万2366円からわずか9営業日で5547円も値下がりし下落率は7.7%に達した。上昇時はスピード違反だったが、下落時もスピード違反と言える展開だ。一方のTOPIX。同じ期間で比較すると4016から4006へと10ポイントの下落にとどまり下落率はわずか0.2%である。日本市場を代表する株価指数である日経平均とTOPIX。まるで違う国のパフォーマンスを比較しているようで違和感を覚える。
今の日本の株式市場は「日経平均=SOX指数=韓国KOSPI」であり、日々の値動きは「AI・半導体vsそれ以外」で成り立っていると私は考えている。現在のマーケットを的確に表す方程式だ。日本の株式市場を毎日詳しくウオッチしている投資家なら納得だろう。マーケット参加者の思惑は「できるだけ株式市場を単純化」して「短期の値幅取りを楽しむ」という点に集約されている。株式市場の動向を見ると、海外短期筋や短期トレーダーたちのお金で動いている割合がおそらく8割程度占めているのではないかと推測される。
日本を代表する株価指数、日経平均とTOPIXとの違いとは?
日経平均が上昇する過程において、本コラムではNT倍率に注目してきた。NT倍率は日経平均(N)をTOPIX(T)で割った値だが、そのデータの意味するところは「日経平均とTOPIXのどちらがパフォーマンスに優れているか?」である。6月25日に日経平均が7万2366円の最高値をつけた日がピークでNT倍率は18.01倍に達した。過去3年の推移を見ると、2024年は14倍から15倍の狭いレンジ、2025年は春に13倍前半、秋には16倍近くまで達し、年末は14倍後半に低下するダイナミックな動き。2026年は春の14倍半ばから一気に18倍まで上り詰めた。AI・半導体関連が急騰した結果である。
日経平均の組み入れトップ10銘柄はアドバンテスト(6857)の10.5%を筆頭に7銘柄がAI・半導体関連で構成比率は全体の36.6%も占めている。単純平均の側面が色濃く反映されているため株価の大きい値がさ株の影響を受ける。それに対してTOPIXは時価総額という実力ベースでの指数である。時価総額トップ銘柄としてよく知られているトヨタ自動車(7203)の構成比率は2.9%程度に過ぎず、トップ10の中のAI・半導体関連はわずか3銘柄で構成比率は6.3%。あまりにも違う景色だ。日経平均が5547円下落する過程でNT倍率は18.01倍から16.68倍まで急低下したのも頷ける。
信用取引で一番問題視しているのはボラティリティにめっぽう弱いこと
個人投資家による信用取引が極めて活発である。とりわけ値動きの大きい銘柄、すなわちAI・半導体関連、すなわちキオクシア(285A)が筆頭だ。キオクシアの株価は7月9日(木)終値ベースで7万7860円。1単元買うためには778万6千円が必要である。個人投資家にとってそう簡単に手が出せる銘柄ではない。だが、こういう銘柄こそ信用取引の格好の対象になる。信用取引であれば778万円の資金は必要ではなく、250万円もあれば買えるからだ。
信用取引というのは元手に対して3.3倍のレバレッジを掛けられる借金トレードと言える。100万円の手持ち資金で330万円の取引ができる。すなわち230万円が借金だ。もちろん金利を支払わなければならずコスト高なのが難点だ。だが、私が一番問題視しているのが、信用取引は「ボラティリティに滅法弱い」という点である。
ボラティリティの大きい銘柄は積み上げた利益を一瞬に吹き飛ばすことも
信用取引している銘柄が大きく下げてしまうと元手に対しての下落率は3.3倍になる。ポジション維持のために追加証拠金(追証)を入れることができなければ大きな損のまま証券会社に清算(ロスカット)されてしまう。そもそもボラティリティに弱い枠組みだ。にも関わらず、信用取引の利用者のほとんどがボラティリティの高い銘柄で勝負している。その代表格がキオクシアである。6月22日(月)の最高値11万2700円から7月3日(金)には6万7190円まで急落。下落率は実に40.3%安。「キオクシア命」だった信用取引の個人投資家たちは、かなり大きくやられた撤退組が相当いると思われる。
