債務超過解消のため虎の子の半導体事業を売却した東芝(6502)が13日、日本の株式市場では史上3番目の大きさとなる7000億円の自社株買いを発表。立会時間中ということもあり株価は即座に反応、315円から351円(最高値)まで11%も急伸しました。東芝問題に関しては数々の記事を書いてきた刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が、東芝がいきなり大盤振る舞いに踏み切った背景をずばり解説しています。
史上3番目の大盤振る舞いで株価急騰
この先、何かと物入りなのに大丈夫?
東芝が「株主還元の方針に関するお知らせ」なるIRを発表しました。簡単に言うと「半導体事業会社の売却完了で9700億円もの利益と1兆4500億円のキャッシュができたので、さっそく7000億円程度の自社株買いで株主価値の向上に努める」というものです。
自社株買いの予算が総額7000億円程度になったのは、天然ガス液化の加工委託契約や証券訴訟等、今後顕在化しうるリスクを保守的に(多めにという意味だと思いますが)見積もり、構造転換等に必要とされるコストや今後の安定配当の実現などを勘案して妥当な額を決定したとの解説がなされています。
それにしても7000億円とは大盤振る舞いすぎではないでしょうか?
天然ガス液化事業は「総額1兆円規模の損失が出る」と囁かれているシロモノです。不正会計等による株価下落の弁済を求める損害賠償請求は、昨年末時点で1396億円にも上ります(現在はもっと増えているはず)。さらに構造転換や安定配当のためともなれば、手元資金をできるだけ厚くしておくべきなのは誰にでもわかるはずです。
そもそも2017年3月末時点における5529億円の債務超過を解消するために6000億円もの第三者割当増資を強行したり、営業利益の9割を稼いでいる半導体事業をたったの2兆円で売却する必要に迫られたのです。東芝経営陣はそのことを、すっかり忘れてしまったかのようです。
6000億円の第三者割当増資を引き受けた株主が
取締役選任反対を匂わし巨額の株主還元を要求
大盤振る舞いの理由は、第三者割当増資を引き受けた海外ヘッジファンドや「物言う株主」が揃って巨額の株主還元を求めており、また6月27日の定時株主総会で車谷会長兼CEOの取締役選任に反対するなどの観測があったからと考えられます。
自社株買いの恩恵は全株主に及びますが、東芝の株価は2015年の不正会計発覚前は500円をこえていたため、まだ多くの株主が損失を抱えたままであるはずです。ちなみに海外のヘッジファンドや「物言う株主」だけが応じた6000億円の第三者割当増資の払い込み価格は、262.8円です。
自社株買いを含む株主還元がいけないと言うわけではありません。しかし、今回の東芝に関しては現在に至る状況やまだ潜在的に残る数多くのリスクを考え合わせると、7000億円は手元資金として絶対に確保しておかなければならない資金であったと考えます。
2015年に「要領を得ないIR」から不適切会計をいち早く嗅ぎつけてから、東芝問題を追い続けてきた刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』ですが、これまた予想通り早くも海外ヘッジファンドと物言う株主たちに振り回され始めたようです。虎の子の半導体事業を手放してその売却益を大盤振る舞いしてしまうこの大企業は、この先いったいどうなってしまうのでしょうか!?
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