超成長株投資で資産10倍計画!

オンキヨー(6628) の株価は急騰後、乱高下へ。長期投資で儲かる株はいっぱいある中で、短期の「お祭り」で資産を失う投資はもうやめよう!山本潤の超成長株投資の真髄 第25回

2019年7月3日公開(2022年3月29日更新)
山本 潤
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長期投資には適さないオンキヨー株

☆☆☆☆ (5段階中1  5が最高評価)

山本潤のメールマガジン&オンラインサロン。10年で10倍を目指す超成長株投資の真髄

 オンキヨー株が人気化しています。5月20日は株価は30円でした。その後、大きく上昇し、執筆時(2019年6月24日の週)は一時80円台に到達しました。短期で3倍近くに株価が上昇したのです。

 5月14日のホームAV事業の事業譲渡のニュースがきっかけとなりました。今期の黒字転換が濃厚になったこと、そして、80億円相当(7500万米ドル)にも上る売却益への期待もあるでしょう。

 今回は、長期投資の視点で評価をしてみました。残念なことに投資判断は最低の1です。

 投資判断1の意味は、空売り推奨という意味ではありません。長期投資の対象としてはもっとも好ましくない株という意味です。つまり、株がとても割高なので売りという意味ではなく、長期で保有するのに全く適さないという意味での最低評価です。企業として低い評価を下しているのではありません。

 短期的には株価は乱高下するでしょう。株価がよく動くのでディーラーにはよいトレーティング機会を提供してくれるでしょう。

 私は長期投資の信奉者ですから、長期投資の考え方を少しでも広めたいと考えています。相場には、同社株を手がけて短期の激しいボラティリティで手っ取り早く儲けたいと考える人々が多数いることも知っています。そうです。相場は、いつだって、こうしたことの繰り返しです。しかし、将来、同社株の投資で、後から乗った人や高値掴みをして後悔する人がかなりの多数出てしまうでしょう。あまりの変動率の大きさに短期の間に資産を失ってしまう人もいるのです。こういった「犠牲者」が出ることを仕方のないことと割り切ってよいのでしょうか。相場で犠牲者が出るのは本当に当たり前のことなのでしょうか。

 ダーツ投げのようにして銘柄を決めて、個別株の集中投資でしかも超短期の回転売買だけが株式投資であると思ってしまう方がいるとしたら残念です。それでは継続的に儲けることはできません。

 投資はちゃんと正しく行えば結果が出せます。集中投資を避け、短期の回転売買を避けて、バランスよくポートフォリオ運用を行えば、投資で資産を失うような犠牲者は出ないのです。

 市場参加者の全員がうまくいく長期投資というやり方がせっかくあるのに、それが全くといって良いほど投資家の間に浸透していないのはなぜなのか。非常にもどかしい思いです。

 短期売買による犠牲者を出さないためには、どうしたらよいのでしょうか。投資の初心者は、このような短期筋の「お祭り」に参加することなく、ただ、傍観することを私は皆様に勧めたいと思っているのです。そして、今回、非常に厳しい評価をしました。個人投資家には、仕手株情報や高いボラティリティを上手に利用できると思わないで欲しいのです。いくらお金を積もうが有利な情報などありません。海千山千の玄人の悪い奴らに「カモられる」だけです。同社株に近づいて欲しくない。余計なお世話でしょうが、一言書かずにはいられなかったのです。

 

株価のブレが大きすぎる株のリスクとは?


 わたしはレポートを書くときに、10年後も20年後も内容が古くならないように注意を払っています。出来るだけ普遍的な事柄、ノウハウに関わることを書くようにしています。

 具体的なイメージが湧くように、あえて個別企業を取り上げてはいますが、今期の決算内容の説明とか短期的な業績の説明はこれまでもそれほどはしていないはずです。毎年大きく移り変わる業績について書けば、それは、ひとときの情報に過ぎません。そうではなく、普遍的な投資の考えをわかりやすく紹介することの方が重要だと考えています。私が書いたものであれば、何十年後に読んでも正しい内容であるはずと自負しています。そんな記事を書くことに注力しています。そのために日々勉強しているのですから。

