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ネット銀行の格付けから、それぞれの信用度を検証!格付機関が「メガバンクより破綻リスクが低い!」と評価した、安全・安心なネット銀行はここだ!

2016年1月25日公開(2022年3月29日更新)
ザイ・オンライン編集部
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ネット銀行は、メガバンクよりも信用リスクが高い?

 ネット銀行は、メガバンクと呼ばれる大手都市銀行や地方銀行と比較して、一般的に金利や手数料の面でお得な場合が多い。

 例えば5年ものの定期預金金利を見ると、メガバンクはそろって0.03%だが、多くのネット銀行は0.10~0.30%と圧倒的に高金利となっている。さらにコンビニATMの出金手数料や振込手数料を見ても、メガバンクよりも便利でお得なネット銀行が多い。

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 また、最近はインターネット通販やオークションサイトが一般的になったことから、パソコンやスマホを使ってインターネット上で入金や残高確認などの銀行取引を行うことが増えてきたが、そうしたインターネットバンキングの使い勝手に関しても、やはりネット銀行のほうに一日の長があるだろう。

 そんなお得で使い勝手の良いネット銀行だが、利用者数や普及率を比較すると、まだまだメガバンクのほうが圧倒的に多い。その理由として、「これまでずっと使ってきたから、乗り換えるのが面倒」「支店で対面取引がしたい」などが挙げられると思うが、おそらく「よく知らない新しい銀行にお金を預けるのはちょっと不安。メガバンクなど大きくて昔からある銀行のほうが安心」と考える人も少なくないだろう。

 私たちが銀行に預けたお金は、預金保険制度(ペイオフ制度)によって守られている。具体的には、利息の付かない決済用預金は全額、利息の付く普通預金や定期預金などは、銀行ごとにそれぞれ合計で1000万円まで保護される。もちろん、ネット銀行も同様だ。

■預金保険制度の対象範囲
預金などの分類 保護の範囲
対象預金など  決済用預金  当座預金・
 利息のつかない普通預金など
 全額保護
 一般預金など  利息のつく普通預金・
 定期預金・定期積金・
 元本補てん契約のある
 金銭信託
(※1)など
 金融機関ごとに預金者1人当たり、
 元本1000万円までと破綻日までの
 利息などを保護
 対象外預金など  外貨預金・譲渡性預金・
 金融債
(※2)など
 保護対象外
 ※1 ビッグ等の貸付信託を含む。※2 募集債及び保護預り契約が終了したもの。

 つまり、外貨預金など一部の保険対象外のものを除くと、1000万円以上の資産を一カ所の銀行に預けていない限り、万一、銀行が潰れても預けたお金はきちんと手元に戻ってくるので、どこの銀行でも安心して預けられるのだ。

 しかし、いくら銀行預金が法律で守られているとはいえ、自分の大事なお金を預ける銀行に「信用」や「安心感」を求めるのは当然だろう。特にネット銀行は、「PayPay銀行(旧:ジャパンネット銀行)」、「楽天銀行」、「イオン銀行」など、あまり聞き覚えのない銀行や名前は知っていても比較的新しい企業グループの銀行であることが多く、伝統的なメガバンクと比較すると、どうしても「いざというとき大丈夫かな?」という不安なイメージを持ってしまいがちだ。

 では、実際にネット銀行はどこまで安心してお金を預けることができるのだろうか。また、ネット銀行の中で、より信用できるのはどこの銀行だろうか。

 銀行や企業が将来的に破綻しないかどうか、いわゆる「信用リスク」を判断するのは素人には難しい。そんなとき、目安のひとつとなるのが「格付け」だ。そこで今回は、信用格付会社による各銀行の格付けをチェックし、ネット銀行の信用度を検証してみよう。

格付けを行う信用格付機関は、
「事業基盤」と「財務基盤」の両面から銀行を評価

 格付けとは、企業や債券の信用リスクを判断するための指標のことで、金融庁に登録された信用格付機関によって付与される。格付けは、「AAA」「A-」などの記号によって表され、格付けが高いほど、将来的に倒産・破綻をする可能性が低く、債務を履行する能力が高いと見なされる。

 例えば、銀行の場合は、市場における地位や競争力、金融システムの安定性、経営戦略といった「事業基盤」と、収益力や貸出資産、運用資産、リスク管理体制などの「財務基盤」によって評価される。

 もちろん、格付けは企業の信用度を測る絶対的な指標というわけではない。金融庁に登録された信用格付機関といえども民間企業であることに変わりはなく、その調査・分析能力にも限界があるため、格付けが高いからといって「この銀行は100%信用・安心できる」と判断するのは早計だ。

