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【決算分析】今期も成長が期待できる半導体業界。フラッシュメモリやEUV露光装置などが牽引。東京エレクトロン、HOYAなどに期待山本潤の超成長株投資の真髄 第113回

2021年5月12日公開(2022年3月29日更新)
山本 潤
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今期も好調が期待される半導体業界

   最近の相場は少し荒れ模様ですが、理由は上昇がしばらく続いた後であり、さらに企業側の期初特有の保守的な来期予想もあって一旦利食いが先行するケースが多いからでしょう。しかしながら、こうした動きは短期的な反応にとどまると考えています。業績の拡大局面であり過度に心配する必要はないでしょう。

 今回は最近行われた決算発表の中から、今後も好調が期待される半導体業界の動向を紹介します。半導体製造装置を手がける東京エレクトロン(8035)の業績は絶好調で、前期(2021年3月期)は大幅な増益を果たしました。3D NANDフラッシュメモリの積層数の増加が寄与してエッチャーの増加が貢献しました。さらに前期の後半からDRAM需要が急回復したことも業績を押し上げた要因です。

東京エレクトロン(8035)は売上高2割増、営業利益3割増を計画

 今期(2022年3月期)の見通しも強気です。同社はファウンダリ―市場は年30%成長、DRAM市場は年15%成長、競争の激しいNAND型フラッシュメモリ市場は年15%成長と予想しています。2022年3月期の売上高は約2割増の1.7兆円、営業利益は約3割増の4420億円を計画。年間配当金も大幅増となる1061円を計画しています。

 DRAMの需要は高解像度画面を搭載したスマホが押し上げるでしょう。また、DRAMは今後到来するエッジコンピューティングの主役の部材でもあります。DRAMとCPUのキャッシュメモリを伝送路でつないで画像データの処理をします。エッジ側の処理能力が高いほどリアルタイム処理は有利です。エッジ側のレスポンスの良さが、対話ロボットや農業自動化などの未来の新サービス誕生の決め手となるため、大量のDRAMが必要になります。ただ、今期の高い市場成長予想は5Gの普及期特有の可能性もあるため、そこは注意を払うべきでしょう。

 NAND型フラッシュメモリの積層数増加の影響で大量のエッチャーが必要になります。NAND型フラッシュメモリを搭載したSSDは、HDDの置き換え需要で、PCに加えてサーバー向けデータセンターなどでも導入が進むでしょう。5G搭載のスマホ端末は今年6億台弱から、2025年には2倍強の13億台を超えるとの予想です。同社によると「デジタルとグリーンでビッグイヤーが続く」とのことです。

EUV露光装置への投資も半導体業界の成長を牽引

 半導体製造用マスクブランクスやHDD用ガラスディスクなどを手がけるHOYA(7740)も増益でした。EUV(極端紫外線)露光装置用ブランクストと3.5インチのHDDサブストレートガラスがけん引しました。 躍進したEUVブランクストは今年度も引き続き、成長が見込まれています。そのドライバーは先端開発であり、足元では 3nm/2nm世代の開発需要です。2nmは想像ができないほど微細ですね。

 オランダの半導体製造装置メーカーのASMLの発表によると、2020年のEUV露光装置の出荷実績が31台に対して、21年は40台、22年は55台を計画しています。今期は3割、来期は4割成長です。また世界最大のファウンドリーの台湾TSMCが投資する11兆円の約8割がEUV露光装置を占めます。

 HOYAの注目すべき動向として、3.5インチディスクがこれまではアルミだったのが、完全にガラスに変わりつつあることです。データセンター向けが急増し3.5インチガラスディスクの売上は前期と比べて2倍弱増えました。薄板化や、HAMR(熱補助型磁気記録)に対する耐熱性などにおいてガラスに優位があるそうです。HDDの容量向上は枚数を増やして達成できますが24TB程度まではいけるようです。

 同社のCEOを務める鈴木洋氏はEUV露光装置について言及しています。「EUV設備を立ち上げる上で最も時間がかかる設備が検査器で、それが入らないと立ち上がらない」。つまり、レーザーテック(6920)が手がける検査装置がボトルネックになっているのです。検査装置を作るのに1~2年かかると言います。

懸念は原材料価格の上昇だが、価格を転嫁でき業績拡大は続く

 半導体投資は大いに盛り上がっていますが、私は「半導体は何のために存在するのか」ということを今一度考えることが重要だと思っています。半導体は社会全体として圧倒的な効率、例えばコストや時間などを飛躍的に節約するために存在すると考えます。

 その一例が、コロナ禍で顕在化した、家にいながらでもズームなどのオンライン会議ツールがあれば、多くの仕事ができてしまうことではないでしょうか。圧倒的な時間やコストの節約になります。その結果、電車に乗らず、鉄道会社は赤字で苦しんでいます。航空会社も同様です。オフィスに行く機会も減り、賃料も下落傾向にある。

 私は半導体が進化・普及するほど、今後もこうした効率・合理的なイノベーションが生まれると思います。テレワークで済んでしまうようなことが、製造現場や農業などの労働集約産業などあらゆる現場で起きるでしょう。

 現在、半導体投資が膨らんでいるにもかかわらず、設備投資は本格化していません。理由は、木材や金属や化学製品、物流などの値段が上がっているからでしょう。原材料が不足してボトルネックが生じているのです。コバルトが調達できないとリチウムイオン電池ができない。半導体が足りないため、自動車が作れないなどの状況が起きています。

 市場の懸念材料は原材料不足で生じるインフレや長期金利の上昇ですが、私はそれほど心配していません。現在は業績相場に移行中で、企業業績の改善度合いと金利やコストの上昇との綱引きではありますが、業績拡大が大きい企業が相場をけん引することや、遅かれ早かれ値上げで補うことになるので、マーケット全体としては大丈夫だと思っています。

(DFR投資助言者 山本潤)

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