超成長株投資で資産10倍計画!

島津製作所(7701)の株価は10年で6倍に!利益5倍増を実現し、さらに分析装置のシェア拡大が見込め、長期で買い判断か山本潤の超成長株投資の真髄 第48回

2020年1月29日公開(2022年3月29日更新)
山本 潤
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

島津製作所(7701)の株価が10年間で6倍になった理由とは

 京都に本社がある島津製作所(7701)の株価は、過去10年間で約6倍になりました。営業利益も、過去10年間で約5倍になりました。同社の業績拡大や株価上昇を牽引している要因の一つが、液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS)の躍進でしょう。

 クロマトグラフとは、混合物を分離する方法を言います。同社が手がけるLCMSは、液体(liquid)を分離して分析する装置です。LCMSを手がけているのは世界で5社しかありません。島津製作所は、2010年に国産初となる「トリプル四重極型LCMS-8030」を開発し、米国の大手企業が寡占する市場に参入。最後発ながら、着実にシェアを伸ばしています。

 LCMSで世界のトップシェアを誇る会社は、米国のダナハー社(DHR)です。時価総額は約12兆円で、PERは約40倍超です。ダナハー社に続くのが同じく米国にあるアジレント社(A)とウォーターズ社(WAT)で、アジレント社の時価総額は約3兆円、ウォーターズ社は約1.5兆円です。なお、島津製作所の時価総額も1兆円に迫っており、LCMSのシェアも約10%まで伸ばしてきました。

数量増加と販売単価引き上げを両立し、利益5倍を実現

 LCMSを使う企業や機関は、製薬、バイオ創薬、受託臨床試験実施機関(CRO)が約3分の1、大学などの研究機関が約3分の1、残りは食品飲料業界や化学業界など広範囲に渡ります。液体クロマトグラフは分析範囲が広く、液体中の成分を分離できたり、質量検出器で特定の成分を定量分析できたりする特徴があります。さらに同社シニアフェローの田中耕一氏がノーベル化学賞を受賞したタンパク質の解析や、毒物分析などの法医学方面や臨床検査など広く使われています。

 最後発ながらもシェアを高められた背景には、高い分析処理能力にあります。匠の技術によって、質量分析部のあるトリプル四重極の精度の高さが差別化になっています。トリプル四重極とはLCMSのキーデバイスの1つです。これは四本の円柱を直列に3つ繋げたもので、第一段階がイオン選択、第二段階がイオン分解、そして第三段階で特定のイオンを選択します。円柱の真円度などの加工精度が優れているため極性のスイッチングスピードが速いことが処理能力が高い要因の一つです。

 シェア拡大と増益を両立できた背景には、巧みな市場戦略もあります。第一弾の8030を投入した際は戦略的な価格でシェア獲得を優先し、その後、上位機種に当たる8040、8050、8060を順次投入し、販売単価の引き上げにも成功しました。数量増加と採算性向上の両方に成功したことで、10年間で10%シェアの獲得と5倍もの増益を実現できたのです。

新技術開発、消耗品販売拡大、AI分析のサブスクで成長持続か

 LCMSには様々な方式があるのですが、同社は分解能に優れる縦型のToF(time of flight)と呼ばれる新方式の製品開発にも取り組んでおり、新製品投入による業績拡大が期待できるでしょう。また、競合他社の収益の半分がカラムや試薬などの消耗品販売なのに対し、島津製作所は後発ということもあり消耗品の販売比率が低めです。今後は消耗品販売比率の向上による業績拡大も見込めるでしょう。

 LCMSを使った分析プロセスの中で研究者や作業者が目視で判断する工程があります。この目視分析は熟練の技術が必要で、作業現場のボトルネックとなっていました。同社は、AIを用いた分析ソフトウェア「PeakIntelligence」を年額250万円で提供し、現場のミスを軽減し作業効率を向上する取り組みも行っています。このようなサブスクリプション型モデルも順次拡充していく計画です。

 同社の経営課題は、LCMSを含む計測機器事業以外のセグメントの収益性が低いことです。医療機器などでも特徴を活かせる分野に特化して、稼働を高めていく方針です。LCMSを中心にシェアアップと販売単価上昇はじわりと継続すると考えられ、今後の利益成長も期待できるでしょう。

(DFR投資助言者 山本潤)

島津製作所の投資判断、目標株価はメルマガ会員ページで公表しています。

この連載は、10年で資産10倍を目指す個人のための資産運用メルマガ『山本潤の超成長株投資の真髄』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、週2回のメルマガの他、無料期間終了後には会員専用ページでさらに詳しい銘柄分析や、資産10倍を目指すポートフォリオの提案と売買アドバイスもご覧いただけます。
 

島津製作所(7701)/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
 

 


【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2022年の最強クレジットカード(全8部門)を公開!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

最強の日本株121
投信格付244本
株&投信ドリル

10月号8月21日発売
定価780円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[日本株121/投信格付244本]
◎巻頭企画
人気株の「売り」「買い」 診断も!
決算速報!第1四半期決算で判明!好発進株


◎第1特集
反撃!NISAで安心して持てる!
最強日本株ー2024年夏

●日本株大予測「デフレ完全打破で日経平均は1年後4万5000円へ!」
・利回り5%超がゴロゴロ!高配当株
・盤石な経営力が魅力!大型優良株
・長期で安心保有!株主優待株
・少額でもぐんぐん成長!10万円未満株
・相場を牽引する成長株!半導体・AI株
・割安だが実力はホンモノ!低PBR株
・独自ビジネスで急成長!10倍株

●「新」米大統領誕生で上がる株
●日本の金利上昇で上がる株


◎第2特集
☆☆☆の数を見るだけでOK!
人気投信をズバ斬り!最新の最安投信も大公開!投信格付244

・NISAの最安オススメ投信!インデックス型
・NISAで大きな利益を狙う!アクティブ型
・リスクを抑えられる!バランス型
・「本当の利回り」をチェック!毎月分配型
●NISAで買う投信の選び方!
●投信のキホン


【別冊付録】
書き込み式でサクサク解ける!
NISAで勝つ!株&投信ドリル


◎第3特集
人気FP・風呂内亜矢さんが読者の家計を
ズバリ診断!
インフレ時代を生き抜く!家計改造大作戦!

●家計チェックの3つのポイント
●読者5人の悩みの解決法!

 

◎連載も充実!

◆NEWS:手軽なのに味は超本格派!ご当地カレーの返礼品が充実!
◆新連載!ZAiのザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人
◆おカネの本音:木原直哉さん(東大卒プロポーカープレイヤー)
「ポーカーは時給仕事!大きく稼ぐなら投資のほうが効率的!」
◆マンガ恋する株式相場
「やらにゃ損々!ふるさと納税」
◆「うつ病で働けない時生活費はどうする?」
◆人気毎月分配型投信100本の「分配金」速報データ!


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報