安定的に配当収入が手に入る高配当株への投資は、個人投資家に不動の人気を得ている。日本の高配当株に限って投資している人も多いが、世界を見渡すと海外には安定して高配当を出し続けている優良企業がたくさんある。配当狙いでお金を増やしたい人は日本株から世界の高配当株に投資する投資信託に目を向けるべきだ。
特に日本の電力株を持っている人は
世界中の公益株への投資を意識せよ!
世界の高配当株に投資する魅力について、日本最大の高配当株投資信託を立ち上げたピクテ投資信託代表取締役社長の萩野琢英さんは次のように語る。
「日本では、4年前の福島第一原子力発電所の事故以降、安定した高配当株の代表だった電力株のほとんどが無配となりました。原発再稼働の問題を抱え、業績も不透明です。しかし、海外の電力株には魅力的な配当水準の企業が多い。安定した配当を出す電力・ガスやインフラなどの公益関連は、東日本大震災のような天災の影響を受けやすいのは避けようのない事実です。そういった点で、高配当株も地域や為替を分散させることが“負けない投資”のために大事なのです」
また、こうした公益企業は、世界的な物価上昇の流れにある中で、料金を値上げしやすいというメリットもある。さらに土地や建物を多く保有している資産株としての側面を持つ企業も多く、物価上昇時に評価されやすいという特徴もある。
データを見ても世界的な低金利が続き、債券の利回りが低下トレンドにある中で、先進国の高配当株の平均利回りは3.8%、世界の公益高配当株の平均利回りは4.6%と非常に高い水準となっている。
値上がり益分もすべて分配で出す投資信託もあれば
基準価額の上昇を狙う年1回分配もある!
まずは、世界の高配当株に投資する投資信託の中から、純資産が300億円以上で、3年間の成績がプラスで販路が広い(大手都銀や大手証券の場合は1社でも選んだ)という3点を加味して、ベスト6本をセレクト。3年間の年率の平均騰落率順に並べた。
6本とも年率で20%前後の好成績。だが、分配の方針や投資先がそれぞれ違うので、騰落率だけでなく、リスクなども踏まえて見てほしい。
1位の世界好配当株投資信託は、新興国も含めた世界中の高配当株に投資する投資信託だ。分配は控えめで、24.8%の騰落率に対して、3年間の平均の本当の利回りは3.9%。分配よりも基準価額の上昇を狙いたい人向けの投資信託だ。
2位のマニュライフ・新グローバル配当株ファンドは、先進国中心に投資するタイプだが、分配方針は1位の投資信託とは対象的。月30円の分配をベースに、基準価額の上昇分を年4回のボーナス分配で配分。投資している株から受け取る配当の未分配分と売却による値上がり益も分配で受け取ることができるので、利益確定が苦手な人向けの投資信託と言える。
>>マニュライフ・新グローバル配当株ファンドの最新情報はこちら
3位の日興・CS世界高配当株式ファンドも2位と同様に先進国に投資するタイプ。当面は分配を受け取る必要がない人は複利で増やせる年1回分配の資産成長型を選ぼう。
そして、4位のグローバル・ハイインカム・ストック・ファンドは、日本株にも20%近く投資し、組み入れ銘柄のトップはトヨタ自動車だ。値上がり益も重視するため、他の投資信託と比べて配当利回りが低い銘柄も組み入れている。直近1年で分配金を出しつつ基準価額は1571円も上昇しており、分配の健全度は良好だ。
>>グローバル・ハイインカム・ストック・ファンドの最新情報はこちら
ちなみに、6本中で4位のグローバル・ハイインカム・ストック・ファンドだけが年4回分配型で、そのほかの5本は毎月分配型だ。
公益株のみに投資する低リスクのタイプや
純資産総額が1兆円を超える人気投資信託も!
そして、5位のグローバル好配当株オープンは1位と同様に、新興国も含め広く分散するタイプ。北米、欧州、アジア・オセアニアの3地域に資産を3等分で投資している。新興国の割合が6本中で最も高く、リスクは高めで値動きが大きい点には注意しよう。分配金は月10円と控えめなので、分配よりも基準価額の上昇を狙いたい人向けだ。
6位のピクテ・グローバル・インカム株式ファンドは、純資産が1兆円以上の株型投資信託の中でトップの投資信託だ。他の5本が業種などは問わず利回り水準を重視して投資しているのに対し、値動きが安定的な電力やガス、インフラなどの公益株に特化して投資する。リターンは6本の中で最も低いが、その代わり値動きは安定的で最もリスクが低いという特徴がある。分配金は月50円を継続しており、3年間の年率の本当の利回りは11.6%と高水準だ。
>>ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドの最新情報はこちら
先進国と新興国の比率の違いや、組み入れている銘柄の中で安定した公益株がどのくらいを占めているかでリスク度が違う。それぞれの内容を吟味して投資信託を選ぼう。
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