過去10年で株価下落の年が1年だけという優良企業
日本最強の企業の一つである株式会社オリエンタルランド(4661)を取り上げます。私の22年のファンドマネジャー人生の中で、大きくパフォーマンスに貢献してくれた思い入れのある企業の一つです。
どこが最強なのでしょうか。実績の株価を過去10年で見てみましょう。日足は単なる振動に過ぎず、私にとっては見る価値のないものです。長期の投資家にとって見る価値のあるものは、年足のチャートです。
年足の見方ですが、過去10年で陽線が8割あれば紛れもない成長株と言えるのです。多くは6つか7つの陽線と4つか3つの陰線となっているはずです。
オリエンタルランドは、過去10年の年足で9年が陽線です。陰線は一つだけ。それも短い陰線です。
これで成長株に分類ができますね。2011年の大震災の年も陽線です。浦安地区が液状化する中で、同社の敷地は液状化しませんでした。何十メートルもの杭を高密度で地中に打ってあったのです。羽田空港並みの液状化対策をしていたからです。
10年前1500円の株価が10倍以上となりました。現在の株価は1万6000円です。
PERは高ければ高いほど業績の見通しがよいと解釈すべし
見かけのPERは70倍と高いのですが、これを投資の判断に使ってはならないのが投資家としての鉄則です。PERの高さは業績の見通しのよさ(資本コストの低さ)と解釈するのが投資家です。PERは高ければ高いほど、業績の見通しがよいことになります。
来期以降、業績的には新アトラクションの導入効果が期待できます。さらなる大規模な拡張工事も予定されているため、今後数年間は増収増益が見込まれます。
その投資効果ですが、見方は単純でよいのです。現状、大まかに同社の有形固定資産は5000億円ですね。同社が売上5000億円を得ているのですから、1:1ですね。
今後は毎年1000億円以上を投資していきます。毎年1000億円の増収になります。同社の利益率は20%以上あります。1000億円の増収。営業益では200億円に相当します。毎年200億円程度の営業益を積み上げることができるということです。メインは拡張ですから。JR舞浜駅の輸送のキャパを心配しなければならないほどです。同社には今後5年で年率15%程度の成長率があります。
同社が実際に年間に必要な費用は4000億円以内です。長年のキャッシュの積み上げにより財務内容は非常に良好です。あと一つか二つか別の場所でテーマパークを営むことができる余裕資金を有しています。ここが後ほどポイントになります。
常に空売りが入っている株
それでも同社のPERは70倍を超えています。流石に割高であると考える多くのヘッジファンドが同社を空売りをしていす。
同社株はいつも空売りが多く、そのために、恒常的に反対売買を誘発します。恒常的に買い需要が発生し、株価を押し上げています。業績が安定しているため、株価の変動率がインデックスよりも低いのです。
空売りをする方々は、同社の持つ本当のポテンシャルを知らないか知っていても無視してしまっているのです。
「勝ち方」を知っている企業
ディズニーランドの運営手法は日本文化の「おもてなし」そのものです。どんなアラブの大富豪もパークを一人で借りきることはできません。アトラクションにプレミアム席さえありません。入園者はすべて平等なのです。
誰もが平等であるという夢の世界。そのような夢の世界を運営するノウハウは、世界中のどんな大都市も必要としています。カジノを誘致されると住民は嫌でしょう。ところが、それが夢の国であれば受け入れる可能性はカジノのよりも高いでしょう。ディズニーランドのアルバイトは8時間換算で年間2万人に上ります。地域は雇用を増やすことができます。税収も増えます。人が集えば経済が活性化します。
同社のノウハウが通用する地域や都市はあるでしょうか。同社では検討が進んでいると推定します。投資効率が高い大都市はいくつかあると思います。日本にも海外にも、いくつかの候補はあるでしょう。経営内部ではいくつか具体的な候補が俎上に載っていると思われます。まだまだ発表の時期は数年後かもしれないですし、10年後かもしれません。
投資家は、こうPERを解釈すべきです。同社は完璧に「勝ち方」を知っている企業であり、グローバルに展開が可能であると。そうなれば、同社の利益規模はこれから伸びていくだろうなと。
これが市場が下した「適正な株価」の正体なのです。マーケットに同社の大きな将来性の一部が反映されているのです。
(DFR投資助言者 山本潤)
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