株の暴落が来ます、いつかは。
この「いつか」のために、準備をしておきましょう。
今回のテーマは「大暴落」です。
珍しいぐらいに1日で大きく下がることを大暴落とします。過去18000日ぐらいの日経平均を調べると、上位10の暴落は以下の通りです。
1. 1987/10/20 -14.90% ブラックマンデー
2. 2008/10/16 -11.41% リーマンショック
3. 2011/3/15 -10.55% 東日本大震災
4. 1953/3/5 -10.00% スターリン暴落
5. 2008/10/10 -9.62% リーマンショック
6. 2009/10/24 -9.60% リーマンショック
7. 2008/10/8 -9.38% リーマンショック
8. 1970/4/30 -8.69% スイスIOSショック
9. 1971/8/16 -7.68% ニクソン・ショック
10.2013/5/23 -7.32% アベノミクス反動安
一日だけの変動率ということに着目ください。日経平均の1日の変動率の標準偏差が1.5%であることを考えると、7%を超える暴落はまさに10/18000程度の確率でしか起こらないことです。およそ0.05%程度の確率で生じるという意味です。
暴落を恐れるか、恐れないかではなく、1000日とか2000日に一回来る7%を超える事態が想定されます。事前にどう動くかを決めておくことは重要です。
一般的に、暴落時の株価は変動率が一時的に高まります。どうしてでしょうか。それは元に戻る復元力として変動率を高めなければならないからです。株が非常に不人気で低迷しているときは、ボラティリティも高いのです。その高いボラティリティは市場がよい状態へ映るためのエネルギーとして活用されているのです。
例えば、リーマンショックの時に、株を購入していれば、今頃、ウハウハです。米株でも大恐慌のときは株の配当利回りは20%にも達しました。その後3%程度に戻りましたので、暴落の時にポジションを作るというのは長期投資の必勝パターンです。
必勝法は、「長期で投資をデザインする」です。
年に1-2回ぐらい5%を超える暴落はある
正規分布と違って株価の変動率の分布には概ね以下の特徴があります。
【特徴その1】
1標準偏差以内に収まる確率が正規分布より高くて70%強程度あります。通常の市場は上下1.5%の変動率で収まるということです。現状2万1000円の日経平均であれば、上下300円幅という感じです。
【特徴その2】
2標準偏差以内に収まる確率が概ね正規分布と同じです。
95%程度です。
日経平均ならば上下600円程度。
変動率が3%を超える事象は全体の5%しかないと考えてもらってもよいのです。
【特徴その3】
3標準偏差以内に収まる確率が正規分布よりかなり狭く
99%程度です。
つまり3標準偏差4.5%を超える変動率も1%程度ある、ということです。
100日に1日は5%程度の下げとなる、ということであれば、年に1-2回ぐらいの5%を超える暴落はある、ということです。
過去70年で70回程度、5%を超える暴落はあったと推定されます。
過去5年で見ると5%を超える
下落は
2016/11/9 -5.6%
2016/2/9 -5.6%
2016/6/24 -8.3%
の3日だけです。
それではこれらの暴落が起こった時にはどうしたらよいでしょうか。
「長期で投資をデザインする」としたらこれをどう「利用」するのでしょうか。
暴落時の具体的に投資法とは?
年に1度の出来事に対応するためには、準備が必要です。そこで、100日から300日に1回ほど「襲ってくる」暴落日に備えておきましょう。その時の日経平均で4.5%を計算してみます。例としては、現状21000円であれば、945円となります。
そういう暴落が起きたとしましょう。その後、どうしたらよいでしょうか。具体的な例を挙げます。こういう例をご自身でいくつも考えてほしいものです。
【手順】
1. 日経平均が1000円超安を確認
2. 次の日に下落率の分(あるいはより積極的に下落率の2倍)だけ買う
3. 相場が下落率の半分上がった時点で下落時の購入分は売却する
このサイクルが暴落を利用しているアプローチです。暴落とは、何らかの理由で投げる必要のある人が投げている状況です。長期で投資をデザインすればわざわざ暴落の中を売る必要はありません。
さて、余裕資金を保有しておかなければなりませんが、どの程度保有しておくべきでしょうか。4.5%の暴落に大して、4.5%は購入しておきたいものです。よって余裕資金は4%程度はあった方がよいですね。もう少しあってもよいかもしれません。10-20%はあった方がよいです。50%あれば暴落しても10-20%程度はつぎ込めます。
このように考えると、投資家側の準備として以下の手順が必要となるでしょう。
【長期のデザインの手順】
1) 出動態勢、出動の条件を決める
今回のケースでは100日-300日に一回の1000円程度の日経平均が暴落した時に出動するならば、そう決めておくこと
2) 暴落後の買い出動に当たってその出動金額を決めておくこと。
5%の暴落なら5%買う、という具合です。
私は暴落率と出動すべき金額を合わせています。
あまり極端な買い向かいはしません。
3) 平時に戻った時に、再度、余裕資金に戻します。条件を決めておきます。1標準偏差の300円以上上がった場合などと決めておきます。
そう決めるとことで、ビジネスサイクルが完成します。ビジネスサイクルとは、1)から3)まで行ってまた1)に戻るサイクルです。
私は投資戦略はサイクルにする方がよいと考えています。これらのサイクルと戦略として決めておくということが重要ではないかと思っています。
日次のデータで今回は示しましたが、私の場合は、日次でサイクルを組んでおりません。月次で組んでおります。私の場合は、6%という月間変動率をサイクルに組み込んでいます。6%下がった月に6%程度のポートフォリオの改質を行います。そして3-4%戻った時に逆に改質して元に戻します。これでワンサイクルです。あまり極端ではないことに注意してください。
失敗する人は相場に過剰に反応する
相場で失敗する方々の多くは、相場に過剰反応してしまうことです。例えば、上記のサイクルで、6%やられた、くそー!倍返しだ!と熱くなってしまうことです。例えば、思い切り買ってしまうとか。いきなりポジションが倍ぐらい買ってしまうのはいけないことです。これはとても乱暴です。
人それぞれなのでなんとも言えませんが、極端な反応は精神的には相場に支配されている状況です。「相場に飲み込まれている」と言ってもよいのです。相場は動きますので、相場に支配されること、頭の中がリバウンドへの期待でいっぱいになるようなことはやめた方がよいと私は思っております。
投資を長期でデザインするという姿勢で相場に臨むと大きなチャンスを得ることができます。ピンチこそがチャンスであることがわかると思います。
実際、過去の大暴落の時こそが、投資の大チャンスであったわけです。前述の通り、米国では大恐慌の時に、配当利回りは20%程度に高まりましたが、数年で3%まで低下。恐慌で購入するのは正しい選択なのです。
急落時には、怖くなって売ってしまう人が多いので、そこは逆なんです。なんとか踏ん張って欲しいところなのです。
(DFR投資助言者 山本潤)
この連載は、10年で10倍を目指す個人のための資産運用メルマガ『山本潤の超成長株投資の真髄』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、週2回のメルマガの他、無料期間終了後には会員専用ページでさらに詳しい銘柄分析や、資産10倍を目指すポートフォリオの提案と売買アドバイスもご覧いただけます。