毎月分配型投資信託の「本当の利回り」に要注意!
毎月、分配金が口座に振り込まれる楽しみがある毎月分配型の投資信託だが、その分配水準に惑わされてはいけない。なぜならば、月々受け取っている分配金が、利益ではなく元本から支払われている可能性があるからだ。
ダイヤモンド・ザイでは、人気の毎月分配型投資信託100本の分配金データを定点観測できる連載を毎月掲載している。今回はダイヤモンド・ザイから、人気の毎月分配型投資信託3本の「本当の利回り」を公開する!
分配金合計額より基準価額が下落していたら
元本を取り崩して分配金を支払っている!
証券会社などの販売会社でよく提示される毎月分配型投資信託の利回りは、過去1年間の分配金合計を単純に直近の基準価額で割って算出している。しかし、これでは本当の実力はわからない。高分配を出している裏で、基準価額が大幅に下落している可能性があるからだ。
実力を反映した「本当の利回り」を見るためには、基準価額が過去1年間で下落していた場合は、1年間の分配金合計額から下落分を差し引いて、それを1年前の基準価額で割って算出する。ただし、あくまでも「利回り」なので、上昇時は上昇分は加味せず、1年間の分配合計額を1年前の基準価額で割って算出する。
この「本当の利回り」がマイナスになれば、1年間の分配金合計額を上回って基準価額が下落したことになり、元本から分配金を出しているということになるので、そのような毎月分配型投資信託には注意が必要だ。
毎月分配型の投資信託で
純資産上位3本の「本当の利回り」は?
2017年5月末時点では、純資産トップの「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」の本当の利回りは1.9%だ。2016年10月に分配金を100円から70円に引き下げたことで、なんとか本当の利回りはプラスに回復してきている。
また、純資産2位の「ゼウス[新光US-REITオープン]」の本当の利回りは0.8%。1年の分配金合計775円に対し、基準価額が743円下落しており、ギリギリでプラスをキープしている状態だ。
純資産1位と2位は米国リート型で、市況の悪化とともに、基準価額が大きく下落したので、分配金を引き下げたものの、利回りは低下している。
一方で、純資産3位の「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」の本当の利回りは10.9%。1年の分配金合計700円に対し、基準価額は251円の小幅な下落にとどまり、高利回りをキープしている。ただし、基準価額がこのまま下落し続けると注意が必要となる。
ただ、この「本当の利回り」は、短期の判断材料ではなく、マイナスになったからといってすぐに売るべきというわけではない。基準価額が回復すればすぐにプラスに転じる可能性もあるからだ。しかし、基準価額がずっと下落しつづけ、本当の利回りがマイナスのままの場合は、実力以上に分配金を出しすぎているということ。他の同じタイプの毎月分配型投資信託で、本当の利回りがプラスで実力の範囲内で分配金を出している投信を乗り換えるべきだ。
月々の分配金で満足せず、本当の利回りを定期的にチェックして、元本取り崩しが続いていないか確認することが大事なのだ。
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