 さて、同社株の最近のボラティリティは年率で100%を超えています。資本コストが株価の変動率の高さに比例する、ということは投資理論の基礎です。株価のブレが大きい。すなわち、市場参加者の業績動向に関するコンセンサスが大きくブレる。このブレが投資のリスクなんです。このブレを保証してくれないかなあと考えるのが投資家の偽るざる気持ちですが、この損失の保証料というべきものが資本コストという概念なのです。投資家は資本コストとリターンの対比で投資を決定します。概ね資本コストは株価のボラティリティ(変動率)の1/3程度です。これは過去100年以上にわたる株式市場の変動率の分布から損をする確率を勘案することで確率的に算出できるのです。

 同社の資本コストは株価のブレの1/3であるならばコストは30%を超える水準にあるわけです。このブレは状況とともに変化していきます。同社の場合、過去5年単位でもそれより長い期間でも、やはりかなり高いボラティリティとなります。

 

長期投資に向かない株価のボラティリティの高さと資本コスト


 収益率や利益率の水準が非常に低いことは何を示すでしょうか。もちろん、赤字となる確率が相応にあることを示しています。資本コストは株価からではなく事業のあり方や見通しからも弾くことができます。

 同社は財務内容が悪いのですが、財務レバレッジの高さも利益率の低さと同様に資本コストに跳ね返ってくるのです。財務レバレッジというと難しいですが、簡単に言えば自己資本比率であると思ってください。自己資本比率が低い企業の資本コストは高くなります。自己資本比率は事業内容によって定まる側面があります。儲からない商材を扱えば、費用が負債であり儲けが自己資本になるので自己資本比率は低くなります。費用と売上の比率がバランスシートに蓄積されるのですから、事業内容や製品の利益率がダイレクトにバランスシートに響くのです。

 バランスシートは損益計算書の積み上げです。バランスシートよりも損益計算書が投資においてはより重要です。最新の損益計算書は、企業の現状を最も正確に表すものですから、最も重要な財務資料になります。

 損益計算書を見れば事業構造が把握できます。事業構造を見れば事業リスクが高いか低いかの判断ができます。それは売上と費用との関係で、同社は費用の方が売上よりも大きいことが多々あります。
これは多くの他の上場会社ではありえないことです。

 しかし同社の場合は、赤字が定常的にありえるのです。つまり株主から資金を調達して企業活動をしても、調達した費用よりも小さな売上しか上げることができないのです。そのツケは、株主が払います。赤字となれば追加の資本が必要になります。資本が減る一方ですから投資家にとっては極めてリスクが高い投資案件なのです。

 さらにリスクは単年の損益計算書だけを見てもわからないのです。単年度の損益計算書から事業構造の断面は見えるのですが、その断面がどのように変化するのかがわからないので片手落ちなのです。財務の時系列データをしっかりと集め、少なくとも6-7年、望ましくは10年を超える売上と費用の推移を見る必要があります。(私は20-30年程度の時系列データを参考にしています)。新しいものと古いものを両方見る必要があります。時系列データを観察することにより売上の変動率の情報や費用の変動率の情報が得られます。

 もちろん、売上や費用の変動率が高い場合に資本コストが高くなります。

 まとめると、資本コストを決める要因として

1) 現在の利益構造(最新のバランスシートと損益計算書から計算する)
  利益率が低いと資本コストは高い
  財務内容が悪いと資本コストは高い
2) 過去の時系列で見た財務データから売上と費用の変動率のブレを計算
  売上や費用のブレが大きいと資本コストは高い

 儲からない事業を継続すると財務内容は悪くなり、財務レバレッジに頼ることになります。資本コストが高いのでPERなどは低くなりますが買いとは判断できません。財務レバレッジに頼ってブレの大きな業界、鉄鋼業や不動産業はPERが低いのは当然のことです。半導体についてはブレが大きいのですが、シェアが高い領域で極めて収益力が高い企業が存在するのでケースバイケースです。さて、ホームオーディオはどうなのでしょうか。

 資本コストは将来のキャッシュフロー(投資家にとっては配当のみ)を現在価値に割り引くために必要なツールです。理論で価格が算出できるものは、需給モデルでない限り、キャッシュフロー割引モデルとなります。キャッシュフローが期待できる投資物件は、株、債券、不動産などです。金や原油や先物は配当がないので理論株価は需給モデルだけになります。

