株価が長期上昇する3つの条件
株価が数年で2~3倍、10年で10倍を目指す銘柄を探すための考え方を紹介します。私は、次の3の条件が揃うことが重要だと考えています。できれば3つの条件が揃う企業がよいですが、2つでもよいでしょう。
条件1 : 製品やサービスの市場全体が拡大しているか、市場規模が大きい
条件2 : 製品やサービスの市場に占めるシェアが上昇している
条件3 : 製品やサービスの価格が上昇している
条件1 市場が拡大していること。市場規模が大きいこと
市場全体が拡大していれば、その市場で事業展開する企業の将来性も高いと言えます。競合が多くて競争が激しい可能性は高いものの、市場全体の成長率が高く、成長期間が長いと、長期に渡り業績拡大が見込め、株価上昇も期待できます。市場規模が大きいほど、業績や株価の上昇余地も大きくなります。
新市場に参入している企業も注目です。ライバル企業が少なく、独自の技術やビジネスモデルを有している企業は狙い目でしょう。さらに経営者に度量があり、経営判断が迅速で、果敢にチャレンジする起業家精神が旺盛な社員がいれば有望です。
条件2 シェアの拡大
シェアとは、その市場に参加するプレイヤーの占有率を指します。シェアを拡大するには、製品やサービスに魅力があることに加え、経営者のリーダーシップや統率力、経営戦略やそれを実行する力やスピード、品質やコスト、ユーザーの評価など様々な要因が必要です。
シェアが高い企業の株価は、持続的な上昇が期待できます。例えば、DFRポートフォリオ銘柄の1つであるリオン(6823)は国産補聴器メーカーで国内トップシェア20%を誇ります。同社が今年1月につけた上場来高値3850円は、約10年前の株価と比べて7倍以上です。今はコロナ禍で低迷しているものの、補聴器ニーズが失われることはなく、トップシェアである限り、上昇が期待できるでしょう。
一方、成熟市場でも、現在シェアが低く、今後もシェアを数倍に拡大できる企業は投資に値します。成熟市場は競争力が低い企業が多く、そこから顧客を奪ってシェアを拡大する余地が大きいからです。DFRポートフォリオ銘柄の一つであるアルヒ(7198)などがそうです。国内の住宅ローン市場は拡大が期待できないものの、金融機関から顧客を奪い、シェアを拡大して業績を伸ばしています。
条件3 製品価格の上昇
高いシェアに加えて、営業力やサポートが強い、ライバル企業が真似できない技術や特許を保有するなどしている場合、価格が安定し、高い利益率が確保できます。さらに新機能や新用途の開発、性能向上などで価格を維持しやすく、シェアが高いと価格交渉力も強いため値上げも可能になります。
3つの条件(市場全体の拡大、自社シェアの拡大、価格上昇)が揃うと、玉突きのように好循環のサイクルが始まります。製品やサービスのブランドが定着し、企業の認知度が向上。それにより企業の信用力は高まり、優秀な人材採用が加速するなど、経営の質も向上します。株価は上昇し、それに伴い株式時価総額も増加。株式分割など流動性が高まり、さらにバリュエーションが切り上がり、株価は驚異的な上昇を遂げるでしょう。
3つの条件が揃うと、株価10倍以上も
ざっと市場規模が2倍、自社シェアが2倍、提供価格が2倍になれば、売上は8倍、利益は10倍以上になるでしょう。株価の評価が切り上がれば、株価は10倍以上です。対象市場が大きければ大きいほど、増収増益のペースが途切れにくいと投資家も判断するため、株価も下がりにくくなります。
現在の市場は、残念ながら、コロナ感染拡大による経済委縮が企業業績に最も影響しているため、正当な評価がしにくい状況ですが、DFRでは現下にあっても、このような観点で銘柄を探し続けています。次週は3つの条件に合致し、長期で株価上昇が期待できる銘柄を紹介したいと思います。
(DFR投資助言者 山本潤)
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