 しかし、格付けは、金融・企業分析のプロ中のプロが膨大な時間と手間をかけて下した評価であることは間違いない。「よく知らないネット銀行に不安を覚えるのだけど、大丈夫だろうか?」という人にとって、ネット銀行選びを助ける指標には十分なるだろう。

 現在、金融庁に登録されている信用格付業者は7社。今回は、そのうち次の5社がネット銀行に対して行った格付けを調査した。

・日本格付研究所(JCR)
・ムーディーズ・ジャパン
・スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン(S&P)
・格付投資情報センター(R&I)
・フィッチ・レーティングス・ジャパン

 格付の使われる「AAA」「A-」などの記号は、「格付記号」「格付符号」と呼ばれ、下の表のようにムーディーズ・ジャパンとその他4社で分かれている。

■各信用格付け会社の格付記号と意味
  ムーディーズ以外
の4社
ムーディーズ 格付記号の大まかな意味(日本格付研究所の場合)







 AAA+
 AAA
 AAA-
 Aaa1
 Aaa2
 Aaa3
 債務履行の確実性が最も高い
 AA+
 AA
 AA-
 Aa1
 Aa2
 Aa3
 債務履行の確実性は非常に高い
 A+
 A
 A-
 A1
 A2
 A3
 債務履行の確実性は高い
 BBB+
 BBB
 BBB-
 Baa1
 Baa2
 Baa3
 債務履行の確実性は認められるが、
 上位等級に比べて、将来債務履行の
 確実性が低下する可能性がある
 BB+
 BB
 BB-
 Ba1
 Ba2
 Ba3
 債務履行に当面問題はないが、
 将来まで確実であるとは言えない
 B+
 B
 B-
 B1
 B2
 B3
 債務履行の確実性に乏しく、懸念される要素がある
〜以下略〜
 ※格付記号の意味は、各信用格付け機関によって異なります。

 表内の記号は、上に行くほど格付けが高く、下に行くほど格付けが低くなっている。つまり、AAA+がもっとも評価が高く、以下、AAA、AAA-、AA+という順番で信用リスクが低いと見なされる。

信用格付機関5社による主要なネット銀行の評価は?

 主なネット銀行の信用格付機関5社による格付けは、下の表の通りだ。参考として、都市銀行4社の格付けも併せて掲載した。格付記号が入っていないものは、その信用格付機関による格付けが行われていないことを意味する。

■信用格付機関5社による主なネット銀行の信用格付関(2016年1月20日時点)
銀行名 信用格付機関
JCR Moody's S&P R&I Fitch
 セブン銀行 A+ AA
 ソニー銀行 AA- A
 ジャパンネット銀行(現:PayPay銀行) A+
 オリックス銀行 A- A+
 住信SBIネット銀行 A
 楽天銀行 A
 イオン銀行 A-
 関西アーバン銀行 A- A3
 東京スター銀行 A-
 新生銀行 BBB+ Baa3 BBB+ BBB+
 都市銀行
(参考)
 三菱UFJ銀行 AA A1 A+ AA- A
 三井住友銀行 AA A1 A AA- A
 みずほ銀行 AA A1 A AA- A-
 りそな銀行 A+ A2 A A+
【格付け機関で調査した格付けの種類】
・JCR(日本格付研究所 ):長期発行体格付
・Moody's(ムーディーズ・ジャパン):自国通貨建て長期銀行預金格付け
・S&P(スタンダード&プアーズ):自国通貨建て長期格付け
・R&I(格付投資情報センター):発行体格付
・Fitch(フィッチ・レーティングス):長期発行体デフォルト格付

 銀行によって格付けが行われている信用格付機関が異なるため、単純に優越を比較することはできないが、大まかな評価を下すことはできだろう。

「ソニー銀行」の信用度は、
大手都市銀行とほとんど同じ!

 銀行ごとの格付けを比較する際に参考になるのが、もっとも多く銀行の格付けを行っている日本格付研究所(JCR)の評価だ。

 日本格付研究所の格付けを見ると、今回調査したネット銀行の中では「ソニー銀行」に「AA-」というもっとも高い格付けを付与している。これは、三大メガバンクのわずか1段階下にすぎない。

 また、スタンダード&プアーズ(S&P)による格付けでは、「ソニー銀行」に対して、「三井住友銀行」と「みずほ銀行」とまったく同じ評価が下されている。さらに、「りそな銀行」と比較すると、わずかとはいえ「ソニー銀行」のほうが高い格付けがなされている。

 つまり、プロの目から見て「ソニー銀行」は、大手都市銀行とほとんど同じ程度の信用度があるということだ

 「ソニー銀行」について簡単に解説すると、2001年6月11日に開業したネット銀行で、生命保険会社の「ソニー生命」、損害保険会社の「ソニー損保」などとともに、「ソニーフィナンシャルグループ」の一員となっている。ネット銀行として初めて住宅ローンサービスを開始するなど、個人のライフプランや資産運用に役立つ商品・サービスを重点的に提供している。