 投資家にとってのフリーキャッシュフローは配当ですが、配当こそが、株式投資の特性を最もよく表すものです。そして同じキャッシュフローモデルでも不動産投資や債券投資とは株式投資が全く違う側面があります。株式投資では「配当が不確実性の元に成長していく」という独特の要素が加味されるのです。配当の成長とその見通しが外れるリスクとの見合いで投資判断はなされます。

 いくらPERが低くても買いにはならない例として、先日、東海カーボン(5301)のレポートを書きました。今回も趣旨は同様です。

[参考記事]
●東海カーボン(5301)の株価はPER4倍、配当利回り4%近いが、ボラティリティが高すぎて短期はよくても長期は業績の予想ができず弱気判断!

 

 なぜならば、同社の30%を超える高い資本コストで10年後のキャッシュフローを割り引くと現在価値がほぼゼロとなるからです。

 資本コストの威力を示します。資本コスト30%で10年の場合、0.3x10=3ですから、それを割り引くファクターは、関数電卓のEXPボタンで計算できます。EXP(-3)=0.05です。10年後のキャッシュは総額の5%しか参入されません。資本コストが1/10の3%であれば、75%が参入されます。10年など、あっという間の出来事です。75%で評価するか5%で評価するか雲泥の差です。

 この違いが、見かけ上のPERが低い企業が散見される理由の一つとなっています。PERだけで企業を評価しては投資を見誤るのです。

 企業価値の多くは10年後から先の将来配当の現在価値の累積でできています。この長期間のキャッシュフローの現在価値を全部集めてもいまの株価の数分の1にもならないのです(もっと低い資本コストで割り引けが結果は違ってきます)。

 長期投資に向かない理由はこの株価のボラティリティの高さです。株価のボラティリティが高くとも、それを補うだけの高い利益率や好財務内容を伴っていれば理論株価は高くなります。残念ながら、同社には、高い資本コストを補うだけの利益率の高さや収益力が伴っていないのです。

 なぜ同社株の株価はこんなに変動するのでしょうか。言い換えるならば、なぜ、同社株の資本コストはこれほど高いのでしょうか。財務以外の側面も交えながら少し考えていきましょう。

 

過去9年で自己資本比率は3分の1、営業利益はマイナスが定常


 2011年からの9年間の平均的な益利回りはマイナスの20%程度です。この9年の間に自己資本は3分の1になりました。自己資本比率は低く、営業利益率はマイナスが定常状態です。数年に一度の割合でたまに利益がでることがあります。

 売上の変化率の標準偏差が30%を超えます。同社の製品は売れたり売れなかったりが激しいのです。
純利益の変化率の標準偏差は何千パーセントという有様です。

 企業体としての組織が安定していません。社員数が大きく減少傾向にあり、2011年2300人を超えていた社員は前期末に1500人を割りました。組織体が縮小を続けるとその先には縮小均衡が待っています。企業としての規模が縮小し、規模が縮小すれば利益はどんなにコストを削って一時的な利益を出しても、長期の成長力は低下します。

 また、継続前提に疑義がありますね。監査法人も同社が存続が危ぶまれると判断しているのです。

 上記の数字や事実を並べるだけで、企業体としての崩壊過程にあると判断する人もいると思います。

 ならば、どうして同社の株は短期で上昇したのでしょうか。時価総額が5月20日時点では30-40億円しかなかった同社は、ホームAV事業を売却する方針で米ファンドと合意をしたことで、80億円を超える売却金額が入金されるかもしれないと投資家は考えたのです。

 合意したものであっても、入金が済むまでは白紙になったり延期される可能性もあります。ここは注意が必要なところです。

 どんな契約になるのかは今後の当事者間の話し合いで決まります。想像がつきません。80億円が入金されるタイミングがわかりませんが、私には100%自由使途のキャッシュとは思えません。追加のリストラコストなどの負担のための資金かもしれません。このように常識を総動員してリスク要因をあぶり出して考えるのが長期の投資家です。

