超成長株投資で資産10倍計画!

【決算総括】安川電機(6506)の株価は6倍も。DX化や事業再構築で利益率が大きく改善した日立製作所(6501)にも注目。山本潤の超成長株投資の真髄 第115回

2021年6月2日公開(2022年3月29日更新)
山本 潤
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決算で最も印象に残った企業は安川電機(6506)と日立製作所(6501)

  今回は本決算の総括をしたいと思います。日本企業の今後を占う上で最も印象に残った企業は安川電機(6506)と日立製作所(6501)の2社でした。安川電機は自社工場をDX化して生産性を大きく向上させて収益性を高めました。もう一方の日立製作所も利益がコンセンサスを大幅に上回って着地するなど、利益率が向上しています。

 両社の営業利益率の5年平均の推移を見ましょう。安川電機の2000年~2004年の営業利益率は平均2.0%、2005年~2009年は同7.0%、2010年~2014年は同3.7%、2015年~2019年は同8.5%です。今期の想定は10%程度ですから、利益率が高まっていることが分かります。

  日立製作所の営業利益率も2000年~2004年は平均1.5%、2005年~2009年は同2.4%、2010年~2014年は同3.6%、2015年~2019年は同6.7%で、今期の想定は9%程度ですから着実に切り上がっています。 

多くの日本企業がDX化で収益改善が期待できる

 私がこの2社に注目する理由は、利益率の改善が日本企業全体に通じるトレンドだと思うからです。確かに安川電機と日立製作所は日本を代表するメーカーではあるものの、利益率などの経営指標でエクセレント(卓越した)な成績を挙げているとまでは言えません。誤解を恐れず言えば、「普通の大企業」です。普通の大企業が改善できるのですから、他の日本企業にも収益改善の余地は大いにあると言えるでしょう。

 事実、法人調査統計(上場企業だけではなく全企業を対象としたもの)によれば、日本企業の営業利益率は過去10年間で2倍以上に改善しています。同調査からさらに分かることは、利益率は規模の経済が効くことです。具体的には、利益率の高さと資本金の大きさは比例します。資本金が10億円以上の企業と、資本金が1000万円以下の企業の営業利益率を比べると、約3倍の差があります。資本が成長すると、資本の効率も上がるのです。

過去20年で株価10倍以上になった安川電機の成長は今後も続く

 安川電機のように売り上げを倍増させて利益率を3倍増させることは、規模の経済を効かせると「自然に」可能になるのです。売上が2倍で利益率が3倍だと、2倍×3倍で株価は6倍になる可能性があります。実際、同社の株価は過去20年で10倍以上になっています。

 同社の成長は今後も続くと、私は確信しています。理由は、中国での存在感がますます高まるからです。同社のコントローラー付きのサーボモーターの中国のシェアは現在3割近くあり、他のグローバル競合メーカーと比べて突出しています。同社のサーボモーターの世界シェアは17%とトップですが、中国という激戦区でシェアが圧倒的に高いという事実は今後の成長を約束していると言えるでしょう。

 グローバル競争は中国を制するものが勝つ。これは今の時代の鉄則だと思うのです。事実、これからEV向けの二次電池が爆発的に増えますが、その製造工程で大量のフィルムを巻きとることになり、それを支えるのがサーボモーターです。また、今後増産される太陽光パネルモジュールの製造工程においても大量のサーボモーターが活躍することもあり、同社の成長は期待できるでしょう。

工場や倉庫のDX化推進で業績拡大が見込める日立製作所

 日立製作所は先進的なデジタル技術を活用して顧客に自動倉庫や自動化工場などのソリューションサービス「Lumada」事業を手がけていますが、同社の利益率が高まっている理由は、私の推定では、まずは自社にLumadaを導入した成果だと考えています。

 ただ、同社の株価は残念ながら過去20年間で横ばいを推移しています。今後、株価を上昇させるためにはトップラインの成長が欠かせないでしょう。ITを事業ドメインの中核に据えた同社は、中国での拡販を目指す安川電機と異なり、国内で日本企業のDX化を支える事業が中心になるでしょう。IT投資がまだまだ不足している国内でDX事業を進めることで、同社の増収はある程度可能だと思います。

新たな成長ストーリーを信じることが長期投資の醍醐味

 ただ、投資家は20年に及ぶ株価低迷を見てきたので、にわかに成長ストーリーを信じることは難しいかもしれません。しかし、信じる者が救われるのが投資の世界であり、私は信じたいと思っています。

 これまで玉石混合の事業の複合体であった同社のPERは11倍台に甘んじていますが、IT色が今後強まることでバリューの底上げにつながるはずです。倉庫や工場のDX化で強みを発揮できると思います。実際、MonotaRO(3064)の自動倉庫、工作機械メーカーのオークマ(6103)の工場のDX化なども同社によるものです。製造拠点の国内回帰の流れも追い風になるでしょう。

 今後の注目はLumada事業における米GlobalLogic社(売上1000億円規模の貢献)の買収でしょう。さらにワークマン(7564)の10万点の商品の自動発注という大きなチャレンジも期待できます。一方、電力システム分野では日立ABBパワーグリッド社が手がけるスマートグリッド事業も期待できます。ESG分野のソリューションで投資家の注目度も高いことから、株価の上昇に貢献するでしょう。

(DFR投資助言者 山本潤)

この連載は、10年で資産10倍を目指す個人のための資産運用メルマガ『山本潤の超成長株投資の真髄』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、週2回のメルマガの他、無料期間終了後には会員専用ページでさらに詳しい銘柄分析や、資産10倍を目指すポートフォリオの提案と売買アドバイスもご覧いただけます。


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