グレイステクノロジー(6541)の株価は短期間で6倍以上に
グレイステクノロジー(6541)は、国内の製造業向けにマニュアルの制作や管理を請け負う事業で急成長している企業です。製造業向けのマニュアル制作の国内市場規模は年間約7兆円あり、製造業の売上高の1~3%を占めると言われています。
同社の株価はコロナショック後から猛烈な勢いでリバウンドし、6月30日に年初来高値6640円をつけました。その後は調整し、株価は9月9日終値で4390円です。同社は成長意欲が高く、売上高10倍を早期に達したいという意気込みがありますが、果たして達成できるのでしょうか?
顧客の製造業にとってメリットが大きいビジネスモデル
これまで製品のマニュアルの大半は、社内のエンジニアが作成していました。ところが、エンジニアは製品開発は得意でも、それを分かりやすく説明することはあまり得意ではありません。また、それぞれが勝手に書くなどして用語統一などもなされず、分かりにくくなりがちでした。
そんな中、同社はマニュアルをモジュール化したり、用語統一を図ったりして、製品知識がない人が読んでも理解できるマニュアルを提供しています。同社はマニュアルを制作する際、顧客に対してまずコンサルティングから行います。製品理解を深め、用語の定義などを明確にしてから制作に入ります。最初にコンサルや定義をしっかり行うことで、マニュアルのクオリティや制作効率を高めるのです。同社はコンサルの売上だけで年間数億円に上り、高い利益率につながっています。
大手製造業の場合、マニュアルの制作コストは毎年10億円単位に上りますが、同社に委託することで70%削減できるといいます。つまり、売上の1~3%を占めるコストを70%削減することで、営業利益率1~2%の改善が見込めるのです。加えて、エンジニアはマニュアル作りから解放され、本業の製品開発に集中できるなど、顧客である製造業にとってメリットが大きいです。
営業利益率が約50%と高く、ユニークな次世代サービスも展開
ITを活用したサービスも開発。例えば、同社の「e-manual」というITシステムを導入すると、属人的なマニュアル作りを標準化できます。例えば、ライターや翻訳者などが打ち込んだ言葉は統一すべき用語に自動変換されて、レイアウトなども標準化できます。
同社の2020年3月期の売上は19億円、営業利益は9.5億円で、営業利益率は50%を誇ります。よく差別化された事業と言えるでしょう。過去30年以上のマニュアル作りの経験がノウハウとして蓄積されており、さらに「e-manual」や「Grace Vision」などの次世代サービスも基本特許で固めるなど、参入障壁は高いのです。
Grace Visionとは、今後の成長が期待できるユニークなサービスです。これはウエアラブル端末のディスプレイに搭載されたカメラとマイクを通して、AIが作業者の動作を認識し、作業者に対してARや音声で作業を指示できる製品です。これはe-manualを導入した企業が使えるサービスで、国内だけでなく、海外の企業からも引き合い殺到しているようです。
今後も年率増収率20%程度の持続成長が期待できる
直近、株価は調整中です。これは北米の機関投資家に、創業者である松村幸治会長の持ち株を売却し、会長の持ち分が下がることを嫌気しているからでしょう。
同社はコロナショック前に40人程度いた人員をコロナ禍にあっても増員し、さらなる成長を目指しています。コロナ禍で製造業のマインドは冷えているものの、差別化されたビジネスモデルを持つ同社だけに成長は続くと考えます。米国企業の引き合いが多いことからシカゴに拠点を作って来年から本格的に事業展開する計画もあり、今後も年率増収率20%程度の成長が期待できるでしょう。
(DFR投資助言者 山本潤)
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