確かにボラティリティの大きさは上昇局面だけ取り出すと魅力的だが、実はデイトレードではリアルに値幅を取れる部分は少ないのが特徴だ。前日のSOX指数が上昇すれば東京市場では買い気配で始まり寄付きでいきなり10%高になってしまう。そこからエントリーしても利益は少ない。反対に、SOX指数が急落すれば売り気配で始まり寄付きでいきなり10%安だ。前日から持ち越していた投資家はたまったものではない。一度でもこういう状況に直面すると、一気に損失を被ってこれまで積み上げた利益を吹き飛ばすことになる。いわゆる「コツコツ、ドカン」だ。実にナンセンスである。今のマーケット環境では悪夢のような結果になりやすい。
最高値更新のポートフォリオ。バリュー銘柄のパフォーマンスが盛り返す
「勝者のポートフォリオ」はこのところ快進撃だ。連日でマーケットをアウトパフォームしており、7月6日(月)時点の累計パフォーマンスは+204.1%と最高値を更新した。我々は単に値動きを追いかける投資から最も遠いスタンスでマーケットと向き合っている。もちろん、「AI・半導体関連」の恩恵も大きく受けているが、安定的にパフォーマンスを稼ぐバリュー系がこのところ盛り返してきている。
「勝者のポートフォリオ」の設定来パフォーマンスの推移と主要指数との比較
「AI・半導体」vs「それ以外」。マーケットはくっきりと2極化しているが、あなたはどちらに賭けるだろうか? キオクシアに投資するか、しないか? いったん大きく下がったNT倍率であるが、7月9日(木)から巻き返しの兆候が出ている。どちらに賭けるか、は今後のNT倍率を予測することと深く関係してくる。ひいてはSOX指数や韓国KOSPIを予想することでもある。寄付きの日経平均はSOX指数に大きな影響を受けるが、日中はKOSPIに振り回されている。そうした点も考慮する必要がある。じっくり考えていただきたい。
Webセミナーを7月15日(水)開催。日経平均のバリュエーションを考察
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行う「勝者のポートフォリオ」。日本株を中心とした個人投資家向けの投資助言サービスであり、先ほど述べたように7月6日(月)時点の累計パフォーマンスは+204.1%と過去最高値を更新した。毎週のマーケット解説・投資戦略のメルマガ配信に加え、毎月恒例のWebセミナーの開催とスキルアップを目的とするスペシャル講義を提供している。
次回のWebセミナーは7月15日(水)20時より開催する。テーマは『日経平均7万円時代。適正PERとバブル発生PERの水準を考察する』を予定。大事なテーマだ。というのも「日経平均が6万円を超えたらバブル、7万円を超えたらバブル」てな感じで単に株価水準だけを見て「バブルだ、バブルだ」という人たちやメディアの論調が多いからだ。単に感覚的な判断は危険である。正しいアプローチで考えればどうなるか。それが今回のテーマだ。投資戦略だけでなく、個別銘柄の話やすべての質問にお答えするQ&Aコーナーもあり盛りだくさん。投資のヒントが満載である。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加が可能である。毎回300名近いビッグイベントとなっており、奮ってご参加願いたい。
資産運用を新たなステージに導く「投資プレミア講義&交流会」を開始
そして、新たなサービス「投資プレミア講義&交流会」を7月よりスタートした。「勝者のポートフォリオ」が具体的な投資アドバイスをおこなう投資助言であるのに対して、「投資プレミア講義&交流会」は非投資助言。「勝者のポートフォリオ」で提供している62本にも及ぶ基礎的内容のスペシャル講義を発展させたのがプレミア講義である。マーケットを実践的に読む力を養うのが目的である。そして、リアルでの交流会も活発におこなっていく。
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●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」新サービス「投資プレミア講義&交流会」メルマガ配信などで活躍。

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