世界の株式市場の動きが昨年までとは明らかに違ってきました。少々の悪材料が出ても間もなく回復してきた右肩上がりは崩れ、急落・急反発の日が増えています。こうなった直接的な原因は「トランプ大統領の経済音痴」にあると、刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が痛烈に解説しています。世界の経済はこれからどうなってしまうのでしょうか!?
米国の保護貿易政策はドル安とセット
悪材料に鈍感だった相場は終わった
トランプ大統領は3月1日、鉄鋼とアルミニウムに高額の関税をかけ、米国企業を保護すると発表しました。対米黒字が膨大する中国だけでなく、全世界・全品目が対象であるとしています。
関税をかけられた国々は当然、報復関税をかけるはずです。そうなれば世界の貿易量は減少し、経済成長を大きく阻害することは必至です。これを受けて世界主要25市場のうち23市場が急落に見舞われました(例外はベトナムとブラジルのみ)。
2月1日から3日2日まで、最大の下落幅に見舞われたのは日本でした。次いでドイツ、米国(NYダウ)、英国、中国(上海総合)、インドと続きます。先進国ほど下落幅が大きく、資源国や新興国はそれほどでもないのは、一般的な株価急落のパターンとは違っています。
1990年代初め、クリントン政権が日本を通商面で攻撃対象にしたことがありました。この時、ドル円は1ドル=79.75円の史上最高値(1995年4月19日)を記録しています。米国の保護貿易政策は、ほぼ必ずドル安政策がセットになっていることを忘れてはなりません。
現在、市場(株式市場のみならず債券や不動産などにも)には世界各国が金融緩和・量的緩和で注ぎ込んできた「緩和マネー」が、史上類を見ないまでに溢れています。
そのため昨年までは何か悪材料が出て株価が下がると、緩和マネーがわさわさとわいてきて下落を食い止め、短期間で再び上昇トレンドに戻りました。幾度急落してもすぐに回復するので、株式市場はだんだんと悪材料に反応しなくなっていったのです。
ところが2月2日以降の株式市場は、さして重要でない懸念材料にも過剰に反応するようになっています。これは株式市場が大きく変化したことを物語ります。
トランプの目的は選挙に勝つことだけ
米国の財政赤字拡大と円高は当面続く
トランプ大統領が「外交オンチ」であることは政権発足直後からわかっていましたが、昨年末頃からは「経済オンチ」が加わっています。基軸通貨の特権を維持するには間違っても「ドル安」を口にしてはならないはずですが、トランプ大統領もムニューシン財務長官もロス商務長官もまったく知恵が回らないようで、今後も「ドル安発言」は連発されることになりそうです。
政権内における勢力争いもいまだに続いており、最近はお気に入りだったイバンカ顧問とクシュナー特別顧問まで遠ざけられているようです。比較的立場が安定していたケリー首席補佐官やマクマスター国家安全保障担当補佐官にまで辞任の噂が出て、ペンス副大統領以外は誰がいついなくなってもおかしくない様相となっています。
ただし、トランプ大統領は「選挙」だけには長けています。政権内の主要ポストがガラ空きのままにされているのも、今回の鉄鋼やアルミに対する高関税率設定も、今秋の中間選挙や再選を目指す2020年大統領選挙に向けた「選挙対策」と考えておくべきです。
財政もドル安も通商も軍事もすべて自分のためですから、やりたいように進め、徹底的に継続するでしょう。方向修正は期待できません。
米国の財政赤字拡大とドル安が続くのは確実です。大型減税とドル安は大半の米国企業の業績にはプラス材料ですが、それで米国株式が上昇基調に戻るとも考えられません。
今後の世界の金融市場が「米国の財政赤字の拡大」と「ドル安」の直撃を受けることだけは間違いないでしょう。
財政赤字拡大とドル安で日本の株式市場、為替市場、国債市場などがどうなるかは、次週の『闇株新聞プレミアム』に掲載される予定です。昨年から闇株新聞が監視してきた市場に集まった「灰色のサイ」たちが、ついに暴れ出すのでしょうか? 株価だけを見ていては相場を見通すことはできません。あらゆるシナリオを俎上に上げ、世界の金融市場や政治経済のパワーバランスに注意を配り、どう動くべきかを検討する必要があります。刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』は、投資のセカンドオピニオンを提供すべく毎週濃密な情報を発信しています。
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