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不動産投資で意識すべきは、財務三表。そして「節税」よりも「節約」を!

2022年3月15日公開
八木 エミリー
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 私は会社員のころは年収460万円でしたが、26歳から不動産投資を始めて、今では資産7億5000万円を築いています。そんな私が不動産投資で順調に資産を増やすために欠かさず意識していることは、「財務三表」と呼ばれるものです。今回は、この「財務三表」について説明していきます。

不動産投資では、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー」を意識しよう!

 1つ目は、「資産」と「負債」の状況を表す「貸借対照表」(バランスシート)をつくることです。不動産投資は「金融機関から借金するのはリスクが高そう」「お金のやりくりが難しそう」と思っている方も多いでしょう。しかし実際のところ、誰にでも簡単につくれる貸借対照表で資産と負債を“見える化”しておけばリスクは回避できます。貸借対照表は、左側に「資産」(土地・建物価格の総額)、右側に「負債」(金融機関からの借入金総額)を記入するだけ。資産と負債の差額が「純資産」(自己資金)になるのです。この自己資金を増やしていくことが1つの大きな目標となります。

【「左に資産」、「右に負債・純資産」の賃貸対照表をつくる】

 2つ目は「損益計算書」をつくることです。

 損益計算書というと、ちょっと難しく感じるかもしれませんが、実はこれも簡単。ざっくりいうと、物件ごとに「収入」「支出」を算出するだけです。私は7棟所有していますが、エクセルを使って物件ごとに収入(家賃など)と支出(管理委託費、共用部の電気・水道代、税金、保険料、清掃費、雑費などの運営費)を記入してチェックしています。物件ごとにお金の出入りを“見える化”しておくと、「この物件は経費が他の物件より多いな」「清掃費は管理会社よりシルバー人材センターに頼んだほうが安い」「自動販売機を設置して毎月1万円くらい収入を増やそうかな」など、収入と支出を見直ししやすくなるのです。

【「収入」と「支出」を損益計算書で管理する】


■収入
家賃 :家賃収入
礼金・更新料 :礼金・更新料収入
雑費 :自動販売機収入など

■支出
管理委託費 :管理会社への支払い
水道光熱費 :共用部の電気・水道代
税金 :購入初年度の不動産取得税・2年目以降の固定資産税を計上
保険料 :火災保険料・地震保険料
修繕費 :修繕積立と清掃費、入居者入れ替えの際のクリーニング費用など
雑費 :これまで挙げていない経費

 3つ目は、「NOI」(ネット・オペレーティング・インカム=営業純利益)と「キャシュフロー(純現金収支=手元に残るお金)」の計算です。これは損益計算書をつけていれば、簡単に算出できます。
「NOI」とは、年間の収入(家賃収入)から支出(運営経費)を差し引いた「営業純利益」のことで、物件の収益性(いわば実力)を示します。

・NOI(営業純利益)=年間収入-年間支出

 この「NOI」から「ローン返済額」を差し引いたものが、キャッシュフローです。

 キャッシュフローは、年間家賃収入の最低3%を目安にしています。急に修繕費が発生したりして、想定外の支出があっても、「キャッシュフロー3%」を確保しておけば安心です。不動産投資に関わるお金の流れを、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー」で把握できるようになると、次の不動産投資に向けた事業計画もより戦略的に立てられるようになります。「数字が苦手」という人でも、アプリやクラウドサービスを使えば、ほとんどのことは自動で計算できます。財務管理は、物件を購入する前の返済シミュレーションや事業計画書をつくるところからはじまるのです。

不動産投資では、「節税」よりも「節約」が大事

 財務三表を意識しながら不動産投資の資産を増やすことに加えて、「節税」よりも「節約」の方が大事、ということも意識しています。年収数千万円以上の高所得者か、不動産や株式などを大量保有する資産家でない限り、「不動産投資で節税する」という考え方はいったん捨てましょう。節税のために赤字決算にすればするほど、個人や法人としての信用度が低下して金融機関から融資を受けにくくなります。特に私のように将来の資産形成に向けて不動産を買い増していきたいという人は、必ず黒字決算を出すようにすべきです。

 不動産投資は税金を払えば払うほどメリットがあります。こういうと首をかしげられるかもしれませんが、税金を多く払えるだけ不動産経営が順調だという証拠になりますから、信用度が高まって金融資産的な属性が上がるのです。私自身は、「節税のことは不動産投資を拡大して資産100億円の目標を達成した後で考えよう」と割り切っています。

 個人の場合、年収が上がれば上がるほど累進課税で税率が上がり、1,800万円を超える部分は40%、4,000万円を超える部分は最高税率45%の所得税を払うことになります。所得税に住民税を加えて考えると、個人所得への最高税率は55%(所得税45%+住民税10%)にもなります。その点、たとえば香港とシンガポールには所得税しかなく、最高税率はそれぞれ17%と22%です。一方法人の場合は、どんなに利益が出ても法人税の税率は約30%に収まるので、収入が多くなれば個人より節税できます。そういう意味では、私も3棟目を購入するときに法人化したことは、節税につながっています。私にとって節税らしきことはその程度で充分ですし、むしろ「下手な節税対策に力を注ぐより、本来の不動産投資に力を注ぐ」と決めています。

 一方、節税ではなく節約に関して、私は一切妥協しません。いつもギリギリの生活を自分たちなりに楽しみながら節約しています。大ざっぱに考えるのが嫌いなので、家計簿は1円単位でつけています。
「1円単位で!?」と驚く人もいるでしょうし、「そんな面倒くさいことを……」と呆れる人もいるかもしれませんが、これはもう私の性分なのだと思います。お金の流れを細かく“見える化”すると、節約も具体的に考えられるのです。

 今回は不動産投資に欠かせない「財務三表」と、節税よりも節約が大事、という話をしました。財務三表に慣れて、お金の流れを“見える化”する。節税よりも金融機関の信用度を高める。これらを意識しながら不動産投資を続けると、きっといい結果につながるはずです。ぜひ試してみてください!

 

●八木エミリー  投資家。野村證券に入社後、新人で東海地区の営業成績ナンバーワンとなり、最年少講師に。26歳で辞めた後は、不動産投資を開始し、7棟の不動産を所有(購入額7.5億円)。不動産投資の自己資金は徹底した節約で貯めたもの。現在はIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として中立の立場で金融商品のアドバイスなども手掛けている。20代30代を中心に経済的自立を目指すお金ビギナーを救う活動を「マネ活」としてメルマガ配信などを行なっている。著書に『今からはじめれば、よゆうで1億ためられます!』。最新刊は書籍『元証券ウーマンが不動産投資で7億円』(ダイヤモンド社)。

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