 世の中には、赤字のホームAV事業を肩代わりしてくれて、しかも80億円ものキャッシュを一度にくれてやるような「お人好し」が本当に存在するでしょうか。

 そのような「例外的な良い人」を私たちは想定し信じることは適当でしょうか。果たしてファンドとの交渉やSOUND UNITED社との話し合いはスムーズに進むのでしょうか。わたしには、プライベートエクイティファンドは赤字の事業を80億円を超える値段で購入してファンドとしての採算が得られるとは思えないのです。パイオニアやONKYOといったブランドの価値は相応にあるにしても、この高値売却が実現すれば継続前提に疑義がある同社にとって渡りに船です。

 米国SOUND UNITED社がこの事業を購入することになっていますが、彼らは何者でしょうか。立ちいかなくなったホームAVのブランドをいくつも傘下に納めているようですが、実によくわからない会社です。売上規模も開示されているのかわかりません。

 HPを見てもどこにも企業規模に関する情報は書いていません。ブランドを寄せ集めるだけではビジネスになりません。ですから私には彼らが儲かっているとはどうしても思えないのです。SOUND UNITEDの財務諸表が開示されているならば、その信用リスク(支払い余力)を考慮すべきだと思います。そして信用リスクが低いと判断したとしても、入金の頻度、タイミングによって、評価は変わります。借り入れを返すだけならば将来のキャッシュフローに寄与しません。

 そして、事業譲渡の合意は本当に実行されるのでしょうか。事実、当初7月1日予定の事業譲渡は先日28日のリリースで7月中旬に延期されています。7月中旬になって、またも延期ということにはならないのでしょうか。

 不可解なのは、終わった2019年3月の決算発表がなぜか延期されたことです。延期の理由が解せません。5月24日の同社のリリースには、2020年の見通しのための延期とありますが、本当の理由でしょうか。2020年の見通しは多くの企業が出していません。見通しを白紙で出す企業も多数あります。終わった期の決算を出すのが決算です。次の期の不確定要因を理由に延期すべきではないと考えます。
一般論として、決算が遅い企業は信用なりません。何かしらの「工作」をする可能性が高いからです。決算が早い企業にはそういう懸念は小さいのです。

 また、なぜ監査法人が今回、急に変更になることになるのでしょうか。監査法人と対立があったのではないかと不安になります。

 

主力事業を売却した後の事業の展望は?

 かつて自宅に大きなリビングルームがあり、リビングには大型のスピーカーとアンプを置いたものです。これが過去の世界の平均的なリビングルーム像でした。

 しかし、携帯電話がスマートフォンに変わるにつれて、ホームオーディオという分野の市場が縮小しています。いまはスマホでヘッドフォンで音楽を聞く時代です。個々のタブレットやPCやスマホでそれぞれがヘッドフォンをつけて聞くという時代になりました。世界の人々のスタンダードな音楽の聞き方がまったく変わってしまったのです。趣味が多様になり、音楽ではなく、動画を手軽にみるようになりました。

 ホームオーディオはなくなりはしません。ですが、大きく縮小してしまった市場です。
今後も縮小していくでしょう。アマゾンやGoogleのAI搭載製品と置き換わっていく可能性があります。

 同社のオーディオ製品群は超高級というわけでもありません。だからといって、メイドインチャイナの中国メーカーのコストには敵いません。下からは力をつけてきたローカル中国に追い上げられて、上のカテゴリーは市場規模が小さいわけです。ある程度の売上規模を維持しつつ、利益を稼ぐことが厳しい状況です。そこで主力事業を売却の決断となりました。今後はOEMと部品製造を中心に新たな成長を目指す方針です。


 オンキヨーの今後の成長戦略にも疑問符がつきます。一般論として、コストの安い国インドで作ったものを輸入することで、ブランド価値が向上するのでしょうか。常識ではブランド価値は毀損するはずです。

 ONKYOやPioneerにブランド価値がもしあるならば、なぜ、両ブランド合わせて、オンキヨー株の時価総額がこれまで数十億円しかなかったのでしょうか。主力のホームAV事業を売り、事業規模が何分の1にもなってしまうのです。

