iDeCo(個人型確定拠出年金)おすすめ比較&徹底解説[2024年]

iDeCoの節税メリットを得るための手続きを紹介!掛金拠出時、運用時、受け取り時の3つの場面で、損することなく確実に税制優遇を受ける方法とは?

2017年4月19日公開(2022年3月29日更新)
山崎 俊輔
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 これまでの記事でも説明してきたとおり、iDeCo(個人型確定拠出年金)には、絶大な節税メリットがあります。具体的には、

(1)掛金が全額所得控除の対象になり、所得税や住民税がお得に
(2)運用で儲けた利益は課税されない
(3)受け取り時は税制優遇がある

 という3つの節税メリットです。

【※関連記事はこちら!】
iDeCo(個人型確定拠出年金)は本当に得する制度!? 3つの節税メリットと魅力をFPが徹底解説!

 ですが、必要な手続きを行わなければ、これらの絶大な節税メリットを取り逃してしまいます。それは、非常にもったいないことです。

 そこで今回は、意外と知られていないiDeCoを使って節税メリットを得るための具体的な方法をまとめてご紹介したいと思います。

節税メリットには、
「勝手に得するもの」&「手続きで得するもの」があった!

 iDeCoで税金を得するには、何もしなくても「勝手に得する」ものと「手続きで得する」ものの2種類があります。つまり、自動的に税制面で得するように処理されている場合と、何か書類などを書いて提出しなければ節税メリットが得られない場合があるのです。

【1. 勝手に得するもの~運用益~】

 まず「勝手に得する」ことができるのは、「運用益」に関する課税です。

 通常の投資であれば、運用で得た利益には約20%の税金がかかります。ただし、税金の支払い方には2種類あり、「特定口座(源泉徴収あり)」であれば勝手に20%が源泉徴収された金額が口座に入金され、「一般口座」であれば一旦は利益が全額口座に入金され、あとで確定申告などをして税金を支払うことになります。銀行預金の利息は振り込み時点で源泉徴収されています。

 一方のiDeCoの場合、運用益あるいは収益分配金や利息は自動的に「非課税」の扱いとなり、利益は全額入金されてることになります。つまり、まったく手続きすることなく、節税メリットを得ることができます。

【2.手続きで得するもの~掛金拠出時&給付受け取り時~】

 「手続きで得する」ことができるのは、「掛金拠出時」と「給付受け取り時」です。

 掛金の拠出時に節税メリットを得るには、会社員であれば年末調整で軽減分を取り戻す手続きが必要です(掛金を給与から天引きにする場合は手続き不要)。または、自分で確定申告をして確定申告で取り戻すこともできます。自営業者等の場合は年末調整がないので、確定申告で取り戻します。

 では、給付受け取り時に節税メリットを得るにはどうすればよいでしょうか。一時金として受け取る場合は受け取り時に手続きを行い、年金給付で受け取る場合は毎年の確定申告で取り戻します。

 以下では、もっと少し詳しく「掛金拠出時」と「給付受け取り時」に節税メリットを得る方法を見てみましょう。

掛金拠出時に節税メリットを得るなら「年末」が重要!
「会社員or自営業」「給料天引きor口座引き落とし」で手続きは違う

 掛金拠出の際に節税メリットを得るための手続きで、ポイントとなるのは「年末」です。

 会社員の場合、年末調整の手続きにおいて会社が所得税の精算を代行してくれます。住民税については会社が所得額を申告したのち、翌年の住民税額に自動的に反映されます。このとき、iDeCoの掛金を「給与天引き」にしているか、自分の「銀行口座からの引き落とし」にしているかで手続きが少し異なります。

 掛金が給料から天引きの場合、基本的に手続きは不要で、自動的に還付金が反映されます(正確には毎月の掛金の段階で所得税の調整は終わっており、細かい精算のみが年末に行われる)。

 自分の銀行口座から掛金を引き落としている人は、「掛金の納付証明書」を会社に提出して年末調整で還付金をもらいます。証明書は国民年金基金連合会から10~11月ころに届きます。還付金は基本的には年内に振り込まれます。

 自営業者の場合は年末調整がないので、確定申告をすることで還付金を受け取ります。確定申告の際に、iDeCoの掛金について「小規模企業共済等掛金控除」として申告することで、掛金の全額を課税所得から外すことができ、税軽減された分が還付金として戻ってきます。書類提出の時期にもよりますが、早ければ3月、遅くとも4月には振り込まれます。

 会社員でも年末調整の手続き漏れがあった場合、確定申告を行えば還付金をもらうことができます。

「一時金」と「年金」、どちらで受け取る?
「受け取り時の手続き」か「確定申告」で節税メリットを得よう!