ソニー銀行「ディスクロージャー誌」より
拡大画像表示

 2015年3月末時点で、「ソニー銀行」の口座数は約105万件、預金残高は1兆8782億円に達している。預金残高は前年度より若干減少しているものの、これは円安により外貨預金残高が減少したため。円預金だけ見ると、創業以来ずっと右肩上がりで成長している。また、業務粗利益、経常利益ともに順調に推移している。
(関連記事⇒「ソニー銀行」の顧客満足度調査の評価はなぜ高い?手数料や金利で突出したメリットが見当たらなくてもなぜかユーザーから支持されている理由はどこだ!?

 こうした業績の良さが、「ソニー銀行」の信用格付けの高さにつながっているのだろう。

「セブン銀行」は、
「三井住友銀行」や「みずほ銀行」よりも安全?

 そんな「ソニー銀行」より高く格付けされているのが「セブン銀行」だ。

 スタンダード&プアーズの格付けを見ると、「セブン銀行」は「A+」という「ソニー銀行」より高い評価が付与されている。これは「三菱UFJ銀行」と同じ格付けで、なんと「三井住友銀行」や「みずほ銀行」より高い評価となっている。

 さらに、格付投資情報センター(R&I)からは、すべての三大メガバンクより高い「AA」という格付けが与えられているのだ。

 人によっては「セブン-イレブンの片隅にATMを置いているだけの小さな銀行」というイメージを持っているかもしれないが、その「セブン銀行」が超大手の三大メガバンクよりも信用度が高いと評価されているのだから驚きだ。

 「セブン銀行」は、「ソニー銀行」に先立つこと1カ月、2001年5月7日に「アイワイバンク銀行」として開業、2005年10月11日に現在の「セブン銀行」に名称が変更された。セブン-イレブン・ジャパンやイトーヨーカ堂、そごう・西武などの大手流通企業と同じ、セブン&アイ・ホールディングスの一員である。

セブン銀行「ディスクロージャー誌」より
拡大画像表示

 「セブン銀行」の特徴は、ATMサービス事業に力を入れていること。全国のセブン-イレブンやイトーヨーカドーの店舗はもちろん、グループ外の百貨店やショッピングセンター、駅、空港、オフィスビルなどに積極的にATMを展開。2015年12月には、ATM設置台数が全国で2万2000台を突破した。

 預金残高や口座数、業績の推移も順調だ。2015年3月末時点で、個人預金残高は3710億円、個人口座数は140.5万口座となっている。特に最近は、訪日外国人観光客の増加により海外発行カードのATM利用件数が過去最高を更新するなど、インバウンド効果も業績を後押ししている。
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メガバンクより格付けが落ちるネット銀行も
地方銀行と比較すると格別リスクが高いわけではない

 その他のネット銀行は、「セブン銀行」や「ソニー銀行」より何段階か格付けが落ちるが、かといってそれほど大きな差があるわけではない。

 今回調査したネット銀行の中でもっとも格付けの低かった「新生銀行」でも、格付は「BBB+」や「Baa3」。これは今回掲載しなかった地方銀行の格付けと比較して遜色はなく、「新生銀行」が銀行として格段に信用リスクが高いとは言えないだろう。

漠然としたイメージに惑わされず、
金利や手数料、サービス内容をきちんと検討しよう!

 今回は、「ネット銀行はどこまで安心してお金を預けることができるのだろうか」「ネット銀行の中で、より信用度が高いのはどこだろう?」という疑問に対し、信用格付けという視点から検証してみた。その結論は次のとおりだ。

●ネット銀行は安心してお金を預けることができる?
⇒メガバンクと同じ程度、あるいは少しだけ落ちる程度には信用できる

●ネット銀行の中で、より信用度が高いのはどこ?
⇒「セブン銀行」と「
ソニー銀行

 もちろん、これは信用格付けというひとつの基準からみた判断に過ぎず、どこの銀行も「100%絶対に安心!」と言い切ることはできない。しかし、それはネット銀行に限らず、日本のどの銀行でも同じだ。決して「ネット銀行は、歴史も浅いし従来の銀行よりも不安」と考える必要はない。

 「サービス内容を検討した結果、やっぱりメガバンクがいい」と考える人がいてもいいが、単純に「よくわからないけどネット銀行はちょっと不安」という理由で、有利な金利を享受できなかったり高い手数料を支払ったりするのはもったいない話だ。

 都市銀行かネット銀行かということに必要以上に惑わされず、実際の金利や手数料、各種サービス内容を比較して、自分に合ったベストの銀行を選択して欲しい。

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