超成長株投資で資産10倍計画!

東京五輪前に需要が萎む!? インフラ建て替えでむしろ好調!?建設セクターは株の長期投資対象となるのか?山本潤の超成長株投資の真髄 第46回

2020年1月8日公開(2022年3月29日更新)
山本 潤
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ゼネコンはバブル以降の30年間冬の時代が続いた

 大成建設、大林組、清水建設や鹿島などの大手ゼネコン各社は、この30年間、非常に厳しい時代が続きました。特に、内需が飽和し、限られた仕事を取り合い、価格の叩き合いに陥った2000年代前半は収益的にも厳しい時期でした。

 長期の株価動向ですが、土地バブルにわいた1989年に各社は史上最高値をつけています。1990年前後の株価と比べると、ゼネコン各社の現在の株価はその半分程度。業績と比した株価指標は低位です。

大成建設(1801) /月足・30年 (出典:SBI証券公式サイト)

 いよいよ今年は東京五輪ですが、60年前、前回の東京五輪の時の各社の株価は現在の20分の1程度でした。やはり、長期で見れば、株価は大きく値上がりしています。

 ただし、成長株投資家の立場からは、ゼネコン各社の構造的なリスクは大きいのです。つまり、下請けの重層構造からくる外注費の大きさや外注費率の上昇の懸念、長期大型案件のエンジニアリング管理リスクもあります。さらに、セメントや鉄鋼材料等の資材の値上がりのリスクなどが気になるところです。また、利益率は向上したとはいえ、営業利益率も一桁台です。受注採算が確保できない場合は、無配転落もありうる業態です。

 一方で、需要は拡大するのかといえば見通しは明るいとはいえません。今後の内需は大きく拡大する見通しがなく、海外の工事は国内よりも一段と採算が低いのです。こうした費用構造からくるリスクや需要の見通しから、わたしは長年、建設株を投資の対象とはしてきませんでした。

建設セクターはアベノミクスで利益体質に

 それでも、ここ最近の10年は特に建設株は好調で、アベノミクスにより、土木工事の価格が利益がしっかりと出るように再設定されたため、各社ともに十分な利益体質へと変貌しました。ゼネコン大手株の直近の10年で株価は3倍程度になっています。私もアベノミクス以降、いくつかの(ユニークな)建設株に投資を行ってきました。

 そもそも論ですが、建設セクターは世の中にはなくてはならない仕事です。ですから、今後100年を見通しても、ゼネコンが存在することは間違いないでしょう。

 需要動向ですが、数年前まで、東京五輪が終わったら需要が萎むという論調がありました。しかし、今は、全くその論調は誤りであったことが徐々に明らかになりました。業界関係者の間では、東京五輪の後の方が、むしろ、需要が堅調ではないかという意見が多いのです。

 理由は高度成長期のインフラが建て替えの時期にきているからです。大型の再開発案件が豊富です。

 地球の温暖化により台風の大型化が今後さらに進むため、防災などの土木工事の予算は積み増されています。

 このように需要がしっかりしているのにも関わらず、供給力は減少しています。バブル崩壊後、多数の中小の建設会社が徐々に淘汰されて、供給力が下がっています。

 建設業界は重層的な下請け構造を持ちますが、孫請けレベルになると、3K職場の代表のように思われています。そのため、日本の若者から敬遠されているという事情があります。さらに、2024年には働き方改革による残業時間の上限などがついに建設業界にも適用されることから、土木工事は週休二日になり、さらに供給力は削減される見通しです。2030年には建設現場の人手不足は100万人を超えると言われています。

 今後は、経済原則通りに、需要と供給のミスマッチから、ゼネコン各社の受注採算はむしろ改善するでしょう。

 業界も効率的な工法のさらなる推進や省人化の努力をしています。プレキャストコンクリートの多用で現場で時間のかかる生コンを使わない工法が主流になりつつあります。

 重層的であった下請け構造は解消に向かいつつあり、元請けと協力会社という2重の構造へと改善しつつあります。国交省をあげて、業界の人材確保のために、雇用条件の改善、給与アップなどを押し出しているため、今後、施工単価は上昇します。それがわかっているので、顧客は、早めに発注をするでしょう。ですので、オリンピックの後にむしろ受注が上がっていくというこれまでにないパターンが生じるのです。

 建設業界が付加価値をあげてきた背景にはもう一つの重要な要素があります。自分でデベロッパーになるという経営戦略です。よくよく考えれば、設計から施工までできるわけですから、デベロッパーに頼まずとも、自身が再開発をすればよい。そうすれば、その後の街の管理や家賃収入も入ってきます。景気がよければファンドに売却をすればよい。そして、ファンドを自身で立ち上げて、自分で開発して、自分のファンドに売れば、仕事は回っていきます。

配当利回りが高いことも投資対象として有望な要素

 それもこれも、ゼロ金利という運用難の時代だからこそできる、時代限定の手法です。街を開発して家賃収入を得るとROA的には数%の利回りとなり、債券利回りを大きく凌駕します。金利スワップをかけて固定収益に変更も可能です。

 このように、時代の風が、今、業界に吹いていると考えると、現状の建設セクターの株価は投資を検討するに値するのかもしれません。

 もちろん、株というものは、状況の悪い不況期に投資をするのが一番儲かるのです。暴落を待ってから投資をしたいと考える人も多くいらっしゃいます。そうは都合がよく、物事は進まないものです。前述の背景から、暴落は考えにくいのが現状です。株価は2年前、1年前より低い水準にあることや、配当利回りが3%を超えているものもあることを考えると投資を検討すべき対象となるでしょう。

-ゼネコン大手各社の利回り-
1801 大成建設 配当利回り 2.8%
1802 大林組  配当利回り 2.5%
1803 清水建設 配当利回り 3.2%
1812 鹿島   配当利回り 3.3%

 

(DFR投資助言者 山本潤)

 

この連載は、10年で資産10倍を目指す個人のための資産運用メルマガ『山本潤の超成長株投資の真髄』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、週2回のメルマガの他、無料期間終了後には会員専用ページでさらに詳しい銘柄分析や、資産10倍を目指すポートフォリオの提案と売買アドバイスもご覧いただけます。

 


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