 受け取り時に節税メリットを得るには、「一時金」としてまとめて現金受取をするのか、「年金」払いとして定期的に受け取るのかで手続きが変わってきます。

 まず、「一時金」として受け取る場合、退職所得控除の適用になって税制優遇を受けることになります。受け取り回数は1回ですから、その給付手続きの際に、退職所得控除の申請をあわせて行い、必要であれば課税額を引いた残りの額が手取りとなります。計算は各金融機関が行ってくれます。

 退職所得控除はiDeCoや企業型の確定拠出年金に加入していた期間に応じて得られるものです。しかし、同じ期間、会社員として働いていた場合に、会社から別途もらう退職一時金がある場合、iDeCoの退職所得控除と会社の退職金の退職所得控除を二重でもらうことはできません。

 仮に会社員として38年働き、同時にiDeCoに38年加入していた場合、2060万円の退職所得控除を得られます。そしてiDeCoで1200万円、会社の退職金が1000万円であったとしたら、合計の2200万円に対し、2060万円の非課税枠を使うことになります。この場合は、2種類もらう給付のうち、後にもらう給付を受け取る際に「すでに○万円もらっている」と申請をし、2060万円からオーバーした分に課税されることになります。

 一方、「年金」として受け取る場合は、毎年の確定申告で調整を行います。公的年金収入とiDeCoからの受取額はそれぞれ一定の割合で源泉徴収されることで、あらかじめ税金が引かれています。合計所得と各種控除について確定申告で届け出ることにより、払いすぎであることが明らかになれば、その分を還付金として受け取れることになります。

「企業型の確定拠出年金」の場合は、どう節税メリットを得る?

 ところで、会社が退職金制度の一部ないし全部として採用している企業型の確定拠出年金の場合、節税メリットを得るためにはどのような手続きを取ればいいのでしょうか。

 まず、掛金についてですが、会社が負担する分は会社の経費扱いなので私たちの税金とは無関係です。マッチング拠出制度があって自分のお金を追加入金できる場合、毎月の掛金入金の段階で所得税の計算に反映され、手取りの給与に反映されます。また年末調整で精算されますので、手続きは何もいりません。住民税も会社が所得税の申告をすることで自動的に反映されます。

 運用益についても非課税で、iDeCoと同様に毎日の運用の中で自動的に反映されます。

 受け取り時点で節税メリットを得る方法についても、iDeCoと同様です。

【今回のまとめ】
iDeCoは20年以上の加入がおすすめ!
早く始めないと非課税枠が増えず、
残高も積み上がらずもったいない!

 今回、具体的に見てきたように、こうした節税メリットを得る手続きはそれほど難しいものではありません。医療費控除のように、領収証の束を100枚手入力してようやく数千円が還付される……といったこともありません。確定申告の場合であっても、数項目の記入で数万円の還付につながるシンプルさです。もちろん会社員ならほとんど手続きはいりません。

 iDeCoに関する税制優遇は、iDeCoの手続きをして積立を開始した人だけが得られるメリット。つまり、iDeCoは「使った人だけが得をする」仕組みなのです!

 仮に月2万3000円の積立チャンスを1年逃した場合、税率20%と仮定すれば年約5万5000円分の税金が戻ってくるチャンスが消えたことになり、これを取り戻すことはできません。iDeCoは後から「まとめて入金」ができません。仮に1年後に手続きを済ませたとして、「それじゃあ過去の1年分まとめて入金します」ということはできないのです。

 退職所得控除については、20年を超えると非課税枠の積み上がり額がアップします(20年までは年40万円、それ以降は年70万円)。この点でも、iDeCoでは20年以上の加入を目指したいところです。

 以上のことを踏まえても、iDeCoのメリットを最大限生かしたいと思うなら、早めの加入をおすすめします!

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山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)[ファイナンシャルプランナー]
1995年株式会社企業年金研究所入社後、FP総研を経て独立。ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士、AFP)、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、消費生活アドバイザー。若いうちから老後に備える重要性を訴え、投資教育、金銭教育、企業年金知識、公的年金知識の啓発について執筆・講演を中心に活動を行っている。
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どの金融機関でiDeCo口座を開設した場合でも、別途、国民年金基金連合会へ支払う加入時手数料2829円、国民年金基金連合会と信託銀行へ支払う手数料合計171円(毎月)かかる。受取時は給付手数料440円(1回毎)を信託銀行に支払う。還付時には、国民年金基金連合会と信託銀行への還付時手数料として合計1488円(1回毎)がかかる。運営機関変更時の手数料は「他の金融機関から」変更の場合で、「他の金融機関に」変更する場合は4400円の手数料が発生する場合がある。下記の金額は掛金を拠出する場合(すべて税込)。
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