 テレビに同社のスピーカーが入っていることがブランド価値の向上に繋がるのでしょうか。機器の部品の下請けで十分な利益が取れなくなります。

 冷静に今後を見極めると、売却によってオンキヨーの今期の売上は大きく減少し、来期も大きな減収となります。

 そして残るのはOEMとしての業務用や車載やマイクロスピーカーなどの部品製造部門です。同社はデジタルライフ事業(DL)とOEM事業を今後の中心に据えようとしていますが、同社の新規事業の売上は前期も減っているのです。新規事業に積極投資というのですが、OEMは下請けであり、そもそも付加価値が非常に低いのです。

 DLとOEMで100億円を超える程度の会社になってしまいます。この売上規模で、しかも縮小する市場の中で、どう戦っていくのでしょうか。今後、同社の事業構造は、買い手の交渉力が凄まじく強い構図に移り変わります。メーカーの下請けとしてどれだけの利益がとれるでしょうか。消費者向けホームオーディオだから高い値段をつけても買ってもらえたのです。低い値段でしか請け負うことができないOEMに活路を見出すことはできるのでしょうか。株価は期待先行で大きく上昇していますが、長期的な事業の見通しはこのように極めて不透明です。

 フォスター電機のようにマイクロスピーカーに活路を見出す方針かもしれません。

 しかし、すでに競合が居並ぶレッドオーション市場にこれから参入し勢力を伸ばしていくことは至難の技です。

 

下方修正の常連でIRが信用できない


 同社の過去のトラックレコードはいただけません。決算も同社は下方修正の常連です。2019/3も期初は黒字。最終赤字。2018/3もそうです。

 合意が破棄される可能性がないといえません。80億円を超える売却金は一括ですぐに入金となるのでしょうか。数年間かけて分割払いかもしれませんし、ファンドの出口の見合いかもしれません。ファンドへの手数料で多くをとられることはないのでしょうか。合意の裏には公表されていない数々の条件があるでしょう。それらを吟味することは開示資料がないためできません。残された事業は下請け色が強く、人員整理の常連で社員のモチベーションが低く、市場は縮小。それゆえ、株価のボラティリティが異常に高くなっているのです。

 その中でシェアを伸ばしているならば期待もできますが、今後注力する分野で売上を減らしているのですから。

 つまり、ほとんどすべての要素で実に不透明なわけです。長期の投資家はこのような高いリスクをわざわざ負わずともよいのです。着実な成長が見込まれるブルーオーシャン企業が他に沢山あるからです。

理論株価は現在の株価の半分以下、投資対象にならず


 人員整理やリストラ費用のため、売却益が特別利益となったとしても、同社の将来キャッシュフローにつながるとは思えません。配当が出せる状況ではなく、大きく縮小した売上から多少の黒字を想定することができます。この事業で二桁の利益率はなかなか厳しいはずです。すると10億円が利益。税引後で7億円の純益が期待できるとしても、ベストケースで配当総額は4億円が上限になるのではないでしょうか。株価のアップサイドは理論的にはほとんどありません。

 成長率は5%で資本コストが15%程度と想定します。かなり甘めの数字だと思います。その場合、理論時価総額は40億円程度と推定します。

 現状の時価総額の1/2程度です。資本コストをもう少し厳しく25%と見れば、みれば株価20円が理論株価となります。

 配当の上限を2億円程度と見て、資本コストを25%と見ると200/(25%-5%)=1000mil.が理論時価総額です。現状の時価総額の数分の1となってしまうのです。最終的に、投資判断は、こうした長期の割引モデルでは評価できないため、最低ランクの1としました。

山本潤のメールマガジン&オンラインサロン。10年で10倍を目指す超成長株投資の真髄

 しかし、何度も申しているように、株の売買は短期投資家が多数を占めます。短期で株価は割引モデルではなく需給モデルで決まります。需給の読みが当たれば買いでも結果は伴います。なるべく丁寧に説明をしたのですが、少し難しい内容になっているかもしれません。ご容赦ください。

DFR投資助言者 山本潤

この連載は、10年で10倍を目指す個人のための資産運用メルマガ『山本潤の超成長株投資の真髄』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、週2回のメルマガの他、無料期間終了後には会員専用ページでさらに詳しい銘柄分析や、資産10倍を目指すポートフォリオの提案と売買アドバイスもご覧いただけます。

オンキヨー(6628) /日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)

 


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