超成長株投資で資産10倍計画!

ツムラ(4540)の株価は直近は低迷も中国市場への拡大と配当利回り2%台は買い判断も山本潤の超成長株投資の真髄 第46回

2020年1月15日公開(2022年3月29日更新)
山本 潤
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漢方薬のトップメーカーとして成長余地大

 ツムラは漢方薬のトップメーカーです。1980年から株価は5倍になりました。株価が低迷した2001年の底値からは10倍になっています。薬の使用量は高齢化社会の到来で増えており、売上は一桁成長ですが増収基調をキープしています。ただし、漢方薬の原材料となる中国産の生薬の輸入コストが上昇基調のため、営業利益は10年間200億円の壁を越えられないでいます。売上は伸びているものの、利益率はこの数年、マイルドな悪化傾向が見られます。

 製薬市場の中で、漢方薬の占める割合は非常に低いものがあります。隣国中国では1/3が漢方薬です。しかし日本では10兆円の製薬市場で漢方薬はわずか1500億円(全体の1.5%程度)にすぎません。日本では漢方薬を処方できる技術を有する医者が少数であることが要因のひとつです。薬で「儲ける」開業医のビジネスにおいて、漢方のような単価が低い薬はビジネスに甘みがないことも普及が低い理由かもしれません。

 高齢化の進む日本において医療費が膨張すれば国家財政を大きく圧迫してしまいます。そこで、薬価の改定が頻繁となり、製薬会社の日本事業の先行きを暗くしています。大手製薬会社は日本での製薬を諦め、国外での事業を育てようとしています。

 政府としては、ジェネリック(後発医薬品)比率を大きくする方針を掲げていますが、ジェネリックについても薬価改定の対象であり、製品価格の下げ圧力は業界全体の収益の圧迫要因となっています。

 そんな中で、漢方の需要は毎年4%から5%程度の数量増加を達成しているのです。漢方は歴史が長く副作用も軽い、さらに価格も低いことが再評価されつつあり、漢方薬を扱うことができる医師の数がじわりと増えているからです。ざっくりといえば、漢方薬の値段は、西洋薬の価格の1/4です。安いものを使う方が国家の財政にとってはよいのです。漢方が処方できる医師の数は年々、増加傾向にあるため、今後も漢方の数量増のペースは継続する可能性が高いと思います。

 問題は生薬のコスト悪化です。漢方は100以上の種類の生薬から作られますが、日本で育てることができるものは30程度に限られます。中国の人件費が急速に上がる中で、一次産業である農業の生産性の改善のペースが追いつきません。そのため、下がる薬価と上がる原材料という状況が続いているのです。

 

将来シナリオが描きにくいリスクも


 漢方薬の将来はどうなるでしょうか。

 医療費削減の対象は、風邪薬や湿布など、OTC(市販薬)で購入できるものは、保険制度の対象とする必要はないという議論が沸き起こるのではないかと思います。つまり、新薬の開発が大きく阻害されている現状を打開するためには、安いものは保険対象外とする動きは出てくる可能性はありそうです(ネガティブ)。あるいは、単価の安いジェネリックや漢方のさらなる普及を推し進める政策がとられるかもしれません(ポジティブ)。このように1.5%しかないから、政策から外れてしまう最悪のサブシナリオもあれば、副作用の低さや価格の安さを武器に順調に伸びるメインのシナリオも考えらえます。

 

中国市場への参入で長期で売上倍増を目指す


 年々薬価が改定されるという難しい状況の中で、ツムラも他の製薬メーカー同様に、いよいよ海外に本格進出します。彼らの定めた戦略市場は中国大陸です。起点となるのは中国の大企業、平安保険グループとツムラとの合弁である平安津村です。2027年年度に100億元(1600億円)の中国事業での売上目標を掲げました

 1500-1600億円という長期の中国市場の売上目標です。いまの同社の売上を凌駕する規模です。とてもスケールの大きな目標です。まだ、足元の中国関連び売上規模は小さいのですが、同社の中国戦略に注目したいところです。ただし、現地にはライバルが2000程度あり、困難を伴う挑戦ではあるのですが。

(DFR投資助言者 山本潤)

 

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ツムラ(4540) /日足・6カ月 (出典:SBI証券公式サイト)

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