生命保険選びのベースとなるのは終身の死亡保険だ。とはいえ「終身死亡保険」にもさまざまなタイプがある。ここでは主な5つのタイプについて、それぞれの特徴と選ぶ際のポイントをFPブレーンブレーンコンサルティング仲和成さんに教えてもらおう。
保険が威力を発揮する場面は多い!

終身の死亡保険は、年齢や性別によるものの概ね支払った保険料の約1.6倍前後の保険金を残すことができる。仮に、手元に300万円の資金があり、自分の万一に備えて全額を残したいと考えたとしよう。
「300万円の現金があれば、そのうちの180万円を使って、支払総額が180万円の終身保険に加入しておくと、自分にもしものことがあれば300万円の保険金が遺族に支払われます。しかも、手元の現金120万円とあわせると420万円のお金が残せることになります」(仲さん)
また、死亡した人の資産は、相続税の対象になろうとなるまいと一時的に凍結される。そのため、死亡した人の預貯金からは葬式代すら出せないのだ。
「保険は書類さえ揃っていれば、早ければ翌日には指定した受取人に保険金が支払われます。保険を活用しない手はないでしょう」
終身保険には5つのタイプがある
生命保険のベースとなるのは終身の死亡保険だ。その終身保険には「低解約返戻金型終身保険」「変額終身保険」「低解約型積立利率変動終身保険」「98歳低解約型定期保険」「ドル建て終身保険」の5つのタイプがある。

図1は35歳男性を例に挙げ、それぞれのタイプで一番有利な保険を他のタイプと比較したものだ。いずれも60歳で保険料の払い込みが終了し、死亡時の保険金は500万円(ドル建て保険は1ドル=100円とし、保険金は5万ドル)。なお、「98歳低解約型定期保険」は終身保険ではないものの、ほぼ終身と考えられることから挙げてある。
また、「低解約型」は、保険料払込期間中の解約返戻金を従来の終身保険よりも30%程度抑えることで、保険料を安くした商品だ。その分、払込期間中に解約すると従来の終身保険より元本割れが大きくなる。
「保険料」「保険金」「解約返戻率」に注目して選ぼう!
「終身の死亡保険には『保険金と解約返戻率が変わらないタイプ』と『保険金と解約返戻金が変動するタイプ』があります。つまり、保険金と解約返戻金が変わるのか、変わらないのかを見れば、その保険の特徴もわかります」(仲さん)
①の低解約金型終身保険と、④の98歳低解約型定期保険は、保険金と解約返戻金が固定されているタイプだ。
②の変額終身保険は、保険会社が保険料を投資信託で運用する。運用成績が悪くても保険金が500万円を下回ることはないものの、解約返戻金は運用実績によって変動する(表中の解約返戻率は運用実績が3.5%の場合)。
「③の低解約型積立利率変動終身保険は、保険金、解約返戻金ともに10年物国債の利回りから算出した積立利率に連動して変わります。ただし、保険金は500万円が最低保障ですし、解約返戻率も一定のラインより下がることはありません。ここで紹介した保険の場合は積立利率1.85%が最低保障なので、10年物国債の利回りが今後下がったしても、1.85%は確保されます。積立利率が1.85%を超えて上がった場合には、解約返戻率も保険金も上がります」
⑤のドル建て終身保険は、保険金も解約返戻率もドル円の為替レートによって変動する。つまり、円高になると保険金が少なくなり、解約返戻率も低くなるが、保険料も安くなる。円安になると保険金が多くなり、解約返戻率も高くなるものの、保険料も高くなる。
「どれを選ぶかは、『毎月支払う保険料』『解約返戻率』『保険金と解約返戻率の変わり方』の3つの要素のうち、保険加入者が何を重視するかで変わります。保険料の安さを重視するなら③の低解約型積立利率変動終身保険か⑤のドル建て終身保険ですが、このうち⑤は円安が進んだ場合に現状よりも保険料が高くなるリスクもあります。解約返戻率のわかりやすさで選ぶなら①の低解約返戻金型終身保険か④の98歳低解約型定期保険ですが、④は保険料が少し高めです。②の変額終身保険は解約返戻金が上下にブレ、安定感に欠けるものの自らリスクを取り、解約返戻金を増やしたい方に向いていると言えます」
複数の保険を組み合わせて長所短所を補う
どの保険にも長所、短所があるというわけだ。これをどう考えればいいのだろうか。仲さんは「いくつかの保険を組み合わせる」ことを勧める。
「今後の日本では10年物国債の利回りが上昇し、インフレが起きる可能性があります。保険金も解約返戻率も変わらない保険は、残念ながらインフレには弱い。そこで、死亡時の保険金を1000万円用意したいのであれば、例えば、500万円分を②の変額終身保険に充て投資信託を使います。そして残りの500万円分を③の低解約型積立利率変動終身保険に振り分け、金利上昇に備えるといった方法もあります(図2)」

円安への対応を重視するなら、500万円分を③、300万円分を円安に対応できる⑤、200万円分を②という組み合わせも考えられる。それぞれの長所短所を理解したうえで複数の保険を組み合わせ、『毎月支払う保険料』『解約返戻率』『保険金と解約返戻率の変わり方』のバランスを取ることが大切なのだ。
なお、保険の見直しをする際、「予定利率の高い保険は残しておいたほうがいい」と考える人も少なくない。
「確かに、予定利率の高い保険は、そのぶん保険料が安いというメリットがあります。ですが、同じ保障内容の保険ならば、予定利率が高かろうが低かろうが、保険金の額は変わりません。むしろ、保険金が固定されているため、インフレには弱いと言えます。今後の保険の検討においてはインフレ対策の必要性を理解し、予定利率の高い保険は減額、払い済み、支払期間延長などの見直し方法を駆使し、インフレに連動して保険金が上がる変動金利型の保険との融合を考えるといいでしょう」
(文/大山弘子)
◎Profile
仲 和成(なかかずなり)
1965年、福岡県生まれ。九州大学工学部卒業後、株式会社リクルート入社。ネットワークエンジニアとして企業のネットワーク構築に従事。1995年、INA生命保険株式会社(現・NKSJひまわり生命保険株式会社)入社。初代エグゼクティブライフカウンセラー認定。2003年ファイナンシャル・プランナーとして独立し、現在に至る。一級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFP(日本FP協会認定上級資格)。MDRT会員(1999年~)、CCMA(日本証券アナリスト協会準会員)
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